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79 適任ならそこに

お読みくださりありがとうございます!

 ディオが眠りから覚めるとヒューゴはすでに城に来ていた。


 ブルーノとの話も終わり、ディオから話があると知ったヒューゴはディオの部屋に向かった。


 ディオの場合は他の部屋で話をするよりも、ディオの部屋で話をする方が都合がいいのだ。ディオの事情を知る人以外の人目にできるだけつくべきではないというのもある。


 シドの案内で部屋に入り、ヒューゴはソファで横になったまま動かないフランをみて心配そうに声をかける。


「フラン、随分とやつれてるなぁ」

「あはは、さっきまで勉強させられたから。シドはスパルタすぎて困っちゃいますよね」


 ぐったりしていたフランが顔だけあげてヒューゴに返す。


「フラン!ヒューゴ様の前だぞ、しっかりしろ」

「はーい」


 ヒューゴを前にしても立ち上がる気配のないフランにシドは注意をし、フランはしぶしぶといった風に立ち上がった。


 ディオもヒューゴも、その辺りはフランを甘やかすつもりはないようで何も言わなかった。


 フランはディオ(王子)の側仕えとしては及第点すら取れているか疑わしい。

 ディオの特殊な事情から許されていると言っても過言でもない。まあ、割と使用人としての態度やマナーなどが壊滅的なだけであって裏方の仕事はけっこう出来たりするだが。


「ほらフラン、お茶淹れてきて。アルド、フランのことみといて」

「え、あ、わかった」


 アルドを見張りにフランに仕事をするように指示をしたディオは円形の机をシド、ヒューゴと囲む。


「ディオ、話があるって聞いたが」

「うん。ダニーにしばらくグレイ伯爵家で領地経営してもらいたいんだ」


 ヒューゴは驚くことはなかったがディオに提案に、その考えはなかったと感心していた。


「トリスから手紙がきてね。父様から聞いてると思うけど、向こうはけっこう忙しいみたいで」

「そうみたいだな。読みが甘かった」


 あまりにも今グレイ伯爵家にいる使用人たちは杜撰で、使用人の仕事をロクに出来ない者ばかりでほとんど任せられる仕事もなく、監視を兼ねた騎士たちとトリスで回しているのが現状だ。


 トリスは一応そこで最高位に位置するため、彼らの統括もしている。そこに女性、というより侍女などの身の回りの世話が出来るのがトリスだけなので業務が多すぎてしまっているのだ。


「ま、リサさんが戻っても当主の仕事を全てやるのは難しいだろうしいいと思うが、指導者が必要かな」


 国から代理を送るつもりだったようで、ダニエルを行かせることには賛成らしい。

 将来、グレイ伯爵家に婿に行くと考えればその土地については知れるのはいいことだろうとヒューゴは考えているようだ。


 しかし、まだダニエルは勉強中のようで領地経営を全てをダニエルだけに任せるわけにもいかないという。


「それと護衛がいるとなおいい」

「期限を問わずできた方がいいよね」

「すぐに出発となるとそうだな」


 領地経営の指導者、期限を問わない護衛。

 ディオもヒューゴも頭を悩ませることなく視線をシドに向ける。

 なぜなら――。


 シド・ブラウ・レグホーン

 レグホーン侯爵の次男であり、第三王子クラウディオに仕え護衛の役目も持つ。


 貴族の次男と言えば、長男に何かがあった時のスペアという考えからも同等もしくは少し質を落とした教育を受けさせられているものだ。それらを踏まえればシドに白羽の矢が立つのは当たり前と言うべきか。


「護衛の数を少し増やせば行けるかな」

「そうだな。それで行こう」


 と、まとまりかけている話にシドが割って入る。


「ディオ、お前も出来るだろ」

「出来なくはないと思うけどさ、理解してもらえる自信はないよ?」

「ああ、そうだったな」


 もちろんディオも護衛抜きにすれば出来る役割だ。

 ディオだって教えるのが苦手なわけではないし、時にアルドに勉強を教えたりする時だってある。


 ただ、ディオの説明はシドやトリス、ダニエルには理解されにくいらしく、ディオが教えるにはあまり向いていない。


「やはりシドに頼むことになりそうだな」

「だね。そうと決まればダニーを説得しないと」


 話はすんなりと進み、残すはダニエルへの説明と護衛の騎士を決めるだけになり、ヒューゴがダニエルの説得に名乗りを上げた。


「ダニエルは任せてくれ。ディオ自身たちは連れて行く護衛を選んで置いてくれ」

「いいの?」

「ああ。これは親として説得したいと思ってな」


 それをディオは了承し、同行してもらう騎士を決めるべく騎士団のところへと向かった。


「――話は聞いております。誰でもお連れください」

「ありがと。シド、任せてもいい?」


 今は手の空いている時期なので誰を連れて行っても構わないと団長が言う。


 立候補制にしてもいいのだがディオの事情もありそういうわけにいかないので、ディオはシドに任せることにした。


 有事の際に動くのはシドであり、そのシドと上手く連携が取れた方がいいこともある。それに騎士団内部のことはディオよりもシドの方が詳しいだろう。


「わかった」


 シドは出来れば団長か副団長のどちらかに着いてきてほしいと頼み、団長はそれを了承。


 それからシドは団長と相談をしながら一緒に行く騎士を決める。

 他の騎士はナサニエルともう1人、咄嗟の判断に優れ口の硬いという騎士が選ばれた。



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