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17エルムの町

お読みくださりありがとうございます!

 馬車から降りたディオたちは散策をしながらエルムの町をゆっくりと歩いていた。


「この町って歩きづらい」

「ねー。アルド君もそう思う?」


 アルドは不満げな顔で独り言をいって、それにフランが同意をする。


 道がでこぼこして悪路というわけではない。むしろ、平らな地面は歩くのに適していて歩きやすい。


 道路沿いにある店はどれもアルドから言わせれば上品な店構えで、行き交う人々は誰もがゆっくりと歩いていて忙しくしている人は見当たらない。


 賑やかというよりゆったりとした時間が流れるエルムは、高級品を扱う店が多く気品溢れる町といわれる場所だ。


 アルドには慣れない雰囲気であり、堅苦しい場所が苦手なフランからしてもあまり好きこのんで訪れたい場所ではない。


 先頭を歩くシドも一番後ろを歩くトリスも平然と歩いていて、それが妙にこの町に似合っている。

 彼らにとってはこういった町の方が歩きやすいのかもしれない。


 ディオはというと、大していつもと変わらずマイペースだ。

 この町に気後れしているわけでもなく、かといって馴染んでいるわけでもなく。いつも通りディオはディオだった。


「高級店が多くて馬を中まで入れられないのが困るけど、仕方ないね。どこもそんなものだし」


 少し眠たげなディオはそう言って、眠気を飛ばすために首をプルプルと横に振った。


 高級店が多く並ぶ場所は、完全に歩行者のみしか歩けず、警備員も多く置かれていてある程度の安全は確保されているのだが、厩舎との距離が離れているので移動が面倒なのだ。


「アルドもフランも少しだけ頑張って、宿に着いたら美味しいもの食べよう。部屋で食べれるようにするから」

「頑張る!」


 ディオの言葉にフランがやる気を出す。

 この道さえ通り抜ければ一旦気後れする必要もない。今日は宿に着いたらやることはないので、頑張れる。


 それから十分ほど歩いて宿に着き、部屋に入るなりディオはベッドに倒れこんで寝てしまったので、シドはディオをうつ伏せから仰向けにして毛布をかけた。


 宿は高級店が並ぶ場所にふさわしい外観に、内装も気品溢れていたのだがフランは宿に着くとけろっとしていて、ルームサービスのメニュー表を眺めて何を食べようか悩んでいる。


 アルドは慣れないようで落ち着かないらしく、床が一番落ち着くと床に座った。

 それでも柔らかな絨毯に座り心地は慣れないせいかいまいちだとため息をついていた。


「アルドさんは何を食べますか」


 トリスはアルドにメニュー表を見せると、自身はアルドの隣に座り込みアルドがメニューを読むのを手伝い、想像のつきにくい料理を説明していた。


 全員のメニューが決まりトリスが注文のため部屋を出る。

 ディオの食事についてはシドが選んだ。


 食事後、休憩を挟んでシドがアルドに勉強を教えているとディオが起きてくる。


「おはよう。もう、食べた?」

「ああ。お前の分は机においてある」


 まだ少し眠そうなディオが食事は済ませたのかをシドに尋ね、シドは食べたといったあと、ディオの分も注文してあるとディオに伝える。


「そっか、ありがと」


 ディオが席に着くとフランが水をすぐに用意をして、二人に礼を言ってからディオは冷えた食事に手をつける。

 冷めていても美味しいとフォークとナイフを上品に使って食事を済ませたディオはフランにお使いを頼んで一冊のノートを広げた。


「夜までには帰ってくるからね」

()()()()()


 お使いを頼まれたフランは小躍りしそうなほど上機嫌で急ぎ荷物をまとめると部屋を出て行き、それを不思議そうな顔してアルドは見送った。


 ノートに何かを書いていたディオは手を止めてトリスを呼び、本を読んでいたトリスがすぐに返事をしてディオの方を向いた。


「トリス」

「薬お持ちしましょうか」

「ううん、お茶淹れてくれる?」


 ディオの顔色がわずかばかり悪い気がして、トリスは薬を用意かと思ったがディオはそれを断るとハーブティーを淹れるように頼んだ。


「同じ気休めなら美味しい方がいいから」

「すぐにお持ちします」


 お茶を淹れる準備をテキパキと進めるトリスをみて後、ディオを視界に入れたシドがため息をつく。


「ったく、ディオ!フランには伝えたのか」

「一応はね。建国祭と比べたら影響はないから、問題はないよ」


 フランをお使いに出したことも考えると明らかな体調不良ではないのだろうが、半分は隠し通そうとしている辺りシドにとっては怒る理由になる。


「だからって隠そうとするな。それこそ、この旅は即終了になっておかしくないんだぞ。ただでさえお前の体調は読めないんだ」

「う〜、気をつける」


 唸ってシュンとなるディオは、トリスの淹れてくれたハーブティーが入ったカップを両手で持つと息を吹きかけて冷ましていく。


 ゆっくり時間をかけてハーブティーを飲み干したディオは書きかけのノートを書き進めて、インクが乾くのを待ってから閉じる。

 そして、シドとの勉強を終えてゆっくりしているアルドにノートを渡す。


「なにこれ?」

「簡単なマナーノート。貴族とかいわゆる上流階級なんかは作法とかうるさかったりするから」


 商人として出入りすることも多く、そうでなくても覚えておいても邪魔にならないからとディオは言う。


嫌いなもの()も知れば対処もしやすいってね。分からないことがあったら今まで通り聞いてね」


 マナー(それ)についてはフラン以外に聞くようにとディオは付け足し困ったように笑うのだった。

マナー系統については、フランの知識では不安が残ります。

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