新しい家族
投稿が遅くなりました。
申し訳ございません。
「シオン、少しいいか?」
「なんでしょう?父上。」
俺が裏庭で魔法の練習をしていた時に後ろから父上が声を掛けてきた。
俺は3歳になり、貴族同士の交流が無いと屋敷の外に出歩くのは禁止となっていた。
その間、暇な時間はひたすら魔法の練習をしていた。
当然、最初の頃は母上やシャルにばれていたが、最近は何も言って来なくなった。
俺自身の魔法の扱いが上手くなったのであろう。決して俺が異常だから魔法について触れられない訳では無いと思いたい⋯⋯⋯。
「シオンの魔法の先生を雇おうと思っているんだ。これから募集を掛けるから、恐らく1ヵ月くらいで来てくれると思う。シオンもいきなり知らない人が来ても不安だろうから、あらかじめ知らせておいた方が良いと思ってな。」
「先生ですか?どなたがいらっしゃるのかはまだ分からないのでしょうか?」
「まだ決まっていないから誰とは言えないけど、できれば賢者様に来て頂けるのが一番いいんだが、賢者様も王様から色々と依頼を受けているから、もしかしたら断られる可能がある。だから先に賢者様にお話しをして、断られたら冒険者などに依頼を出すことになると思う。ああ、冒険者と言ってもそれなりのランクに依頼を出すから、横暴な態度をとられることは無い。だから安心して良いぞ。」
父上が言うには、魔法の才能が俺にはあるらしいので、その才能を早いうちから伸ばしたいそうだ。
剣術や槍術などの武術に関しては、小さすぎると体を壊してしまうため、先に魔法を習って体が出来てきた頃に別の家庭教師を雇ってそっちの方を鍛えるらしい。
なんでこんなに協力的なのかといえば、俺が生まれてすぐに鑑定士が呼ばれて俺の鑑定をした。
俺はその時までに隠蔽のスキルを鍛えていて、当日は隠蔽でスキルの欄を弄ったのだが、スキルのレベルが5段階しか下げられず、結局全てのスキルを最大5下げて鑑定をしてもらった。
どうやら、スキルレベル1に対して1レベルしか他のスキルを下げられないようだ。
鑑定士は非常に驚いており、鑑定結果を両親に伝える。
両親は非常に驚いたが、同時に喜んでもいた。
普通は赤ん坊の時にスキルは多くても2つか3つ持っているものだが、俺は隠蔽で隠せるだけ隠しても7個のスキルを持っている。そして、極めつけは異常な高さのステータスだ。
―――俺はステータスを変えるのを忘れていた。
だが、俺は両親と鑑定士の会話を聞いて不自然な点に気付いた。
スキルは7個と鑑定士は言っていた。
俺は、剣術、槍術、弓術、〈火、水、風、土〉の魔法、アイテムボックス、言語理解がレベル10で鑑定を使えば9個のスキルが表示されるはずなのだ。
それなのに、鑑定士は7個のスキルがあると両親に伝えている。
何かおかしいと思い、俺は自分のステータスに鑑定を掛けてスキル欄のスキルを見ると、アイテムボックスと言語理解、経験値倍加に共通してある項目があった。
『隠蔽、鑑定の対象外となる』と。
(つまり、隠せないけど周りの人からも見れないって事か?)
俺は、その事実に若干の違和感を感じたが、自分にとって非常にありがたかった。
そのことに安堵しつつも、俺は聞いてしまった。
両親が俺の今後について嬉々として話し合っているのを⋯⋯⋯。
そして、話は戻るが、その話し合いの結果として俺に家庭教師を付けるという話になったようだ。
実際ありがたい。
俺の今のレベルが分かるし、一人では効率のいいやり方は分からない。
俺は貴族家の次男として、家を支えていかないといけないため、学園で失敗しないため、良い教師を雇って欲しい。
父上とはそこで話を終え、俺は母上に会いに行く。
母上の部屋は屋敷の2階、中央にある階段を上って右手側の奥から3番目だ。
母上はいつもは父上と同じように、書類の整理や貴族同士の付き合いで買い物や茶会に参加している。
だが、最近は屋敷の外にはほとんど出ず、いつも自室の中にいて本を読んでいる。
「母上、お身体の調子はいかがですか?」
俺は母上の部屋のドアをノックして入り、母上に聞く。
「そうね、今日はそこまで悪くは無いわ。心配してくれてありがとう。」
母上は珍しく、ベットの上で横になりながらそう答えてくれた。
そのあと、母上と他愛無い会話をして部屋を出た。
(早く調子が良くなればいいのにな⋯⋯⋯。)
それから、大体1か月後にその時は来た。
屋敷の中には元気な赤ん坊の泣き声が響く。
そう、赤ん坊だ。
母上が最近屋敷の外に出なかったのは、別に病気とかそういったモノではなく、妊娠していたのだ。
俺はこれでお兄ちゃんになったのだ。
弟か妹か。
俺はその結果を早く知りたくて、ウズウズしながら待った。
結果は妹だった。
我が家に新しい家族が出来たのだ。