天使姉妹の過去話
この『嘘を検知する』性質を付与した俺の血液は周辺の嘘に反応する。
さて、一体どんな話が飛び出してくるやら。
そうして天使、シルフィーアは話し始めた。
彼女の過去の、天界から人界へ落とされるまでの物語を。
――――――
過去2ヶ月ほど前まで、シルフィーアは天界の『サラステラ』という浮遊島にある一軒家で、姉のセリルーアと共に過ごしていた。
そしてシルフィーアの頭に残る天界で最後の記憶。それでは、いつものようにシルフィーアは“仕事”から戻ってきたセリルーアを家で迎えていた。
「おかえり、お姉ちゃん。疲れてるところ悪いけど、今回の報酬を聞いてもいい?」
シルフィーアはセリルーアに仕事の報酬がどれほどかを問う。セリルーアは天界の守護組織の一つ、『戦乙女に所属し、仕事をしている。それは守護組織の中でも上澄み。
セリルーアは毎度仕事から帰るたびに高い報酬を獲得して戻ってきてくれるため、まだ大人とはいえない天使である、シルフィーアとセリルーア二人での生活であってもそう苦しいものではなかった。
「さすが我が家のお金の管理者であるシルちゃん。やっぱり気になっちゃうんだね〜」
彼女は軽い冗談のようにシルちゃん、とシルフィーアのあだ名と共にそう言った。彼女は普段からシルフィーアのことはそう呼んでいた。
「一刻も早く叶えたいらしいお姉ちゃんの夢のためのお金だからね。必要な金額まであとどれくらいなのかとか、管理する立場になると気になっちゃんだよ」
「私がお金を持ってると目の先にある欲しいものに使っちゃうからね。遠くにある欲しいもののために我慢できるかわからないからさ」
「前も言ってたよ? それ。で、その欲しいものっていうのは? たまにヒントは聞くけれど、まったく見当つかないし……やっぱり教えてはくれないの?」
「そうだねぇ。ふふっ、やっぱりまだ教えてあげられないかな。シルちゃんには」
優しい口調でそう、いつも答えを隠すセリルーアにシルフィーアは不服そうな表情を見せる。
「まあいいや。それじゃあご飯にしよう。夕食はもう完成してるから準備するね。待ってて」
「さっすがシルちゃん! 今日はかーなり疲れたからガッツリとお腹にくる……揚げ物とかだと嬉しいな」
そんななんてことのない会話をしていた彼女たちの耳に、恐ろしい音が聞こえた。
爆発音と共に建物が倒壊する音が連続で聞こえる。
「……!? お姉ちゃん、今のは……」
そう私はシルフィーアが振り向き、彼女の方を向くと彼女は一度は身体から外した武装を再度纏い始めていた。
「きっと……悪魔が攻めてきた! サラステラに拠点を置く守護組織は戦乙女以外にないし、すぐにこちらに来れる戦乙女の子も少ない! とにかく行ってくる!」
サラステラは小さな浮遊島だ。住民もそんなに多くはないため、セリルーア以外にここに住む戦士もいない。故、彼女はたった一人で現場に向かった。
「わ、私も行くよ……!」
外へ飛び立ったセリルーアの背中に向かってシルフィーアはそう叫ぶ。
そうして彼女も身支度をして姉の背中を追うように翼をはためかせて飛び立った。




