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神崎涼の失踪  作者: 紅月
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第六話

裏切り者は何処にだっている


そう、あなたの隣にいる人だって

―悠―


「襲われた!?」


 月華が驚いた声を上げる。

 仕事中だったのか、あいつの後ろにあるパソコンのウィンドウがぼんやりと光っている。こいつが驚くのも珍しいなぁ、と思いながら先ほどのことを話した。

 ここは月華の家の二階、月華の仕事部屋だ。ユウは月華の家についてすぐに一階のリビングのソファにクッションを抱いて寝てしまった、相当疲れていたのだろうか。

 振り向いた月華はぼさぼさの髪をひとつにくくっている。それがまた微妙に様になっているのが気に入らない、がここでそんなことを言っても話が進まないので俺は続きを話した。


「よくわからん黒スーツの連中だった。

 ユウのことをお嬢様、と呼んでいたし、ユウとなんらかの関係はありそうだったがユウの反応を見る限りじゃあ………。」

「あまり友好的な関係じゃない、ということか。」


 俺は肯定の意を表して頷く。あいつらに追いつかれるかと思うほど近づかれたわけではないが、あいつらはずっと同じ距離を保って、いや、途中からは徐々に減速しながら俺たちを追ってきていた。この家の車庫に車を入れて家の中に駆け込むときには不思議なことにやつらの姿はどこにもなかった。それを説明していると月華の眉間にしわが刻まれていく。腕を組んで考える月華、それも様になっておりこいつが引きこもりでよかったと、普通の見た目の俺は少し安堵する。


「車と同じくらい、いや、それ以上のスピードで走る黒スーツか………。」

「誰も気付いてなかったみたいなんだ。俺が道交法を無視してスピード上げようかと思った時にあいつらが減速しなかったらやばかったと思う」


 あいつらはきっと車がスピードを上げても追いかけてきただろうし、あいつらが減速することがなければあのまま追いつかれていただろうと思う。そんな予想ができる俺は頭がどこかおかしくなってきているんだろうか?


「車と同じくらい、いや、それ以上のスピードで走る黒スーツか………。」


 月華がもう一度同じ事をつぶやく。まるで心当たりがあるみたいな、記憶を掘り起こしているような、その反応に俺は嫌な汗が体から出るのを感じた。


「まさか、と思うが月華さん、あのような方々とお知り合い、ということは?」


 言葉が思わず敬語になっている。それを自覚したのは言った後だったのだ、しょうがない。誰も、突っ込むなよ?


「そいつらは男だったんだろう?」

「ああ、見た感じと声の感じじゃあそうだと思う。全員の声を聞いたわけじゃねーけど。」

「なら、俺は知らん、そんなことができる知り合いは男にはいない。」

「じゃあ、女にはいるのかよ!!」


 ………思わず心の声が外に出てしまった。絶対に答えが返ってくることはないと分かっているからこその心の声だ。当然のように返事が返ってくることもなく、しばらくの間沈黙が続くのだが、腹が減ってきてしまった。

 今は昼どきで、月華が笹田との面会を朝一番に指定してくれたおかげで考える時間はまだまだある。正直、今が夜で寝ることができたらどれだけ楽だろうという気持ちの方が大きいが、月華はユウが寝ているのを確認しに行った。ついでに昼飯も作るからお前もこいと言い残してだ。

 俺はなんとなくすぐには動かずその場に、月華の仕事部屋に1人きりになる。

 そんな時


ぴろりろりん♪


 起動してあるパソコンにメールが届いたようだ。あまりにも、今の状況とはかけ離れた軽やかな音に気が抜けたが、なんとなく中身が気になる。いけないとはわかっていても好奇心の方が勝った。

 おそらく月華はまだ帰ってこないだろうと思いつつメールフォルダをチェックする。


『from アリス


緊急なので用件のみ書いとくね

茶髪で学校の制服を着た高校生みたいな女の子を知らない?

知っているなら連絡してほしいんだけど』


 という文面を見て俺はあせる。これはおそらくユウのことをさしているのだろう。どこにもユウの名前がないし、写真のような画像もない。そもそもユウがユウという名前なのかもわからないのだが………。

 でも、なぜ、月華にこのタイミングでこんなメールが届く?まるで、月華の知り合いであろうこいつが、ユウを狙っているかのようなタイミングでユウの行方を尋ねてくるなんて。

 そして、俺は、このメールを見ていて俺は嫌なことを考えていた。つまり、月華は先ほどは知らないと言っていた黒スーツのことだけれど、ひょっとしたら月華は知っているのではないか、ということだ。さらに、ひょっとしたら月華は何も知らないが、このアリスって名前のやつが黒スーツの親玉かもしれない。


「我ながら、嫌な思考回路だな。」


 そうと口に出してみると嫌に現実味のありそうなことで身震いがする。あの月華の、驚きながらもなおも冷静だった態度を考えると。

 俺はちらりと背中の方にある開かれたドアを見る。月華が、俺が来ないことで痺れを切らして呼びに来る様子はないし、足音も聞こえない。

 もし、今、ここで「知らない」と返信をしたら?

 相手はきっと、探している少女がここにはいないと思い込んでくれるだろう。そうすれば………。

 急に心臓の音が大きくなったような感覚を覚えながら俺はそのメールを受信箱からもゴミ箱からも削除した。今さっき思いついた方法を実行、知らないというメールを送り返した上で、だ。その送信履歴も消しておく。それだけの作業がとてつもない重労働だったかのように引いていた汗が一気に流れ出る。息を整えると俺は月華とユウのいるであろうリビングへとむかった。


◆◇◆◇◆◇◆


(まさか、とは思うがあいつ関連じゃないだろうな)


 月華はそう思いながらユウの寝顔を眺めていた。これだけ見ているとただの少女なのだが、車より早く走る連中に追いかけられていたということを考えると………。過去のことを思い出し、月華は頭を抱えたい思いに駆られる。実際、彼は頭を抱えていたのだが。

 やがて、悩むのも面倒になったのか月華はキッチンへとむかった。冷蔵庫の中を確認しながら昼のメニューを考える。彼としては悠にまで料理を作るのはかなり嫌、というか面倒なのだがユウの分は作るつもりでいる。そして、二人分を作るのなら三人分を作るのも量が変わるだけでさほど手間ではないので作ってやることにする。


「頼むから、厄介ごとを持ち込まないでくれよ………。」


 彼の切なる願いはユウがやってきた時点で(正確には悠から話を聞いた時点で)破綻していることに彼自身、うすうす感じてはいたのだがそう願わざるをえなかった。

「ということで、今回のネタは?」

『製作秘話とは関係ないのだけれど、作者はランキングでこの作品を探そうとしたのよ』

「へぇ、で、作者のことだからきっと見つけたんだよね」

『・・・』

「なに?その遠い目は」

『前回の投稿した日のことだったのだけどね、あの日は寒くって作者も根負けしてしまったのよ・・・』

「大仰だよ、ため息までついて。で、何処まで調べたの?」

『総合評価が2ptの範囲全部よ』

「・・・で、見つけられなかった?」

『そう、そこで作者はこう考えたそうよ「ならばもっと評価をいただくことができたら、もっと簡単に発見できる!!」と』

「図々しいけど、事実ではあるね。

というわけで、この作品では皆さんからの評価、感想、メッセージ、指摘など何でもお待ちしております。

キャラへの質問でも結構です。」

『あと、お気に入り登録していただいた方のページへ行く方法もあったら教えてほしいわ。

なかったらない、と教えてくださると非常に助かるわね。

作者はまだあきらめてないもの』

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