表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/103

69 両親たちの話し合い

お読みくださりありがとうございます!

「リサ、無事で良かったわ」


 エルザはリサの手を取って心底安心したようにそう言った。


 しっかりと休息をとりながらの道のりだったとはいえ、疲れているだろうリサを休ませた後で、エルザとリサの久しぶりの対面となった。


 リサの元気そうな姿をみて上機嫌なエルザだったが、その笑みをすぐさま違うものに変えた。

 天使のような微笑みではあるが裏に潜むのは悪魔ともいうべき優雅な笑みだ。


「グレイ伯爵はどうしてやろうかしらね」

「うーん、静養だって言っても理由が理由がだし、思いっきりやっちゃっても良さそうな気がしてきますよね」

「フランさん、控えてください」


 火に油を注ぐようなことをするフランにトリスが小声で注意をする。

 シドが席を外している今、フランやディオたちのストッパーになるのはトリスしかいない。アルドではまだ難しい。


 リサとの再会を気を使ったブルーノは別室で控えていて、シドがリサを迎えに行った時のことを詳しくに説明をしている。

 ちなみにであるが、ディオたちも席を外そうとしていたのだがブルーノとダニエルとの婚約の話のために来ていた公爵から、エルザのストッパーになるようにとディオたちはエルザといるようにと指示が出されていた。


「そうよね、フラン。いっそ家ごと取り潰しもありよね。男爵家なら大して問題ないものね」

「それよりエルザ様、薬の実験台になってもらうのはどうです?」


 トリスに注意を受けたにも関わらず、反省の見られないフランはエルザの発言に乗っかっている。


「母様、公私混同はダメだって言われてるでしょ」


 ディオが困ったように発言をする。

 この場にシドがいればエルザを落ち着かせる術があったかも知れないが、シドがいないこの場でリサも止める気がない以上はディオしか収束できる人間がいないのだ。


「そうね。それは後で考えましょう」

「そろそろ父様たちを呼んでもいいよね」


 ディオは誰に指示を出すわけでもなく動かないが、しばらくしてブルーノたちがやってくる。

 どうやら妖精を使って連絡をしたらしい。


 挨拶もそこそこにさっそくブルーノたちは話を進めていく。


 話すのはグレイ伯爵の処遇ではなくて、カトリーヌとダニエルの婚約についてだ。

 グレイ伯爵家についてもディオが(ここ)来るまでの間に話しているので省略する。実際に現地に行ってみて来たディオたちの方がよほど詳しいだろう。


「ダニエル様とカトリーを?」

「そうですわ」


 公爵夫妻がいたことに驚いていたリサがさらに驚く。


「えぇ。兄やアルからの話を聞き、ダニエルもカトリーヌお嬢さんとなら上手くいくのではと思っておりまして」

「先日、ディオ主催のパーティーで引き合わせたところ大丈夫そうでしたから、そちらがよろしければぜひ」


 ダニエルは噂ではかなりのしっかり者であり、エルザの太鼓判があるなら問題はないだろう。

 それに、その人と付き合いのある人はその人を映す鏡と感じているリサは、ダニエルのことを申し分ないと思っているようだ。


 貴族であれば意思の結婚も仕方のないことではあるのだが、母としてはカトリーヌの意思を尊重したいとリサは言う。


「それはもちろんです」


 公爵が言う。

 ダニエルも少々難しい子なので互いが納得出来ないのであれば婚約自体しないつもりらしい。


 嬉しそうな顔をしたエルザは、言い忘れていたとでも言うふうに胸の前で両手をパンと叩いた。


「そうそう、これはカトリーヌを嫁がせるのではなくて、ダニエルを婿に行かせるつもりなのよ」

「ダニエル様を婿に、ですか」


 思いもよらないエルザの言葉にリサは驚きを隠せない。


「ダニエルは昔から当主になるのを嫌がっていてな」

「サポートは得意ですし、なにより陛下のお墨付きがありますからね」

「そうなのよ、リサ。カトリーなら立派に当主をやれるんじゃないかって」


 ただただ驚くリサをよそに問題はなしと話はまとまっていく。


「では、挨拶に行きましょうか。カトリーヌさんの意思を聞くために」

「私も行くわ」


 公爵夫人が貴族の冷徹を隠した笑みを浮かべ言えばエルザが同じような笑みを浮かべて自らも行くと言い出した。


「トリス」


 その様子に大人しく見ていたディオはトリスを呼んで、指示を出した。


「なんでしょうか」

「トリスもついて行って。中の様子次第ではカトリーの護衛兼侍女としてしばらくいてくれる?」

「わかりました。ディオ様は大人しくしていてください」


 すぐに了承したトリスだが、ディオに釘を刺して置く。

 ディオは自分のことを顧みないきらいがあるのでトリスとしては心配なのだ。自分が抜けてしまうと護衛が一人になってしまうこともある。


「出来るだけ家は出ないようにするつもり」

「信用できないですね」


 不確かな言葉を並べるディオにトリスは呆れ、ディオは笑った。

 そして、またトリスには信用のできない言葉を並べていく。


「あはは。でも大丈夫だって、シドがいれば危ないことは全力で止めるでしょ?」

「兄さん()役には立ちませんから」

「おい、トリス。どういう意味だ」


 兄妹喧嘩が始まりそうになり、ディオはあくびを一つしながら二人の間に割って入るとシドたち四人を連れて部屋に戻った。

Q.シドもディオを止められない?


A.なんだかんだ、シドもディオ様に甘い からね。結局は止めずにサポートする形になってることが多いよ。 byフラン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