全力攻撃 焦光一剣
シルフィーアは姉を追いかけてその大地に降り立っていた。
そこはかつて暖かい陽の当たる草原だった地。今はそこには強い火が盛っていて、草は燃え尽きている。それどころか大地にはいくつかの大穴が生み出されている。といった惨状であった。
「う、嘘。こんな……」
その惨状を目の当たりにしたシルフィーアは思わずそう言葉を漏らしてしまった。
それを引き起こした原因は明らかで、今それは姉であるセリルーアと相対していた。
「シルちゃんっ! ここから離れてっ!!」
「——っ!」
追いかけてきたシルフィーアを視界に入れたセリルーアは即座にそう叫んだ。
「よそ見をしている余裕があるのか?」
そんな彼女に向けて相対していた何かがそう言って、ボールくらいの大きさの真っ赤な光弾を八つ宙に生み出した。
「くっ——! とにかくはやくここから離れてっ!」
セリルーアは再度シルフィーアに呼びかけた後、瞬時に目の前の相手に向き直り、二刀の黄色いオーラを纏った銀の細剣を構える。
「はっ——!」
そう言って相手が手をバッと動かすと、八つの光弾はセリルーアの方へギュンッ! と、彼女を包囲し、逃げ場をなくすように突き進む。
「閃光二刀連斬ッ!」
シュンッ!
セリルーアはその四方八方から襲う光弾を全て、一瞬にして二刀の剣で細切れした。
さすがお姉ちゃん! と、少し離れて隠れ、その戦いを眺めていたシルフィーアは思う。
相手は悪魔だ……だけど、単独で天界のこんな内部まで入り込んでくるだなんて……。
天界と魔界が繋がるたった一つの道は常に数十人に及ぶ天使による見張りがついてる……
もしかしてアイツは、あの悪魔はその見張りをたった一体で壊滅させたというの……? いや、そんなことない。あるはずがない……きっと上手く掻い潜っただけ。お姉ちゃんなら倒せるはず……!
シルフィーアは姉の勝利を信じ、その戦闘の観戦を続けた。
だがその戦闘は互角。いや、僅かに悪魔が優位に立ってそれを進めていた。
長い戦闘の末、セリルーアはかなりの消耗をしていた。だが彼女の目から闘士が消えはしない。絶対に悪魔をここで仕留めると、そんな意志が感じられる目であった。
もう……まともに戦ってはあの悪魔に勝てはしない。
セリルーアは息を吐きながらそう思考する。
油断している今の隙を突いて、次の攻撃で……全力で悪魔を消し飛ばすっ!!
「融合ッ! 焦光一剣ッ!!」
そう言って彼女は自身の二刀の剣を一刀に融合させた。
「二刀の剣を融合させた……? 総合エネルギー量に変化はないだろう。それで何が成せる?」
「ふふっ、単に二刀の力を足し合わせるだけでなく、一刀になったことで力は倍増してるんだよ……!」
瞬間、彼女は脚に光のオーラを纏って悪魔との距離を縮めた。
「——!」
「はぁあああ゛あ゛っ!!」
バキィッ!!
そのままセリルーアは悪魔を上空へ向けて蹴り上げた。そうして打ち上げたれた悪魔は宇宙という空間にまで吹き飛ばされている。
それを光に匹敵する速度で追いかけたセリルーアは同じように宇宙へ突入した。
「焦点光斬ゥッ!!」
直後、彼女の剣は宇宙から天界どころかその下にある人界にまで届くほどの光を放ち、そしてそれは悪魔に向けて振られた。
「っ、! グゥアアア゛!!」
「やあ゛あ゛ア゛ァァァ゛ア゛ア゛ア゛!!」
その剣は膨大なエネルギーを放ち、悪魔と共に一つの宇宙に漂う惑星を破壊した。




