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EP02 新たな出会い

第一節―――――――――――――――――――――

  …現代、日本にて

とある会社に勤めている者がいた。彼の名前は、鈴木(すずき)江也(こうや)、二一歳。

その会社は完全完璧なブラック、給料も少なかった。そんな彼の家は、小さな三階建てのアパートである。ある日、家の前に懐中時計「的な物」が落ちていた。

そうだ、その時にこの世界に転移したのかもしれない。気が付くと、彼…ではなく、彼女はある病院にいた。鏡を見ると正に漫画とかで見るような異世界の庶民的な服を着た銀髪の高校生ほどの身長の女性(自分の姿)が映っている。


 「…はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!?」


病院内で叫ぶと変な人と思われそうだから心の中で叫ぶ。


 「落ち着け…あの時計みたいな物が原因かもしれない…」


その懐中時計的な物は転移した後も彼女の手の中にあった。

気づいたら声が高くなっている。

その時、時計的な物が動き出す。

…針が回るのではなく、震えるように。

……そもそも針がない。


 「何これ何これ何これ!?震えているんだが!?」


 「…ガ……ラ…レ…ト」


ロボットのような機械的な声でその言葉を発する。

江也はすかさず


 「日本語で話して頂けます?」


と言った。

その懐中時計的な物は小動物のような姿に変わった。


 「あら、ここにいたとは。どうも。」


 「…どうも。」


声も喋り方も一瞬にして変わった。


 「私の名前はラーレットで、ロボットと思っていただければ幸いです。」


 「でしょうね…」


 「貴方は…鈴木江也様ですね。」


 「え?どうして分かるんですか!?」


 「私には鑑定(アプレイザル)占い(ディヴィネーション)呪い(スペル)といったマジックが使えまして、鑑定(アプレイザル)で分かったものです。」


 (すげぇ…ファンタジーだ…)


 「それで、なぜあなたが女性になってしまっているのか、又、此処はどこなのか、ということを知りたいのでしょう?」


 「はい。」


 「解りました。まず、あなたがなぜ女性になってしまったのか、理由は多分、私といたことでしょう。正確には、私を持っていたことです。」


 「つまり?」


 「貴方の体に、私の変化の呪い(ハニスペル)が掛かってしまったのでしょう。まぁ私がいればすぐに解けますが。」


 「…なるべく解除しないで頂きたい。こんな事だけ言うとヤバい人と思われそうですが…私はこれまでの私が嫌いだったのです。なので、この姿のままのほうが良いのです。正直、生きるのも辛かったです…」


 「そうですか…分かりました。そして、此処はどこなのか、という質問ですね?此処は言わば異世界でしょう。私と一緒にいたことが女性になった原因とお話ししましたよね?」


 「はい。」


 「この世界に転移したのも私が原因です。」


 「というと?」


 「もともとは私はこの世界にいるべき存在。ですが一瞬この世界の『ケッカイ』から外に出て、あなたの世界にたどり着いたのでしょう。ただ、その世界にいるのも束の間。五分程です。」


