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初めての建造物

 「はぁはぁ……まさか本当に、できるだなんて」

 翼を完全に引っ込めることに成功したシルフィーアはそう言う。

 

 うーん。すこし俺の時と違うみたいだ。

 彼女の様子を見てそう思った。

 

 今の翼を引っ込め終えた彼女をみると力を入れていないように見える。俺の時は引っ込めている間は常に力を入れなきゃいけなかった。

 

 どうしてこんな違いがあるのかはわからないが、まあこちらの方がよいだろう。なんせ、俺の時と同じだった場合だと、彼女には街にいる間、常に力んでいてもらわなければならないんだ。

 それはきっと、彼女に苦労をかけることになるだろう。だからこの方が都合が良いのだ。


 「お疲れ様。だいぶ疲れてるみたいだし、休憩してから行くか?」

 「いえ、大丈夫です。確かに大変でしたが、終えてみるとそんなに大きな疲れというとはありませんので」

 「そうか。ならさっそく街に行くとしようか」

 「はい」


 俺は先導するように彼女の一歩先を歩き、街へと歩いていった。


 がやがやと、そこらを歩くたくさんの人々の話し声で賑やかな空気を作られているその街を俺たちは進む。

 

 「こんな建造物が……」

 

 ポツリとシルフィーアがそう呟いた。

 

 そうか。彼女は現界に来たことがない。

 となれば天界になく、現界にある建物を見て驚くのは当然か。

 何しろ現界の建物は天界とはだいぶ変わったものがいくつもある。ま、似ているものもあるが。

 俺も今世で若い頃は結構興奮していたな。

 

 「どうせ家具を買える店までは少し距離がある。色々みるといい」

 「良いのですか!?」

 「ああ。ただ、はぐれないようにな。こんなに人がいるんじゃ見つけるのにも一苦労だ。ま、翼が出ていりゃ一目でわかるだろうけどな」

 

 俺は彼女に忠告したのち、軽い冗談を言った。

 すると彼女は喜んだ顔を見せて、まるで初めて遊園地に来た子供のようにキョロキョロと周りを見始めた。

  

 俺は彼女が周辺の観察をしやすいよう、ゆっくりと歩を進めるのだった。




 「さて着いたぞ。この店な良い家具が揃うだろう」

 「おお……どこか温かみのある雰囲気のお店ですね」

 

 あまり派手でない、薄い茶色の壁をした大きめの店に俺たちは入る。

 そこは家具を販売する店で、店内にずらっとさまざまな家具が置かれている感じだ。二階建。

 ソファやベッドだと、実際に座ったり寝転がったりできたりもする。いわゆる試遊品ってやつだ。

 よりよい家具を買うならうってつけな店だろう。


 「今日、とりあえず絶対に買うものはベッドと照明だ。とはいえ他のものでも気に入ったものがあれば言ってくれ」

 「わ、わかりました!」


 そうしてこの店での家具探しが始まった。

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