プロローグ 『争いのない世界へ』
―――97...98...99...100
何もない荒野で、魔物を斬りながら頭の中で今日も殺した魔物の数を数えていた...
この世界に生まれた俺は田舎の村ですくすくと成長し、そこで幸せに暮らしていた。
仲が良かった友達もいた。
好きなやつだっていた。
大切な家族だっていた。
この村で一生を終えたいと思っていたけれど、神はそれを許してはくれなかった。
16歳の誕生日の日に俺の頭の中に、突然声が響いてきて俺にこう告げた。
「貴方は、勇者に選ばれました。この世界を統べる魔王を倒し世界を救うのです...」
後に、この事を家族に告げたら家族は大喜びした。
―――貴方は、神に選ばれたんだよと...
それからは、村を出て王国へ行き、王様から魔王を倒す為の装備を貰い、旅に出た...
旅の途中で仲間達と出会った。
結局、仲間達とは別れる事になったが1人でも、魔王を倒す事が出来た。
国中から賞賛された。その声を聞くたびに戦いに明け暮れた日々を思い出した...
―――元々、俺は魔物を殺したくはなかった。殺すのがとても怖かったんだ。血を見るのが怖かった。剣で斬る時の音が怖かった。
殺す度に吐きそうになった。
―――辛かった。
―――泣きたかった。
けどそれも最初だけで、魔物を殺していく内にその感情もなくなった。いつのまにかただ敵を殺すだけの殺戮マシンになっていた。
―――魔王を倒した後も変わらなかった。王様に魔物の残党を狩ってきてくれてと頼まれそれを忠実にこなすだけの機械だ。
―――そして、今日も1人で魔物を狩っていた。
一通り魔物を狩り尽くした俺は仲間だった魔法使いの言っていた事を思い出していた。
「ねぇ、知ってる?魔法の中には一度人生をやり直す事が出来る魔法があるんだって。私には分かるよ、勇者様の気持ち...だから、勇者としての責務を果たしてからとかじゃなく自分が辛くなったら使ってね!その方法はね―――」
俺は魔法使いの言っていた事を思い出し、その魔法を使うことにした。
魔力を使い、魔法を起動させた―――
神さま、俺の願いを聞いてください、、、
出来ればどうか争いのない世界に僕を転生させてください...