 「その五分の間に私が拾ったと。」


 「はい。その時の波長が貴方に合っていたのか、つられてこの世界に来たのでしょう。」


 「そういう事でしたか。…名前、どうしましょう?髪も伸ばさねば…」


まだ彼女はこの世界の人々の名前を知らない。


 「そうですね…この世界にいるかつ女性となると尚更(なおさら)変える必要がありますね…『ハニステル』様、とかどうでしょう?」


 「おお、良いですね。では…」


彼女は「ハニステル・タンバージノ・ココア」と名乗るようになった。

そして、この世界のいろいろなことについて教えてもらった。


 「…ところで、何故『様』なのですか?」


 「あれ?言ってませんでしたっけ?私はあなたに忠誠を誓いました。何時何処(いつどこ)でもあなたと一緒です。」


 「…聞いてませんが!!!?」


これは、シーラ達の冒険が始まる十ヶ月程前の話。

第二節―――――――――――――――――――――

一一ヶ月(じゅういっかげつ)後、緑の街(グリーネタウン)にて


 「この人を知っていますか!!!!!!!?」


 「いや~知らないなぁ。そんな名前の人、聞いたことがないよ。」


 「そうですか…」


 「だから言ったのに~…そう簡単に見つかるわけがないって~…」


シーラ達はある人を探している。その名も「ハニステル・タンバージン」である。

事の経緯はこうだ。


 「新しいヘリプロを買ってきたよ~」


 「でっかぁ!!」


メルカは新しい、そして前の物より遥かに大きいヘリプロを買ってきたのだ。


 「どーすんだよこれ!?車庫に入らねぇじゃねぇか!?」


 「新しい車庫を建てるしか…?」


 「うわっ!?びっくりしたぁ!!存在感を出せお前は!!」


背後にシーラが立っている。


 「まぁ大変だね…ギリ天井にぶつかる感じかな?前のはすっぽり入ったのに…」


 「制限人数もぐんと上がったからメンバーを一人増やすかな~?」


 「んなっ!?これめっちゃ高いじゃねぇか!?三〇ネリだぞ!?」


 「前のと同じ位だよ~?」


 「前のは二〇ネリだ!!一〇〇〇〇ウルも高いぞ!?」


貨幣の説明は後程(のちほど)するが、とても高い。


…とまぁ、人数を増やす話になった訳だが…


 「占おう~!!」


 「「ゑ!?」」


 「私はね~占い(ディヴィネーション)のマジックができるんだ~」


 「成程(なるほど)…頼む。」


 「は~い。ディヴィネーション!!」


 「どう…?」


 「ん~…見えるね~…え~っと~?名前は…ハニステル・タンバージン…だね~」


 「そいつが最適ってことか?」


 「そうみたい。」


………………………………………………………………………………………


諦めて帰る途中、とんでもないことが起こった。

誰かと肩がぶつかった。


 「すみません!!」


 「いえいえ、こちらの不注意なので。」


 「って…この人!!」


 「私に何か?」


 「あなた、ハニステルさんですか!?」


 「はい、そうですけど…」


 「やっぱり!!突然ですが、僕らの仲間になって頂けませんか!?」


 「ぇえ!?」


唐突な誘いに、ハニステルも断り切れない。


 「本当に突然ですね…いいですけど」


 「やったぁー!!仲間が増えたぁー!!」


 「…ちょっと待て。」


点際が止める。


 「言わないでおこうと思ったが…あんた女だろ?だとしたら、何故男物の服を着ている?」


 「それは…ご説明致しましょう。おーいラーレット!」


 「はいはい、何でしょうか?」


何処からか声がした途端、四人の真ん中に現れた。


 「一度だけ呪い(スペル)を解いてくれませんか?」


 「分かりました。」


ラーレットがそう言うと、


 「ハ二スペル!!」


と言い、ハニステルは男の姿になった。

…髪は長いまま。


 「こうして性別を偽っているんだ。元の姿はこんな感じ。男物なのは、慣れないだけだよ…」


 「え~?君なら似合うと思うけど~?」


メルカが言う。


 「そういう問題じゃなくて!!…恥ずかしいんです…」


また呪い(スペル)にかかって女性化したハニステルは顔を赤らめる。


 「じゃあ何でその姿になったの?」


 「それは…聞きたいですか…?」


 「うん」


 「コらァ!!」


怒りの声が点際から飛ぶ。


 「分かった。今は聞かないでおこう。またいつか話す気になったらいつでもいいから話してくれ。俺はただ何故男物の服を着ているか聞きたかっただけだ。話してくれてありがとな。」


点際は聞かない選択をした。

そして、この三人グループがこれまで何をしていたかを説明した。

第三節―――――――――――――――――――――


 「…ん?」


 「どーしましたか?」


 「今一瞬鋭い視線を感じたんですが…気のせいでしょうか…?」


 「いや、気のせいじゃない。誰かがこの近くで俺たちの誰かに敵意あるいは殺意を向けている。思考反応(ソートスキャン)のサブスキルで分かったことだ。」


説明しよう。サブスキルとは、常時発動し、制御ができないものである。

この世界には、「マジック」、「スキル」、「サブスキル」というものがある。

「マジック」とは他人に変化を与えるもの、「スキル」とは自分の感度を高めるもの、「サブスキル」とは他の人が普段感じられないものを可視化できるようになっているものである。

