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心機(仮題)  作者: 山葵
第一章 「アンドロイドと心」
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第四話 「平穏な日常の終わり」 2

 玄関のドアを閉め、外界との接触を遮断した。これ以上氷華に関わると俺の平穏な日常が音を立て崩れていくような気がした。折角戻ってきた日常を再び壊す訳にはいかない。俺は全力で断る理由を考えるが、氷華の言っていた意味も分からないまま断る理由を考えても思いつかないのは当然である。だが、この扉を開けると俺には拒否権がないような気がしてやまない。この窮地をどうやって切り抜けるか…最悪、窓から逃げる覚悟も必要かもしれない。

まるで借金取りと対峙している気分だ…このまま籠城したところでドアを破壊されるの可能性が高く、それは俺のお財布にやさしくない。ドアを壊される前にこちらから開けた方が賢明だろう。なにより大家さんに怒られるのが一番怖い。

一つ深呼吸をし心を落ち着かる。結局、対策なんてものはなく再びドアをゆっくり開ける。そこには先程と変わらず氷華がいたのだが、拳を振り上げ今にもドアに殴りかかろうとしている途中だった。

ほらね、予想通りだったろ?お前の行動はまるっと御見通しなんだよ。

「何をしようとしていたんだ?」

「いえ、大したことではないですよ。ノックをしようと試みていただけですわ」

「ノックをするのにそんなに拳を上げる必要はない…だいたいインターホンがあるんだからノック必要すらないんだが」

「確かに、では今度からはインターホンを押しますわ。…拳で」

「そこは指で押せよ!なんでも壊そうとするんじゃない!!弁償するのは俺なんだぞ!?お前も一度大家さんの怒りを受けてみろ!」

大家さんの怒りは、神の怒りに匹敵するからな。穏やかの人ほど怒った時は怖いと言うけど…あの人の場合は怖いってレベルじゃない。

「なぜ私が怒られなければいけないのですか?元を辿れば貴方が勝手に扉を閉めるのが悪いのではなくて?」

「うっ……確かにそうなんだが…でもそれが扉を壊す理由にはならないだろ!」

「いいえ、私にはそれだけで十分理由になるわ。それが従者としての務めよ」

「お前、なんでもかんでも従者の務めって言えば許されると思ってないか?そんな都合のいい理由があってたまるか!」

声を荒げ反論にでるが氷華は涼しい顏をして話題を逸らす。

「まぁそんなことはどうでもいいわ、それで?扉を開けたって事は受け入れるってことでいいのよね?」

どうでもいい訳ないだろ…こっちにとっては死活問題なんだよ。これ以上俺の日常を荒らさないでくれ。

小さく溜息を吐き、もう一度尋ねる。

「さっきのではよく意味が分からなかった、もう一度説明してくれ。受け入れるかどうかはそれからだ」

「分かりました、では…」

氷華は一つ咳ばらいをして喉の調子を整えた。


「「ここを特別アンドロイド研究施設とする」」


他人の玄関先で高らかに声を上げ宣誓した。

……いや、さっき聞いたのと一緒じゃねーか!!俺の質問の意味分かってる?もしかして俺の言葉が理解できなかったのか、それとも俺の話を聞いていないだけなのか…あと大声を出すと近所迷惑だからやめて下さい、お願いします。

俺の浮かない表情を見て氷華は首を傾げる。

「納得されていない御様子ですが、どうかされましたか?」

「今の宣誓で納得できる人間なんてこの世に一人もいないと思うぞ、俺が知りたいのはなんでこんな事になっているかの経緯だ」

「そうならそうと始めから言って下さい。紛らわしい御方ですね」

俺は始めからそのつもりだったんだが…そうだね、俺の語彙力が足りなかったんだね。

これ以上話を拗らせたくなかったので黙っておくことにした。

「では、立ち話もなんですから涼しい室内で説明をしましょうか。ついでにお茶の準備もお願いします」

「えっ…俺が御持て成しをしなきゃいけないのか?」

「当たり前です、ここは貴方の家で私はお客様なのですよ?私が御持て成しをするのはおかしいでしょ」

「そう言われればそうなんだが…なんか納得いかないんだけど」

なんでお客に御持て成しを強要されるのかが理解できない、第一、お前を招いた覚えはないんだけど。勝手に荷物を送りつけて、勝手に訪問してきただけじゃないのか?

