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気儘に異世界を冒険したい  作者: 雨空ウテン
5/12

すれちがい⋯⋯⋯⋯。




 俺はようやく記憶の回想から戻って来た。



 先程まで、地球の神と話していたが、改めて視線を向けると何故か顔周辺が集中的にボロボロになっており、正座しているこちらの世界の神と、その前で偉そうに腕を組んでいる地球の神がおり、なにやら話している。


 俺は何を話しているのか疑問に思い、そちらの方へ歩いていくと、俺が動いたのを察知したのか、地球の神の方がこちらへと視線を向けてきた。


「いったい、何の話をしていたんだ?」

「今は、こいつに依頼をしていた、お前の加護の件についてだ。因みに、俺はもうお前には加護を与えていたんだが、こいつはお前に加護を与えるのを忘れていたようでな。さっきまで別の話をしていたんだが、お前がこっちに来てからどの位経っているのかを話していたら、段々とこいつの話があやふやになって来たから、何が原因でそうなっているのかを丁寧に問い質したところ、そういった話になったから、お話をしてたんだ。」


 地球の神が俺に対してそう返答してきたので、こっちの世界の神を見れば、さっきまでは俺を見ていたはずなのだが、急に視線を逸らすかのように俺とは反対側に視線を向けた。


 それを見た俺は、地球の神が本当の事を言っていたと分かった。

 俺は、地球の神にもっと詳しく話を聞こうと思っていたが、地球の神がこっちの世界の神に話を始めた。


「そういえば、てめえはどんな加護を与えるつもりなんだ?」


 その声にはっとした顔をして、こっちの世界の神は話を始めた。


「そうじゃった!そのことで、儂は今回呼んだのじゃ。」


 その言葉に地球の神は眉間に皺を寄せて、こっちの世界の神を見る。というか、睨んでいる。


「儂は誠也に欲しいスキルを選んでもらおうと思って、目が覚めるのを待っておったのじゃ。誠也が今持っているスキルで問題がなければ、そのスキルに活かせられるスキルを儂が選んで、その中から好きなものを与えようと思っておる。もし、全く違う種類のスキルが欲しいのなら、好きな系統のスキルを与えることも問題はない。何を選ぶのかはお主次第じゃ。」


 そう言って、こっちを見てくる。


「俺は、今持っているスキルを活かせるようなスキルが欲しい。あまり広い分野を持っていても、そのスキルを活かしきれない可能性がある。だったら、同じ系統のスキルを貰って、活かしやすくした方がはずれの可能性は低いだろ?」


 俺は、地球の神に視線を送ってそう聞いたが、返ってきた言葉はそれを肯定する言葉ではなかった。


「俺は違うと思うぞ?スキルは確かに同じ系統の方が活かしやすいが、スキルの中には適性があって、ある程度の努力を重ねれば身に着けられるものもある。例えば、補助系統のスキルだな。身体強化や、魔力回復速度上昇、他には同時詠唱や並列思考、魔力量増加、魔力操作、精密射撃、召喚魔法などだな。まあ、最初からあるに越したことは無いが、今回のは最初からじゃないと取得できないようなスキルを選んだ方がお得だぞ?まあ、俺も何を選ぶかはお前に任せるがな⋯⋯⋯⋯⋯。」


 いろいろな情報を聞けたぞ。努力で手に入るスキルもあるのか⋯⋯⋯⋯。そう考えると、強化系は後でも良さそうだな。


「そうだな、そう言われると、少し考えたいな。何か参考になる資料とかってないのか?」

「これのことか?」

 そう言って、地球の神は待ってましたと言わんばかりの速さで紙の束を懐から取り出した。俺のところから見ると、大体国語の辞書のような厚さの物で、A4の用紙くらいの大きさだ。それを俺に読めと??


「そんなに分厚いものなのか⋯⋯⋯⋯。もっと見やすいものとかは無いのか?」


 地球の神にそう問いかけると、


「だったら、お前の頭に直接情報を送り込むか?」


 と、軽い調子で返って来た。


「それができるんなら、初めからそうしてくれよ⋯⋯⋯⋯。」

「いや、大体の情報の量を分かりやすくした方が親切かと思ってな。」

「――――そうかよ。――――!?!?」

 

 そんな他愛もない話をしていると、急に頭の中に情報が流れ込んできた。


 目の前の地球の神が特に気になるような動作をしたようには見えなかった。


 だが、情報の中身は確かにさっきまで話していたスキルの内容だ。


「――――あんた、何をしたんだ?」

「あん?決まってんだろ。お前の頭の中に直接情報を送り込んでやったんだよ。」

「待て、あんたの事をさっきから見ていたが、特に何かをしたようには見えなかったぞ。」

「当たり前だろ。魔法なんかイメージだけで使えるっての。お前が今いる世界でも、詠唱や動作無しでも魔法を使えるやつはいるぞ。国に仕えているような奴は、ほとんどそれを隠しているようだけどな。」

「じゃあ、さっきの俺に手を向けて使ったのも隠してたのか?」

「いや、別に隠していた訳じゃねえよ。ただ単に、そっちの方が初めて魔法を見るような奴は感動が増すと思ったからな。だから、最初はそっちの方法で行使しただけだ。別に、お前に隠していたってなんになる訳でもねえしな。」


 と、何でもないかのように言ってきた。


「そうか、分かった。じゃあ、少し時間貰うぞ。」

「おう!じっくり考えろよ。」


 俺は、そう言って少し離れた場所に座り、瞑想するかのように目を瞑った。







 ――――それから、およそ1時間ほどかかって、ようやく俺の欲しいスキルを決めた。


「待たせた。数が多すぎるから、時間かかった。」

「いや気にすんな。じゃあ、好きなもの5個教えろ。」

「――――え?」

「ん?」

「今、何て言った?」

「いや、好きなものを5個選べって⋯⋯⋯⋯。」

「5個!?」

「そうだぞ、5個だ。」

「1個しか決めてないぞ⋯⋯⋯⋯。」


 俺は、好きなスキルを選べとしか言われていなかったから、1つに絞るまで考えに考えた。

 だが、神は無情だ。

 俺の時間を返して欲しい。

 そして、少し時間を欲しい⋯⋯⋯⋯。


「すまん、そんなに選んでもいいとは思っていなかったから、また少し時間をくれ。」


 俺はそう言って、また時間をかけて考え直すのだった。






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