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第一話 魔女学校入学?

「お母さん、来月魔女学校に入学なんだけど、制服とかはどうなっているの?」


「制服? 私のがあるからそれを着たら?」


「お母さん、その制服はどこにあるの?」


「さあ、どこかにあるんじゃない。あっ、私、サバトに行かいと!」


「お母さん、入学金は振込んだの?」


「入学金? あなた入試成績一番だから、入学金は免除なんじゃないの?」


「特待生制度はなくなっているのだけど!」


「あははは、サバトでガブリエルに会うから、なんとかしてもらうわね」


 そう言うとお母さんはサバト、魔女の飲み会に出掛けた。


 最悪だ。入学金を支払っていない。入学取り消し、来年再受験が決定した。お母さんが相談するというガブリエルさんは魔女学校の校長で、お母さんと同級生で、お母さんを思い切り嫌っている。お母さんが魔女学校在学中ずっと、真面目なガブリエルさんに絡みまくっていたからだ。


 お父さん宛てに手紙を書いた。それを伝書フクロウに渡した。お母さんが入学金の支払いを忘れたこと、未だに入学準備ができていないことなど、色々書いた。


 お父さんとお母さんは現在、別居中。私がいなければとうに離婚していたはず。私を育ててくれたのはお父さん。お母さんはいつも飲み歩いて家にほとんどいなかったから。


お母さん、いわく「魔女は勝手に育つ」


 お父さんが、お母さんに私をちゃんと育てるようにと言った答えがそれ。で、お母さんはお父さんを家から叩き出した。


 お父さんは普通の魔術師、お母さんは大魔女の称号を持つ、凄い魔女。争うまでもなく、お父さんは追い出されて二度と家に戻れなくなった。


 お父さんから返事が返ってきた。「入学金はお父さんが支払ったので、心配しないように、入学準備はお父さんがしておいたので、学校に行く前にお父さんの所に来るように」


 さすがはお父様、抜かりがない。


「ただ、もしかしたら、エルザに良くないことが起こるかもしれない。お父さんは抵抗しているが……」と不穏なことが最後に書かれているのが気になる。


 ガブリエル校長が私の入学に反対しているとか、あの不良魔女の娘は、入学予備校からしつけた方が良いとか言われているのかもしれない。お母さんの魔女業界での評判は最悪だ。そのあおりが私にきているのかもしれない。


 おばあちゃんは研究成果によって大魔女の称号を得たけれど、お母さんは人に言えない所業で大魔女の称号をもぎ取った。お母さんには敵が無茶苦茶多い。


 お母さんが二日後、サバトから戻ってきて一言「エルザ、あなた、一年間、魔術師学校に交換留学生として派遣されることになったから、入学式は魔術師学校の方に参加するようにって、ガブリエルが言ってたわ。魔女学校の代表だそうだから、恥ずかしくない行動を期待するですって」


「お母さん、魔術師学校って男子校なんだけど……」


「良かったじゃない、将来有望な魔術師と仲良くなれるわよ」


「入学金の納付遅れはこれでなかったことにするって、ガブリエルが上から目線で言ったのは気に食わなかったけど、まあ、こっちのミスだし、仕方ないから。保護者承諾書に署名したわ。魔法契約だから破棄出来ないのは知っているわね」


 魔法契約を破棄すると、契約者は死ぬ。お母さんが死ぬと連坐で私も死ぬ。最悪だあ。




 お父さんに手紙を書いた。魔術師学校に一年間、交換留学生になったこと。お母さんが魔法契約をしたので破棄出来ないことも書いた。


 ほどなくして、お父さんから返事が返ってきた。魔術師学校から魔女学校へ留学希望者がいなかったので、交換留学にはならなかったこと。教育省が魔術師学校と魔女学校を統合しようと画策中で、魔術師学校も魔女学校もともに大反対していることなど、色々書いてあった。


 お父さんは、教育省の書記官をしている。これからの魔法業界は能力主義でなければならない。能力のある者が適材適所に着くことが、魔法業界の発展につながるという連中が力を持っているので、こんな非道なことになってしまったと書かれてあった。


 私が魔術師学校に入学するのはその第一歩だそうだ。私は教育省の政策の犠牲者ってことになるのかなあ。


 魔術師学校での成績が魔女学校に引き継がれるので、魔術師学校で良くない点数を取るとその後の魔女学校の学年順位に影響するので、頑張るようにと、エルザの場合、今でも実力的には優に一般の魔術師の能力を上回っているので心配はないが、魔女ということで、減点される可能性が高いとも、お父さんの手紙には書かれていた。


 私は正当に評価されない学校に入学するのか、しかも男しかいない。魔女学校でできた友達は一生の友達って言われているのに。私は生涯、魔女の友達がいない。お母さんと同じ道を歩むことが運命づけられた。


 最悪だあ!


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