表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

イエナイキズ

作者: 葵枝燕

ずっと 声がしている


お前には無理なのだと

そんな夢は無謀だと


そんなふうに言う声がする


忘れたはずの 少女の頃

遠い過去に成り果てたはずだったのに


ふと思い出しては

あの言葉は

今も私を苦しめる


ねえ きこえないの?


あなたの言葉が

過去の私を傷付けたこと


あなたの言葉に

過去の私がひとり 涙を流して怒ったこと


あなたの言葉に

今も苦しめられているのに


私の声がきこえないの?


痛いよ

苦しいよ

悲しいよ


何で きこえないの?


こんなにも 近くにいるのに

どうして こんなにも遠いの?


私の抱えるこの傷に

私のイエナイキズに


何で 気付いてくれないの?

 こんにちは、葵枝燕です。

 『イエナイキズ』のご高覧、ありがとうございます。

 この詩を書いたきっかけは、私が中学生くらいの頃、母に言われたある一言にあります。あの頃、将来なんてまだわからなくて、漠然と「作家になりたい」と願い、それを口に出したことがありました。そんな私に母が放ったのは、「あんたは今の倍は頑張らないと、作家なんてなれないよ」という感じの一言でした。母としては、私を鼓舞するつもりだったのかもしれません。それでも、私はその一言に、ひどく傷付いたのです。私はただ、それがどれだけ途方もない夢だったとしても、それを肯定してほしかったのです。私にとって母のその一言は、自分の全てを否定されたに等しい言葉でした。そんな憤りを、姉にぶつけながら泣いたのを、今でも憶えています。

 きっと母は、あのときのことなんて忘れていると思います。私が今も、母のあの言葉を思い出しては、あのときの傷が疼いているのを、きっと知らないと思います。例え言ったところで、母にはきっとわかるはずがありません。この傷はきっと、一生癒えることはないでしょう。

 “イエナイ”には、“癒えない”と“言えない”の二つの言葉をかけたつもりです。癒えることもなければ、それを引き起こした本人に言えるわけもない、そんな傷が今もあるように思います。

 そんな出来事を、詩にしてみました。

 拙作のご高覧、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 私にもこういう風に心にずっと引っかかっているものがあります。 これは本当に、どうしたものなのでしょうねぇ……。
2019/03/13 22:33 退会済み
管理
[良い点] 安易に発した言葉がイエナイキズになる。 言葉はときとして凶器になり、人を傷付けるとは言いますが、ぼくも知らずにだれかを傷付けていたかもしれません。そんな自戒を含めてこの作品を読ませて頂きま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