ただ、彼の場合、精度が悪い方で、「グループの内の誰か」という認識しかできない。

…この場合、ハニステルが視線を感じ取っているため、彼に視線が向いているのは確かだ。


 「…あんたに恨みがある誰かだ、ハニステル。」


 「…誰でしょうか?何処からの視線かも分からないのに…」


第四節―――――――――――――――――――――


 「この世界にも慣れてきたし、買い物でもするか…!!」


 「え!?これまでどうやってむぐ…!?」


シーラは突然点際に口を塞がれる。


 「何回言ったら分かるんだ!?こいつはただ者じゃねぇんだぞ!?これまでの言動で分かっただろう!?」


こうなったらもう、頷く事しか出来ない。

シーラは高速で頷く。


 「あの…私ってそんなヤバい人に見えます…?」


 「いやいやいや、そんなことないぞ!?」


 「まぁ…これまでの生活はラーレットに何とかしてもらってました。」


…言うまでもなく、ハニステルには聞こえていた。

その後…

ハニステルは、この世界の通貨について教えてもらった。

要約すると、この世界には、「ウル」、「レイ」、「ルアン」と呼ばれる単位の貨幣が存在する。

一ウルは一〇レイ、一レイは一〇ルアンである。また、「レイ」は「エウス」と呼ばれることがあるらしい。

また、「ネリ」という単位もあるが、一〇〇〇()ウルであるため、滅多に見ない代物である。

例として、ニンジン一本は一・五(1.5)ウル、紙一枚は一レイである。

すぐにハニステルは日本円に換算した。どうやら一円は約一ルアンと視て良い様だ。

また、この単位の差を使ってぼったくる悪商人がいるみたいだ。


「…どーなってんだ、この世界。」


第五節―――――――――――――――――――――


「…とまぁ、こんな感じだな。」


ハニステルは装備一式を整えた。

・短剣二本六〇ウル=約六〇〇〇円

・マジック(ピストル)一丁四〇ウル=約四〇〇〇円

・小さい盾一枚五ウル=約五〇〇円

・懐中電灯一本一〇ウル=約一〇〇〇円


…なぜ盾の方が懐中電灯より安いのか分からないが、とにかく装備は装備、使える物だろう。…と思ったのが事の尽き、すぐに盾は壊れた。


・小さい盾一枚二〇ウル=約二〇〇〇円 (改)


 「さぁ、冒険だ!!」


 「ちょっと待って!!まずはアドベンチュラ—の登録とアドベンチュラ—パーティー作成を申請しなければいけないんだ。」


 「「「ゑ…?」」」


シーラを含まない三人は、一瞬というか五秒ほど時が止まった。


 「何でだよ!?」


 「何でですか!?」


 「何で~!?」


第六節―――――――――――――――――――――

…三〇分後、ホーマール・イン・グリーネ役所内にて


 「この内容で宜しかったでしょうか?」


 「はい、お願いします!!」


四人は、役所でメンバーの登録をしていた。

…銀行みたいだ。受付カウンターがあり、その隣に発券機…?みたいなものがある。預金機的な物もその隣に並んでいる。


 「お客様の命をお預かりしているのと同じような事なので。」


とのことで、料金はかからないらしい。


 「パーティーメンバーは四人…と。パーティー名はどうしますか?」


 「何がいい?」


 「そうだね~…『猫の尾(キャッツテール)』、とか?」


 「他に案がないならそれで良いが?(ちな)みに俺は賛成だ。」


 「異議なし!!」


 「いいですよ。」


 「このパーティーの名前は、『猫の尾(キャッツテール)』に決定だ!!」


パーティー名が決まった所で全員にカードが配られた。


 『名前 シーラ・カーラ

  所属パーティー 猫の尾(キャッツテール)

