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第二十三話 リスタルダ王国に戻る

「リュウ君の話を聞いても今一つイメージがわかないし、ソフィアさんの話、エルザの話を聞いてもどうも、雲つかむような気分になる。まったくイメージが固まらない。これではリュウ君と元の世界とを繋げられない」


「フランメルさんのイメージがはっきりすれば良いのね」


「私に任せなさい。私、絵が得意なのよ」


「ソフィアさん、木炭とスケッチブックが私の執務室に置いてあるので持ってきてほしい」


「承知しました。フランメルさん」そう言うとソフィアちゃんは急いでフランメルさんの執務室からスケッチブックと木炭を持ってきた。


「リュウ君、あなたの国のこと、何でも良いわ。頭に思い浮かべてみて」


「私はそれを絵に描いてみせるわ」


「カミラさんって超能力者なんですか?」


 緊張した顔のリュウ君、ヤバい想像をすると絶対、カミラはそれを絵に描くから注意してねと心の中で思う私であった。ソフィアちゃんがそれをみて悲恋になればってちょっと期待したり……。


「これが、あなたのお国を代表する山ね。富士山って言うの。この塔がスカイツリーっていうのね。これが新幹線かあ……」


「あなたの世界って魔法がないのに、ふーーん面白いものが多いのね。私も行こうかしら」


「カミラさんはダメです」


「へえーー、大丈夫だよ。リュウ君は、私の好きな男の子のタイプじゃないから。ソフィアちゃん」


 ソフィアちゃんが顔を真っ赤にしていた。リュウ君もなぜか真っ赤だ。


「あら、これは召喚の間の魔方陣ね」と言いつつサラサラとスケッチブックにカミラは絵を描いていった。


「フランメル、見てこの魔方陣!」


「これは酷い。これでは召喚途中で召喚された者が死ぬ」


「えっ、俺、死んでるですか?」リュウ君って天然?


「一回は死んだ」とカミラがポツリと小声で言った。


「この召喚の魔方陣は壊しておかないとダメだと思う。また、それとこの魔方陣の写しも処分しておく必要があるな」


 おばあちゃんが私の顔を見た。


「エルザ、大丈夫よ、緊張しなくて良いから」


「はい、お婆様」


 無理だ、次に何を言い出すのかほぼ予想がついている。


「一人で行ってくれるよね。エルザは出来る子だから」


 私、絶対、おばあちゃんに嫌われていると思う。


「ねえ、カミラ……、私たちって友だちだよね」


「私は、大魔……、アン様のお側にいたいのでお断りします」とカミラにあっさり断られた。


「私は召喚の間の魔方陣を壊して、召喚に関する文献をすべて持って帰ってくれば良いだけですね」


 はあ、関係文書全部は無理だよね。ちょっとくらい残っても良いよね。うん、良いことにしよう。


「いや、ここに持ち込むのは危険だ。あの扉の間に置いてくるだけで良い」


「了解です」


「そうしたら、家に帰って……」


「その必要はないわ。鏡はここに持ってきているから」


「それは用意の良いことです」


 こりゃあすぐに行けってことですよね。旅の疲れも取れていないのに。


「じゃあ、行ってらっしゃい。エルザ」


 絶対、私は、おばあちゃんに私は嫌われている。



 はあ、またこの世界にくるとは。この間元の世界に戻ったばかりなのに。瘴気しょうきの森には少しだけど草が生えて、何百年かしたらちゃんとした森に戻るかもしれないなあ。


 空をさっそく飛ぶと砂漠化した地域もちらほら緑が見える。街が近くなるのつれて、なぜかアンデットの気配が強くなってきた。この気配は軍団規模だ。街に何かあったのだろうか、私は空を飛ぶ魔法から、移動の魔法に切り替え、移動魔法を連続で使った。


 ギルドの建物の前にはバリケードが築かれ、冒険者たちが侵入しようとするアンデットを狩っている。私は、ギルドの建物から少し離れた場所に立った。



「一体どうしたことですか?」


「おっ、あんたはアンさんの娘さんだよな。いやあ嬉しい援軍だ。で、アンさんはどこ?」


「母はきていません。私だけです」


 冒険者たちに失望の表情が見てとれた。


「そうか、詳しいことはギルド長に聞いてくれ。ご覧のようにアンデットが攻めこんできて、手一杯なんだ」



「ギルド長、これは一体どうなっているのですか?」


「エルザさんか? エルマさんは?


「祖母はきていません」


「そうかあーー」とため息をギルド長がついた。


「一週間前突然、迷宮から、アンデットが、ふれるように外に出てきた。今も止まらない。大半は王都に向かった。王都と連絡が取れないので、王都がどうなっているのかわからない。こちらは踏みとどまってくれた冒険者たちが必死でアンデットを狩っているが、本当に切りがないし、アイツら夜の方が元気だから、私たちもいつまでもつかーー」とまた深いため息をギルド長はついた。


「それでは、私がサクッとアンデットを狩ってきますね」と笑顔でギルド長の部屋を出た。迷宮に入って迷宮管理者のミカエルさんと話をしなくては。


「ファイアボルト、サンダーボルト、ライトニング……」


 街に溢れるアンデットに向けて何発も連射した。


「すげえ、さすがはアンさんの娘、エルマさんのお孫さんだ」


 さっきまで悲壮だった冒険者たちが明るい表情になった。


 私はバリケードを超えてアンデットの群れの中に入って私は無双した。本当は広域攻撃魔法のエクスプロージョンで一気に肩を付けたいのだが、それをすると衝撃波でギルドの建物が崩壊する。


 迷宮からアンデットが出てこなくなったので、迷宮に突入した。

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