恋文
『愛しいイーサン。
私はあなたのことが大好きで大好きで、夜も眠れぬほどあなたに恋焦がれています。大切なキャロラインの婚約者であるということから、あなたへの気持ちを必死に抑え込んできました。
でも、この震えるほどのあなたへの気持ちをどうしても抑えることができないのです。あなたにいつも会いたくて、あなたのおそばにいつもいたいのです。あなたに私の全てを捧げたいのです。
私はキャロラインを傷つけたくはありません。彼女は大事な大事な友達なのですから。
あなたがキャロラインのことを同じように愛しているということであれば、私はあなたから離れようと思います。あなたには幸せになって欲しいと願っています。
あなたは、キャロラインと人生を共にすることで幸せになれますか?
あなたに恋するA』
手紙には最初から涙の跡があった。
私が手紙を読んで泣き出す前から、涙の跡らしきものがあったのだ。
アーニャの涙なのか、イーサンの涙なのか。もしかすると二人がそれぞれ泣き崩れた跡なのかもしれない。
私はその手紙を読んで肩を震わして泣いた。多分、人生で一番泣いたと思う。
苛立ち、怒り、悲しみ、やるせなさ、黒い塊のようなわけのわからない気持ち。全部が押し寄せてきて私を圧倒した。私はしばらくそこから動けなかった。