  レベル 戦闘 Fb

      マジック Sa

      家事 Es

      潜伏 Fg

      視・狙 Ad

      全般 Ge  』


 『名前 テンツァイ・メイファン

  所属パーティー 猫の尾(キャッツテール)

  レベル 戦闘 As

      マジック Ce

      家事 Cc

      潜伏 Da

      視・狙 Ee

      全般 Be      』


 『名前 メルカラット・トルン

  所属パーティー 猫の尾(キャッツテール)

  レベル 戦闘 Bs

      マジック Ds

      家事 Aa

      潜伏 Cd

      視・狙 Sa

      全般 Bc     』


 『名前 ハニステル・タンバージン

  所属パーティー 猫の尾(キャッツテール)

  レベル 戦闘 Fs

      マジック Sx

      家事 Df

      潜伏 Fe

      視・狙 Fa

      全般 Es        』


 「なっ…何ですとぉぉぉ!?」


係員が素っ頓狂な声を上げ、役所内にいた全員がその場で跳ねる。


 「皆さん…執務室へお越し頂けますか…?」


彼女が真剣な表情でで言うと、全員に緊張が走った。

第七節―――――――――――――――――――――

…一〇分後、ホーマール・イン・グリーネ役所内、執務室にて


 「…さてと、お話ですが、ハニステル・タンバージン様に大変なレベル値が見つかりました。」


 「「何!?」」


 「何ぃ!?」


 「えぇぇぇ!?」


全員が素っ頓狂な声を上げる。


 「カードをお預かりさせていただいております。とりあえず、レベルについてのご説明を…」


彼女が言うには、レベルはエサリベリーナ共通語二文字表記で、一文字目は大文字でA~G、良いものにはSがある。

二文字目は小文字でa~g、良いものにはs、滅多に見ないxがある。


 「ハニステル・タンバージン様のマジック値がSxと最高なのです!!二〇年勤めてる私も一度も見たことがありません!! …失礼。取り乱しました。それで、どうかこれは他のパーティーには公にしない様お願い頂きたいのです。」


 「…それだけか?」


 「はい。そのことに関してだけご注意していただきたく存じます。貴方方の命にも関わることなので。」


 「どういう事ですか?」


 「そのスキルだけを目当てに無理矢理他のパーティーに入れられてしまう可能性があるのです。運が悪ければ殺されることも在り得るかも知れないのです。」


 「…分かりました。でも、大丈夫だと思いますよ?」


 「それは…どういった理由で?」


 「…ちょっと失礼。」


突然点際がハニステルを裏へ連れ出す。


 「…これまで黙っていたが、お前ラーレットの事を公にしてたのか?」


 「そうですが…?」


 「お前なぁ…この世界のことを知らなさすぎだ…あんなロボットはこんな世界にはない。」


 「そうなんですか!?…ラーレット?」


 「お呼びでしょうか?」


 「何でずっと隠してたんだよ?」


 「あぁ、話すのを忘れていましたね…私はメルカラット・トルン様によって作られたバーチャルドール、要するに、何にでもなる人形型半ロボット生命体です。」


 「要する方が長くなるのかよ。…ぇえ!?メルカさんが!?」


 「はい。あの方は電気工作や化学といった事が得意でして。私は技術などを詰め込んだ物。他所では見ることが出来ません。」


因みに、ハニステル以外の三人は彼女が転移した時からその事を知っていたらしい。


 「まさか公にしていたとはな…」


 「私もびっくりしました。何処にでもある物かと思ってましたし。」


 「よし。戻ろう。」


 「失礼、お待たせしました。」


 「ところで、『大丈夫』というのは…?」


 「あ…」


もう説明しざるを得ない。

エピローグ―――――――――――――――――――

結局、その後は仕方なくラーレットの説明をした。


 ―――ラーレットはパーティーメンバーになった。


そしてまだ、「猫の尾(キャッツテール)」の冒険は続く…


 EP02 「新たな出会い」終

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