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ep.6『黒ローブ』

 そのはずだったのに。

 話し掛けられるまで気配を感じなかった。

 そんな相手だ。振り返らなくてもヤバい奴なのは分かる。

 剣の柄には常に手が届くようにはしていた。実際話し掛けられた瞬間に届いたが、この距離では抜くより先に殺られるだろう。いや、殺る気があったなら既に──

 短めの深呼吸をして改めて相手の言葉を拾う。

「あっち?」

「戻って」

 声は女だ。

「それはどういう──」

 その声には敵意が感じられなかったので思わず振り返って聞き返そうとしたが、その瞬間気配が遠のく。

「黒……ローブ……」

 ドクン

 心臓が跳ねた。

 距離を取った相手のその姿はかつて見たあの姿そっくりだった。

 とはいえ、黒いローブなどどこにでもある。同一人物とは限らない。それに夜だから黒に見えるだけかもしれない。そう自分に言い聞かせる。

「……」

 俺が動揺している間に黒ローブは黙ってスッと近くの路地に入った。

「待──!?」

 直ぐ様入っていった路地を見たが黒ローブの姿は無かった。

「戻れって、あっちってどこだよ」

 振り返った直後距離を取られたので指を差していたのかもわからない。とりあえず詰所の方向でない事は確かなのだろう。“あっち”にレイがいるのだろうか?

「待ってろ」

 結局手掛かりは無く、一旦飯屋に戻る事にした。

 さっきのでわかった。レイは確実に何かに巻き込まれている。

「すみません。やっぱり見つからなくて、捜索に協力してくれる人を募りたいのですが」

 飯屋に戻ってすぐ店主に相談した。

「戻ったか。それならもう手配してある」

 こんな時間に協力してくれる人がいるのだろうか。

 ん?

 室内に入ってすぐに違和感を覚えた。何故気付かなかったのだろう。

「店主……」

 店中に漂うこの匂い、覚えがある。

「レイに何を盛った?」


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