氷華と付き合っていると常識がなんなのか分からなくなってきた。俺が培ってきた常識は氷華に通じないらしい。逆もまた然り、氷華の常識も俺には通じないけどね。

これこそ育ってきた環境の違いだろう、好き嫌いは否めないが、お互い理解する気もない。いわば平行線、水と油のように交わることもないだろう。

それでいいのだ、お互い無理に合わせた所で上手くいく訳がない。あるとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。俺と氷華はそんな関係でありたいと切に願う。…こんなこと思っているのは俺だけなんだろうけどね。

俺は自室へ氷華を招き入れお茶の準備を始めた。


お茶の準備と言っても独り暮らしの中年おっさん宅に来客用のお茶やら菓子があるわけがない。ここ数年は宅配便のおっさんと、回覧板を回してくれるご近所さんしかこの部屋を訪れていないし、この家にまともな来客が来る機会なんてものは一切なかった。それに、この俺が他人を自宅に招くなんてありえないだろ?つまりそういうことだ。……そりゃ誰も来ないわな。

改めて自分の人脈の狭さに驚愕した。でも、それ位の人間関係で俺は生きてるんだから案外ぼっちでも世の中ってのは生きていける。ソースは俺。

もちろん人脈が広いに越したことはないんだけど、広いのは俺の性に合わないのでこれ位がちょうどいい。俺の理想は浅く狭くなのだ…もう理想形じゃないか。

自分の人脈がこれ以上広がらないように歯止めをかけ、炊事場を見渡す。お湯を沸かす以外に使わない炊事場は綺麗に片付けられている。

片付けられているってのはちょっと違うな、調理器具すらないのだから綺麗と言うよりは物がない。まるで空き家の炊事場を見ているみたいだ。

ただ、IHコンロとヤカンだけは設置してある。俺にとってこれだけあれば十分なんだから仕方ない。

「取り敢えずお湯だけでも沸かすか、お湯があればどうにか出来るだろ」

特に理由もなくお湯を沸かし始める。戸棚やシンク下のキャビネットを漁ってみたが茶葉やインスタントコーヒーすらない。最悪お湯だけ出すか…

だが、氷華にお湯をだす勇気は俺にはない。口に手を当て暫く考え込むと一つのアイデアが浮かんできた。

というか、もうこれしか浮かばなかった。俺はお湯が沸騰する前に急ぎ準備を始めた。


十分程経過し、ようやくお茶の準備が整った。俺は寝室兼リビングへお茶を片手に向かう。

ふすまをゆっくり開けると、氷華はテーブル近くに正座で目を瞑り待機していた。傍からみれば瞑想でもしているかのように姿勢を正し、じっと待っていたようだ。あまりの静けさに声を掛けるのを躊躇ってしまったが、声を掛けないといつまでも続きそうだったので仕方なく声を掛ける。

「待たせたな。喉も乾いているだろうし、これでも飲んでくれ」

氷華の前にお茶を差し出す。氷華から返答はなく代わりにゆっくりと目を開く、自然とお茶に視線が奪われ怪訝な表情で尋ねてきた。

「これはなんですか?甘い香がしますが…飲み物?いや、食べ物?」

明らかに嫌そうな態度、予想通りの反応だった。氷華は絶対こういう物は好んで飲まないと思い、敢えて出したのだ。俺は少しニヤケ顔で自慢げに答える。

「甘酒だよ、一般庶民では馴染み深い飲みのもなんだぞ。知らないのか?」

俺が用意したのは甘酒だ。しかも、こんな暑い日に湯煎で温めた甘酒。お蔭で湯呑から湯気がじんわりと立ち上っている。

「聞いたことはありますが、飲んだことは…ない…これが……甘酒」

湯呑を手に持ちまじまじと甘酒を眺める氷華。馴染み深いってのは少し話を盛ったが、本当に初めて見たんだな…氷華が初見なら雲英は存在すら知らないだろう、今度ご馳走してあげよう。

なかなか口をつけない氷華に少し疑問を抱く、もしかして飲まず嫌いか?試しに嗾けてみた。

「どうした?別に毒なんて入ってないぞ、一口飲んでみろよ」

「あまりこういうドロッとした飲み物は…いえ、なんでもないわ」

「なんだよ、俺の持て成しを無下にするのか?折角用意したのに…」

ワザと皮肉を込めたセリフと共に湯呑を下げようとすると、氷華は湯呑を自分に寄せ俺の行動を拒否する。

「だ、誰も飲まないとは言ってないわ。いいわよ…飲めばいいんでしょ!?」

いいぞ~、今までのお返しだ!たっぷり苦しめ!

