独自魔術
「これでよし、だな」
「さすがです! お兄さま! それでは早速次の手順に取り掛かりましょう!」
畑にする土の不要物質をすべて取り除いた俺は、その土を一度魔弾で他から切り取り、持ち上げる。そのまま力でその土の塊をバラバラに砕き上げた。
そうしてもはや砂となったそれは、その下に置いてあった巨大な、俺の性質を与えた血でできたプランターのような入れ物に降り注ぐ。
「持ってきましたよ。お兄さま」
「ありがとう、レェラ」
その後彼女が持ってきたものは多めの肥料と堆肥、そして苦土石灰である。
それらを使ってこの土を野菜を育てるのに適した栄養だな何だのを待つ土へとするのだ。
「これだけ買うためにめちゃめちゃ金を使ってしまったからな。ちゃんと効果を発揮して欲しい」
「そうですね。撒くのはお兄さま、お願いします」
「任せろ、レェラ」
そうして俺はその鶏糞の肥料、腐葉土の堆肥、そして苦土石灰をそれに撒いていく。
鶏糞にはカルシウムが多いようなので苦土石灰を少し少なめにして、入れていく。この量の土に対応する量だ。まさにえげつない量の肥料である。
そうして適量を入れ切ったところで、俺は身体を落ち着かせる。ここからはレェラの出番だ。
俺が振り返ると、そこには青いオーラに包まれて魔術の準備をしているレェラがいた。
みるみるうちに彼女の頭上に水の玉が形成されていく。それは決して前のもののようなオーバーな水量ではなく、今回行うことに充分な量だけであった。
「ウォーターボール!」
瞬間、その水球は土の上に墜落した。
破裂したそれはみるみるうちに土に染み込んでいく。
「よし、レェラは次の魔術を準備してくれ! つなぎは任せろ!」
「はい! お兄さま、お願いします!」
そうして俺はその土と水をしっかりと混ぜ込んでいく。しかしいくら俺の身体能力があるとはいえ、この量の土をしっかり混ぜ込むというのはかなり手間がかかる。
だからこそ俺はレェラに次の魔術の準備を頼んだ。
レェラの周囲に薄緑の光が集まっていく。そんな彼女の周りを風が回っている。そうして準備が終わり、彼女はその魔術を発動した。
「ウィンドミキサー!」
それと同時に俺はその土から離れる。すると土の中で風が回り始め、それは土と水を混ぜ込んでいく。
「ふう……一度試しはしましたが、成功してよかったです。この“独自魔術”」
「さすがはレェラだ。独自魔術をこんなスピードで形にするなんて、なかなかの魔術師でもできやしないだろう」
そう。彼女が使用した魔術は独自魔術というもので、名前の通り彼女が独自で編み出した魔術である。
「お褒めいただきありがとうございます。ですが、かつてはきっと、ウォーターボールでもファイアでも、基本的な魔術を含めたあらゆる魔術が独自魔術に相当していたんでしょうけど、世に浸透してしまった結果そうは言われなくなっています。ですから、世にこれだけの魔術があり、それらが全て独自魔術とすると、私は別にすごくはないと思います……」
「いや、確かにそうかもだがレェラはたった1時間ほどで独自魔術を完成させたんだ。腕が聞く魔術師でも5時間はかかると聞く。だから自分を卑下するな」
「……ありがとうございます。お兄さま」




