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超高速!参勤交代
2014年 ‧ コメディ/時代劇 ‧ 1時間 59分
英語から翻訳-サムライハッスルは、本木克秀が監督を務める佐々木倉之助、深田恭子、井原剛が主演する2014年の日本の映画コメディ映画です。 2014年6月21日にリリースされました。 2014年オーストラリアの日本映画祭でサムライハッスルという名前で紹介されました。 ウィキペディア(英語)
初公開: 2018年12月7日 (インドネシア)
監督: 本木 克英
映画シリーズ: 超高速!参勤交代
興行収入: 9億円
受賞歴: 日本アカデミー賞 最優秀脚本賞
Samurai Hustle!
映画『超高速!参勤交代』は邦画でしかも時代劇と……うん。マイナスの塊である。
そもそもチャンバラなんて今どき流行らない。たまにヒットしても人情物だったり。
だいたい流派ごとに異なるこだわりの剣術アクションなんてやって誰が理解できるのか。
現代剣術家がインターネットの力で研究考察を深めている逆手持ちや、剣を正中線に置かず重力中心線とする、あるいは西洋剣術の要素も含む動きの妙味などわかる奴にしかわからん。例えば山口の武蔵小次郎像なんてちょっと剣をかじった人間からすればギャグにしか思えん描写と構えだ。
どこぞのレビュアー曰く、『るろうに剣心』のほうがアクションは良いそうだ。るろうに剣心のほうにレビュー書いてください。
そんなものやるくらいなら今回の主題は『早く目的地に到達する』わけだから逃げるのが正解、そういう意味では派手に立ち回るパルクールでもかましたほうが『実戦的』なのかもしれないしウケも取れる。
ウケは大事だ。お弟子さんが増えるしけが人が出ないので結果的に修練するものがふえ収斂し習練するものが流派を盛り上げてくれる。実際昔の空手映画は『本物の武術を見せる』といってクッソつまらなかったらしく、派手さや受けを大いに考えたブルースリーに駆逐されたそうである。結果的に空手道場大人気になったが。ありがとうブルースリー。
先ほどはネガティブ要素をあえて述べたが、実際はあえてレビューする必要がないヒット作である。
なんせタイトルで『うぉっ?』となる。なんかよくわからんがサムライが走りそうである。超がついていて現代感覚があって若者に受けそうだ。プロモーションビデオの時点で倍速で走って行ってそれだけでクソ笑える。外国の人に超ウケそうだ。
実在の人物も絡めた痛快無類娯楽時代劇。つまりある意味現代の現身。
古に理想を求める古物復旧の思いは西洋ファンタジーでも現代時代劇でも韓流ドラマでもNHK大河でも共通する。
深キョン超キレイだし。いや、冒頭でクッソ汚い飯盛り女を見事に演じているのでさらに良いのだ。
あえてアクションで難をのべりゃ逃げの一手としてそれこそ飛んだり跳ねてりゃよかったかもしれないが、この作品の登場人物たちはあくまで両手両足の延長として武器を自在に操る。投げる極める武器を奪う敵の武器でからめとって動きを封じる。実に渋い……。って、ちゃんと逃げろ! そういう意味では『るろうに剣心』を持ち出して殺陣師を批判したどこぞのレビュアーの言い分も理解できる。
(※飛天御剣流は『集団を相手にするための剣術』らしいのであのどうしようもなく徹底して『映え』重視で『はったり、驚かせる』重視の常人には無理な体力ごり押しな動きは『逃げ回る』ためにはある意味合理的とこじつけ可能である……というか『るろうに剣心』で剣心自身が逃げ回って敵を分断して個別に斬ることを推奨している)
武器は正しく腕の延長として用いよ。剣は棒のごとく扱えを信条とする人間にとっては良いと思う。
特に続編の 本作の登場人物が多用する逆手持ち替えの多用は剣線を動かし敵の守りをすり抜ける技とし身体技法研究家甲野氏の動画でも紹介されているが、二刀流は武術経験者を名乗る方でも恥ずかしいことに「使えない」とする方が幾ばくかいる。
しかし『リターンズ』41:03に至るまでの動きを見てほしい。敵の剣を奪い、抜刀と格闘で制圧しつつ敵の武器を用いて動きを封じつつ左右の抜刀を用いて敵を制圧し、さらにその武器を躊躇なく味方に投げ渡してしまうのです。との! さすがです!
