ep.21『異変』
ステッルブールから東の山。
俺達は採石場近くの村【ステール】を目指していた。
ステール村もコール領たがステッルブールより歴史は長く、村のほうが先に存在していて山の村では抱え切れなくなった人口を移したのがステッルブールとされている。
「大丈夫か? 風邪でも引いたか?」
今までレイを連れて山道を歩く事は何度もあった。なので慣れているはずだった。しかし今回はレイの様子がおかしい。
「 やっぱりもう数日待ったほうが良かったかもな」
俺達はアストロスの死後何故か追い出されるようにコール家を後にした。数日分の給金もしっかり貰ったので旅に戻るのは問題ないが、腑に落ちない。
「はぁ。いいえ、大丈夫です」
いつもの余裕の笑みが無い。体力オバケだったレイが明らかに疲れを見せている。汗をかいている所など滅多に見られない光景だ。
「無理はするな」
「大丈夫です」
前を登るレイは今にも滑り落ちて来そうな足取りだった。
「少し休憩にしよう」
「大丈ぶっ──!」
案の定足を踏み外して倒れてきた。身構えていたので巻き込まれる事無く支える事が出来た。
「やっぱり熱があるな。村は遠くない。少しくらい休んでも問題ないだろう。何故そんなに急ぐ」
「……」
レイは何も語らなかった。
「あんな事があったから、最悪殺されるかと思ったが、幸いそういうわけでも無かったし。ほら水」
とりあえず道の外れに荷物を降ろさせ敷物を敷いて座らせる。それから水を飲ませた。
「少し眠るか?」
横に座って肩を差し出す。
「ありがとうございます」
レイはそう言って膝に頭を預けてきた。ガッツリ寝る気満々だ。こういう図々しさは変わらないらしい。
まだまだ子供だな。
「ゆっくり休め」
ついつい甘くなってしまう。
今日は快晴。木々の間から青い空がよく見え、木漏れ日が差している。平和だ。
ここはステッルブールとステール村を繋ぐ山道で、人の手が入っているので獣は少なく、盗賊が出るという話も聞かなかった。とは言え俺は周囲を警戒しなければならない。
レイは横になってすぐ寝息を立て始めた。




