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73フラン、怒られる

お読みくださりありがとうございます!

「時間がかかると思うけど城に戻る?」


 妖精石だと正式に証明するには数日かかるため、フランは精神衛生も考えて城に一度戻るかと提案をする。

 のめり込んだら一直線なアレックスたちが妖精石を調べている間ディオを狙うとは思わないが心配はある。


「戻ってもいいんだけど、ベル兄が仕事しなくなっちゃうから」


 家に帰れば自身の身の安全は確かだと思うが最近仕事が溜まりがちだというジークベルトのことを考えると帰るわけにもいかない。

 そのため、どこかの宿に泊まるかとディオが考えているとデイジーが泊まっていけばいいと言う。


「結果が出たらすぐに出られるように準備だけしておいて、ここにいたらいいわ。調べ終わるまで出てこないもの」

「それは保証するよ」

「それなら、ここで待つ」


 フランとデイジーの言葉にディオは躊躇うように小さく唸ったあと、付き合いの長い家だからこその信頼でしばらく滞在させてもらうことにする。


 デイジーが使用人に客室の用意をするように指示を出して、ついでと軽くつまめるものを用意させる。

 アレックスで疲れただろうから甘いものをというデイジーの配慮だ。


 数日の滞在なので、旅に必要なものを用意すると言ってフランは家の中をうろちょろしようとしてディオが声をかける。


 先ほどケイトリンがフランの新しい服を仕立てたと言っていたので確認しておいた方がいいではとディオが言う。


 1着はリメイクしてカトリーヌに渡したのでそれもそうだとフランはクローゼットを開けた。


 クローゼットを開けると一番に目に飛び込んでくるのはパステルカラーのドレスだった。

 特別驚く様子もなくフランはドレスをさっと確認すると奥にある服を見ていく。


 中に並べられているのは大抵どれも女性のものばかりで、時折フランが普段着ているような中性的なデザインの服があるだけだ。


 それを見ていたアルドは男用の服が見当たらないことで疑うような眼差しをフランに向け、デイジーがクスクスと上品にそれを笑った。


「フランは女の子の格好がとてもよく似合ってしまうから、姉妹揃ってつい着せ替え人形にしてしまうのよ」

「服を仕立てに行くと女の子に勘違いされる上に、姉さんたちが自分の趣味に走るからね。こういう服が増えていくんだ」


 そう言って笑いながらフランは何着かをカバンに詰める。変装用に必要らしい。


「変装って必要あるの?」

「情報収集でね。女の子に対しての方が口が軽くなったりするから」

「トリスじゃダメなの?」


 それならトリスがいれば問題ない気もするのだがフランは首を横に振り、ディオが簡単なことだと言った。


「トリスは美人だけど、愛嬌のある感じじゃないからね。ほら、ちょっと近寄りがたいでしょ。ね、シド」

「まあ、な。あいつは場を和ませながらってのは向いてない」


  ディオの言葉に同意をするシドは、ディオにさせるわけにいかないからその点については助かっていると言う。


「相変わらずご迷惑おかけしているみたいね」


 嘆息するデイジーは説教をするつもりもないようだが、視線だけはしっかりとやりなさいと訴えかけている。


「そう言われても、僕は必要なことを必要な時にやってるだけなんだけど」

「それが事実ならいいのだけど」


 デイジーはフランを信じるつもりがないようで疑いの眼差しをフランに向けると、アルドに真実を尋ねる。

 この場一番嘘をつかないのはアルドだと分かってのか行動だ。


「えぇと、その……ディオが寝てる時に薬作ろうとするのはやめて欲しい」


 逃げ場がないとアルドはつっかえながら本心を語る。

 アルド一人では止めきれず最近では、フランと共に怒られることすらある。半分とばっちりな気もするのだが、同僚になったからには止められなければならないのだろう。


「フラン、急ぎではないのなら避けるべきだと伝えていたはずよ」

「ほら、手の空いてる時に作っておかないと」

「フランのことだから作り置きは十分あると思うけれどね」


 そこについでとばかりにシドが爆弾を一つ投下した。

 内容は薬作りの際に材料辺り一面広げることで、片付けなどすぐに終わらないことが多く困っているということで、デイジーは小さくため息をついた。


「一度ゆっくりと話をする必要がありそうね」

「ちゃんとやってるからね。一応は……」


 歯切れ悪く言うフランは決してデイジーと目を合わせない。

 それどころか、ここに味方がいないと分かっているので助けを求めることもしていない。


「シド様やトリス様に怒られているのでしょう」

「それ、は……」


 反論できないフランは言葉が出ない。

 全くとため息をついたデイジーは視線をフランからディオたちに向けて言葉を紡ぐ。


「フランに至らないところがありましたら遠慮なくお伝え下さい。再教育いたしますので」

「うん、その時はお願いするね」


 ディオがデイジーに返し、誰一人それを反対は者はいなかった。


 ただ一人フランだけは納得いかないような顔をしてしたが、それをひっくり返せるだけの証明もないのでため息をついて全員から視線を見ないふりをすることにしたのだった。



Q.パーチメント家では常識人よりって話だけど?


A.それは母さんとデイジー姉さんの教育の賜物かな。byフラン

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