19 グリヴェール
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昔ながらの建築物が立ち並ぶ街並みは、この町が古くあると感じさせる。
ゆったりとした時間が流れるのは同じでも、エルムとは随分を違いを感じてしまう。
富裕層の穏やかさを持ったエルムと比べるとグリヴェールは庶民的な温もりがあり、フランとアルドは心穏やかに歩いている。
「元々グリヴェールは開拓者が作った町だから、比較的新しい建物って少ないんだよね」
今ほどものが豊富ではなかったため、開拓者たちが修理をしながら使っていたものを今も受け継いでいるため、グリヴェールは古いものが多いのだとディオが説明をする。
「へぇ、ディオ様は物知りだね〜」
「これは歴史で習ってるはずだぞ、フラン」
他人行儀に返すフランにシドが突っ込むがフランは記憶にないと笑う。
「そうだっけ、あはは覚えてないや」
「では、この地領主グレイ伯爵の成り立ちはいかがですか」
トリスがフランに尋ねると、フランはキョトンと何を言ってるのかという顔をして当たり前のように答えを返した。
「え?それは、遠征に出掛けた当時の王様がここにたどり着いて、妖精の多さに感心した王様がまとめ役だった人に爵位を与えたのが成り立ちでしょ。その人が妖精に好かれる人だったこと、他の人の領地にして下手にこの地が変われば妖精がいなくなる恐れがあるからグレイ伯爵をそのまま領主に置いたんだよね」
「うん。合ってるよ」
「お前は妖精が絡むときだけは覚えてるんだな」
フランの回答にディオは正解と一言。
妖精が絡むときだけは抜群の記憶力にシドとトリスは呆れ、アルドはフランの偏った記憶力に呆気にとられていた。
「グリヴェールの成り立ちは大まかにそんな感じだ、アルド」
「自然豊かな町だから妖精も多くいたって話だよ。今も他と比べると多く存在はしてるけど」
そう言ってディオは宙を見上げた。
ディオの視線の先には妖精がいるようで、同じように宙を見上げたフランはすぐに見るのを諦めるとメモを取り出してディオに細かく話を聞き出そうとしていた。
「ディオ様、詳しく!」
「うん、それはいいけど……」
視線を宙からフランに向けたディオは少しだけ困ったように笑った。
「様子を見にきたって感じだったけど、今どこかに行っちゃった。たぶん、下級妖精だと思うよ」
「なるほど。妖精が逃げたのは何か理由が?」
「いつも通りだろ」
シドが冷めた目でフランを見たが、フランは意に返さずというよりも気づいてすらいない。
歴代の王家たち曰く、妖精はパーチメントの研究熱心する研究熱に辟易しているらしいのだが、代々パーチメント家はそれだけは頑なに認めようとしない。
今回もフランがパーチメントだと知らなくても研究熱を感じ取ったのかもしれない。
ディオは何も言わずお腹が空いたと話題を変えて、新聞屋の前を通ってその先にあった食堂に入る。
新聞を買っていこうとしていたシドをディオは急かしてさっさと食堂に行ってしまうので、シドたちは慌ててディオを追いかけた。
落ち着いた内装の店内では、昼に近い時間ということもあり席もちらほらと埋まっていた。
元気のいい店員の女性はお好きな席へどうぞといい、ディオたちが席を決めて座り注文が決まった頃水を運んできた。
シドがメニューを店員に伝える前にシドを遮ってディオがメニューを注文するが、それぞれが決めたものではないものをディオは注文した。
食べるのに時間のかからないものを頼んだディオは、ごめんとだけいうと愛嬌よく微笑んだ。
注文した料理を待つ間、他の客たちの会話が聞こえてくる。
「アルフレッド様も年々国王様に似てきて、御子も利発だというしこの国は安泰だな」
「そうだな。ジークベルト様としっかりおられるみたいだし」
「お二人とも立派なのになぁ」
アルドはため息とともに出された客の言葉を気にせずに出された水を飲んで、カップを置いたとき、シドが音を立てず指で机を叩く様子か目に入った。
なんとなく気になってそれを眺めていたアルドにディオは困ったような顔をして笑った。
料理が届くとシドとトリス、フランはいつもより早い速度で食事を食べて、なんとなくつられたアルドはむせながら早く食べきった。
ディオは変わらないペースだったが食事量を少なくしていたのでほとんど食事が終わるのは同時だった。
さっさと食堂を出たディオたちは、少しだけ町を散策する。
ディオはいつもよりシドたちに迷惑がかかるように騒がしくしていたが、シドたちはため息をつくだけで何も言わなかった。