武士にとって武器を預けるということは命を預けることであり、殿様は自ら手を下すことも厭わず(家中ですらなく身分卑しい敵にすら対等に接する度量がある)、家臣を信頼していること、家中の者は武器を持たずに走って移動しているという前作設定をちゃんと踏襲している素晴らしい演出だと感じいる次第。
(※居合の練習をクッソ寒い冬場にあえて蹲踞技をやらされたっけ……。蹲踞姿勢は武士の間にも階級があり、身分が下の者は常に座っていないといけない事から発達したらしい。その身分制度を感じさせない破天荒な殿様として描かれるこの物語の内藤政醇は実在の人物ではあるけど現代人の理想の一つとして構築されたキャラクターである。なんせなろうの主人公宜しく少人数で戦をやってのけるのだから。徳川300年の平和ぶっ壊しで藩取り潰し待ったなし!)
さらに家中のメンバーも正しく武器は素手の延長とした動きをし、無手の動きと剣の動きに違和感なし。むしろ剣を正しく棒として扱い手を伸ばす動き。二刀は正しく腕を伸ばすために用い、状況に応じて左右の腕で刀一本を使えるよう訓練した上で手脚をからめ取り投げ極めを行う過程で組討を踏まえて左右の剣を等しく用いるべしと愚考している人間には目を見張るワイヤーアクロバットに頼らずに一瞬で魅せる役者さんのアクションに喝采した次第である。
って、ストーリーにレビューしてねえ!
良いんだよ。だって他人のレビューに触発されて『殺陣師は悪くねえ!』とヤフーレビューに書いた記事がもとだからコレ!
親しくしている豪農の作った大根を将軍に納めてしまうような領主がいた。
とても気さくで飯盛女から徳川直系にまで愛される男。ひとたび剣を取ればその卓越した居合の技は一騎当千。かつていわきと呼ばれ、現在福島県と呼ばれることになる湯長谷藩の領主さまである。
将軍に大根を贈ったいなか侍と揶揄され、金山開発してみたら鉄の一種が出て意気消沈な貧乏領主。
だけど領民から慕われ、誰にでも態度を変えない(礼儀作法はわきまえている)。
そんな彼は久しぶりに領地に帰ってきたら(※当時の領主は参勤交代といって領地と首都を定期で往復する必要があり、莫大な費用と時間を必要とした。結果的に領主たちは反乱が起こせず300年の平和の基となったが過酷な重税の基ともする人もいる)『もう一回参勤交代。福島県いわき市からトーキョーまで。できなかったらお家お取り潰しでキミら切腹ね(プゲラ)』と2020オリンピック委員会もびっくりな通達が来ていた。
それはキレるわ。
そもそも軍資金がない。旅費がない。時間もない。
知恵者の過労、もとい家老に頼るしかない。
「との! 武器防具ぶん投げ、町場だけハリボテもって、全力疾走で江戸に向かいましょう!」
なにそのミッションインポッシブル!!
そもそも武士が刀を捨てて走るなんてとんでもないけど前例がある。秀吉公だ。
かくして福島県いわき市から東京まで家中の精鋭たちが全力疾走で駆け抜ける事となった。
時にはマッパである。ほんとあり得ない。
え、殿は籠に乗らないといけないのじゃなかったか?
猿の子を代わりに乗せておこう。軽いし。幸い殿は閉所恐怖症。
難所難所なので山道に通じる忍びを雇い、走る走る殿様以下。
金山利権を狙い、お家取り潰しを狙う老中の罠を潜り抜け、時々ロマンスも。
(佐々木蔵之介当時48歳、深田恭子当時31歳で時代背景を考えたら年相応の枯れた、身分ちがいのロマンスという良い話でもある)
無事罠を潜り抜けても帰るまでが参勤交代。
予算がないぞ参勤交代。みんなで走るぞ参勤交代。
なんか知らないけど戦もはじまる参勤交代。
裏切り、ほだされ、黙って再加入。黙って迎え入れ。
反省しない。反省してもほだされるのが人情。
老中全然反省していないぞ参勤交代。
急げ平和の礎たち。
君たちは正しくサムライハッスル。
山口の武蔵小次郎像は『燕返し』という創作の技に対する空想のアンサーとしてあり得ない構えとして作られたと一部の人には言われているが、意外と現代の剣術家には肯定的にとらえている方もいる。
異形にして真。
真にして虚。
エンターテイメントの本質は、常人にはわかりかねると偉そうに述べるものがいても、常人が文句なしに皆喜ぶからエンターテイメントなのだ。
翻って天才の筆致は常人の発想を超えた真理に到達することもある。異形の剣術をさらに異形に描いた像のように。
細かいことなんて気にせず、君は、君たちは幸せに向けて走っていけ!




