見えない服を売る仕立て屋【完結】
作品タイトル:見えない服を売る仕立て屋
作者:北田 龍一さん
あっちこっちで「バカには見えない服」を売る詐欺師がいた。
本日の獲物はのほほーんとした温厚な王様である。
本人は自分のことを愚か者だと思っている。
「見えん。すまぬ」
王は正直でもあらせられた。
ある意味勇者である。
みんなに「あいつ詐欺だぞ」と言われているのに「でも嘘かどうか賢い人に見てもらおう」とか言ってる。しっかりしてください。
どうにも頼りないようでみんなが支えたくなる王様。
中国古典『貞観政要』が説く名君のあり方を案外体現しているのかもしれない。
おそらく宰相はインド古典『実利論』読み込んでいてもおかしくないが。
人には人の、王には王の、学者には学者の、魔女には魔女の道がある。
本日もなにもなし。
ここは平和な王国であった。
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裸の魔女を笑わないで
[2021年 12月 09日 12時 41分]
詐欺師はあなたを美しいと認めてくれる。
あなたの衰えつつある美貌はまだ輝いていると。
愚者に見えない宝石に純白のヴェール。異国の珍獣を可愛くあしらったレース編みの縁取り。煌めくガラスの靴はほら、こんなに高くあるのに踵を痛めずあなたは踊りだしたいほど心が弾む。
金色の太陽光を通す日傘を天に捧げ泥を弾いて踏み出してみて。
私は、私たちほんとうは愚かなのだ。靴は効果なく爪先を泥のペディキュアにする。
干からびた爪には涙のマニキュア。なのに私は賢い美しいと思いたいのだ。
正直で愚かな王だけがこの呪縛から逃れ得た。
強く威光に溢れたものが詐欺師を平伏させた。
あなたの今持っているスマートフォン。
ひょっとしてかつて詐欺師たちが売り歩いた見えないドレスかもしれません。
是非ご覧いただきご購入ください。そして哀れな魔女に愛のマントをかけ泥で傷つく脚に薬を塗ってください。
作品タイトル:見えない服を売る仕立て屋
作者:北田 龍一
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