俺は感情を顔に出さないよう必死に堪え、氷華が飲むまで凝視する。…駄目だ、まだ笑うな…堪えるんだ……


一度は飲むと宣言はした氷華だが、なかなか湯呑に口をつけない。躊躇しているのがバレバレだ、暫くこの姿を眺めていたかったが、何かを思い出したかのように俺へ質問を投げかける。

「ところで、なぜ甘酒なのですか?一般的には緑茶や麦茶などが出てくるはずですが」

「えっ!?なんでって……緑茶や麦茶なんて飲み飽きているだろうし、たまにはこういうのも……ね?」

いきなり核心を突くような質問に動揺してしまった。茶葉すらなかったなんて口が裂けても言えない…どんな誹謗中傷を浴びせられるのか分かったもんじゃないからな。

「それに、甘酒ってのは栄養価も高く近代では高い評価を得ている代物なんだぞ。いわゆる飲む点滴って表現されることもあるし、こんな暑い日には熱中症対策にもなる万能な飲み物なんだ。そこら辺の栄養ドリンクを飲むくらいなら俺は甘酒をオススメするね」

動揺の影響か変に饒舌になってしまった。その変化を氷華は見逃さない。

「別に甘酒の効能なんて聞いていないわ、それに緑茶や麦茶って飽きるものなのかしら?なんだか余計に怪しく感じるわよ」

俺への視線が一層きつくなる。…が、鋭い視線を解き甘酒に目を向けた。

「でも…折角の持て成しを無下には出来ないわ、ありがたく頂戴します」

そう言って甘酒を一口含み口内で味わう。始めは苦渋を飲まされた様な顏をしていたが、次第に柔らかな表情へと変わり、ゴクリと飲み下す音が聞こえた。そして小さな声で氷華は感想を呟く。

「………おいしい…」

お前の口に合って良かったよ、これで少しは安心して話を続けられそうだ。氷華に続いて俺も一口甘酒を口に含む。

このドロッとした食感がたまらない。少し残る米麹の粒粒感が面白いように舌の上で転がり独特の食感を引き出しているのだろう。鼻を抜ける酒粕の香りがまるで酒を飲んでいるかのように錯覚させ、ほろ酔い気分にさせてくれる。実際アルコールは入っていないのだが、お酒が弱い人はこの甘酒でも酔ってしまう人がいるようだ。また、今では市販で売ってあるのが一般的になっているが、昔は自家製が一般的だったようで、自家製の甘酒は俺も飲んだことがない、一度は飲んでみたいものだ。誰か作ってくれないかな…

あとオススメなのが甘酒を酒で割る飲み方なんだが、あまりに上手すぎるので悪酔いしてしまう場合がある。飲み過ぎには注意するように。

みんなも赤い缶を見たら買ってみてくれ、飲まず嫌いは一番損なことだと気づくはずだ。あと、うすいピンク缶のおしるこもオススメなんでヨロシクな。

宣伝はこれ位にして本題に移らなければ…甘酒を吐息で冷ましながら氷華に話の続きを促した。


「それで、特別…なんたら研究所?ってのはどういうことなんだ?」

「その前にいいかしら…」

氷華は携帯電話いわゆるスマフォを取り出し、どこかへ電話をかける。

「……はい、……はい…では、お願いします。話はこちらで付けておきます……では」

相手の声は聞こえないが端的に短い言葉で内容を伝えていた、事前に連絡を入れるようになっていたのだろう。電話の相手が気になったが、今はこの現状を整理する方が先決だ。電話を終えた氷華を俺は視線で急かすように訴える。

「先日の事件は、説明しなくても当事者だから理解しているでしょう。あの後、貴方が帰ってからなにがあったのかを説明する必要がありますね」

氷華は一つ咳ばらいをした後、いつもの無表情で語りだした。

「あの後、翌日にはメイドロボのメンテは終了し移送の準備が始まったわ。勿論、先日話したように雲英お嬢様の傍には置けないので移送先を選別しなければいけなかった」

「そこまでは大体予想はついていた。話も聞いていたしな…っつーか、専属の管理会社があるんだろ?そこに移送すればいいだけじゃないのか?」

「事はそう簡単にはいかなかったのよ、専属の管理会社はあくまでメンテナンスやアンドロイドのシステム管理をする会社であって、あのメイドロボの原因究明をする所ではないの、つまり移送先としては不十分だし会社側からも拒否されたわ」

「…なるほど、でもアンドロイド研究施設は数こそ少ないがあるはずだろ?どっかの大学でもそういう施設があるって聞いたことがあるし、そういうところなら喜んで引き受けてくれるんじゃないのか?」

「確かにそうなのだけど…雲英お嬢様がそれを拒否したのよ。…なぜだか分かる?」

雲英が拒否した?あいつが一番原因究明を望んでいたのではないのか?その為に俺へ依頼を出したのも雲英だ。それともここにきて怖気づいたか、もしくは八雲と離れたくないとか?

