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悪魔の力『能力』

 そうして魔術で生み出された水球は割れた。

 「ふぅ……は、ぁ……」

 膨大な魔力を使用したからかレェラはその場で膝をつく。

 魔力はエネルギーだ。身体からエネルギーを放出するのは身体に負担がかかるのだ。

 (となるとあとは俺の仕事だな)

 俺は水をじっと眺める。いや、じっとと言うほどの時間も経たないうちにそれは、水の氾濫は始まった。氾濫というよりかは、割れた水風船から水が溢れ出すような感じだ。

 その様はまるで津波。少し経てば家どころかこの山を呑み込んでしまうほどの津波だ。もしも街のど真ん中にこの水球が落ちていれば相当の災害となっていただろう。

 「え、あ、うそ……」

 その光景を見たレェラは顔を真っ青にしてそう呟いた。その心のうちは絶望だろう。なんせ自分の術が自分の家を呑み込もうとしているのだ。

 (やっぱりレェラはこういうところはまだ考慮できていない。抜けてるというか……幼いな)

 そうして俺はそんな彼女の頭にポンと手を置いて言う。

 「安心しろ、レェラ。俺に任せろ」

 そう言った俺の背中には悪魔の片翼が生えていた。

 (これをどうにかするにはまあまあ力を出さなきゃ行けなさそうだな)

 俺は悪魔の力を引き出せば引き出すほど見た目に変化が起こる。今回は片翼までだから……大体40%程度の力だ。

 そうして俺は爪で自身の肉体を傷つけ、軽く血を出した。その血を1滴弾き水に含ませる。そしてもう一滴、俺は空中に弾き飛ばした。

 すると水はみるみるうちに赤く染まり、そしてその染まった水は上空にとどまる俺の一滴の血に吸い寄せられた。

 「飛んでいけッ!」

 直後その吸い寄せた血は上空も上空、宇宙へと突き進んでいく。それに、やっぱり吸い付くように赤く染まって水も宇宙へ進んでいった。


 「はあ……こんなもんでいいか」

 そう言った俺の身体はただの人間のものに戻っていた。それに川には綺麗な水だけがしっかりと流れていたのだ。

 「す、すごい……お兄さまはこんなことが……」

 「ありがとう、レェラ。けどレェラの魔術も相当すごかったぞ」

 「で、でも……そのせいでこんな……。今回はお兄さまのおかげでなんともありませんでしたが……」

 レェラは顔を俯かせ、そんなふうに言う。

 「大丈夫だ。レェラはこんなことするの初めてだろうしな。加減とかそういうのがわからないのは当たり前だよ」

 俺はそう彼女を慰める。

 「そもそも目的は完璧にこなしてくれたんだ。こんなのは俺にもできないし、レェラがいなきゃできやしなかっただろうな」

 「……ありがとうございます。お兄さま! 私、もっと経験を積んでお兄さまが居なくとも何かをこなせるようになります!」

 レェラは顔をあげ、そう声を腹から出して言った。

 「ああ、頑張れ。まあただ……別に俺を頼ってくれてもいいからな。いつでも」

 

 (さて、今頃あの水は宇宙を彷徨っている頃か)

 さきほど俺は、悪魔の力である『能力』を使用した。それは悪魔の中でも一部の存在が持つ特異的な力で、持つものによってそれがどんなものかは異なる。

 そんな俺が持つ能力は『血液に性質を付与する力』である。さきほどはその力で、1滴目の水に含ませた血には一定の範囲の水を汚染する性質。2滴目には俺の血に汚染された水を引き寄せる性質を与えたのだ。

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