俺にはさっぱり見当がつかず自然と首を傾げていた。その様子を見て氷華は小さな溜息を漏らす。

「貴方、私が話した内容をもう忘れたのですか?話が終えたら粛清が必要みたいですね」

氷華の視線から殺気を感じ取る。俺は慌てて適当な言葉で取り繕った。

「そ、そんな、訳ないだろ!?あれ、だろ?雲英が信じられる施設じゃないとダメ……とか…?」

「まぁ、当たらずといえども遠からずってところかしら。採点でいうと50点ね、粛清は免じて粛正にしておきます」

…ん?粛清と粛正ってなにが違うんだ?ニュアンスとか、誤字って訳じゃないよね?少しは刑が軽くはなったんだよね?…痛いのは嫌だから勘弁してほしい。

俺はどうにか粛正を免れる術がないか考えていたが、氷華は俺の思考など無視して話を進めた。

「雲英お嬢様が、貴方に依頼を申し出た経緯を覚えていますか?貴方に辿り着つくまでに様々な著名人に依頼を出しては悉く断られていた話よ」

その言葉で鈍感な俺でも流石に察した。

「雲英はアンドロイド研究施設にも依頼を出していた…つまり、ほとんどの施設関係者にも依頼を断られていたんだな」

そりゃ雲英が拒否するのは当然だ…自分の話を信じてくれなかった所に任せられる訳がない。

「そういうことよ。もれなく誹謗中傷や侮辱付きで断られた施設に、雲英お嬢様が快くメイドロボを預けるはずがないわ」

氷華はほぼ無表情で話していたが、口調に怒りを込めていたように感じた。そのうち著名人の暗殺なんてものを企てているんじゃないだろうか…恨みを買っても仕方ない事をしているのは確かだが、命までは奪わないで下さいね。知り合いに人殺しなんて作りたくないから…

自分の妄想でげんなりとした表情を浮かべていると、氷華は甘酒を一口含み一呼吸置いた。

「管理会社もアンドロイド研究施設も移送先の選択肢として消えたわ。従者全員で移送先を考えていたのだけど誰一人として名案を出す者はいなかった。…でも、雲英お嬢様だけは違ったわ。雲英お嬢様は当たり前のように名案を私たちに提示した」


"移送先がないなら作ればいいじゃない" by雲英


なにその名言、名案って言うより雲英の我儘じゃねーか。あいつそこまで深く考えないで発言してるだろ…雲英に心酔しているのは分かるが、教育としては間違っていると思うぞ。今度、俺から叱っておくべきか…でも氷華に排除されそうだから大家さんに頼んでおこう、そうしよう。

雲英の教育方針が固まったところで、俺は気付いてしまった。

「移送先を作る?まさかその移送先ってのは…」

「もう言わなくても分かるでしょ……ここよ。」

氷華は床を指さし言い放つ。

同時に大勢の従者がドタドタと我が神聖な領域(部屋)に踏み込んできた。俺は何事かと辺りをキョロキョロと見回し状況の把握に努めるも、思考が追い付かない。俺の返答も聞かず氷華はスッと立ち上がり従者達に命令する。

「では、始めて下さい。精密機械なので作業はくれぐれも慎重に」

「「承知いたしました」」

それを合図に一斉に作業に取り掛かる従者達。状況は未だ掴めていないが、まず作業を止めなければという思いから、俺は立ち上がり氷華に作業中断を申し出ようと試みた。しかし、氷華と俺の間に割って入り込むように二人の従者が立ちはだかる。

これでは氷華に近づけない…いや近づかなくても会話は出来るはずだ。氷華に聞こえるよう俺は叫んだ。

「氷華!こんなの聞いてないぞ!!今すぐ作業を止めさせるんだ!」

「その申し出は承認できかねます。部外者は外で待機していて下さい」

その言葉通り、目の前の従者に腕を掴まれ玄関へと引き摺られていく。

「おい、離せ!俺は許可なんてしてないぞ!こんな強引なこと許されてたまるか~!」

俺の魂の叫びは作業音にかき消され誰の耳にも届かない。そのまま屋外まで引き摺られ、抵抗虚しく外へ放り出されてしまった。俺の後に続いて、お気に入りの革靴が俺の元へ投げつけられ無残に転がる。ドアを閉めさせまいと手を伸ばし立ち上がろうとするも、放り出された際に尻を強打した為、思うように立ち上げれない。俺の行動を拒否するように、無慈悲にドアが閉まる…ご丁寧に鍵まで掛ける周到さだ。ドア先輩にここまで嫌われいたのとは…まるで牢屋にでも閉じ込められた気分だった。


部外者ってだいたい俺の家なんだから、俺が一番の関係者なんだけど…理不尽な扱いに憤りを覚えるが、外の猛烈な暑さでジリジリと皮膚が焼けるような錯覚を感じ、憤りなんて消し飛ぶ。

このままでは暑さにやられてしまう…どこか涼める所を探さなければ…

この猛暑の中、素足でアスファルトの上を歩くなんて自殺行為に等しい。そう思えば革靴を一緒に放り出してくれたのは小さな気遣いだったのかもしれない。氷華様、ありがとうございます。

………ん?なにかおかしい気がするけど、気にしないでおこう。

革靴に着いた埃を丁寧に払い、しっかりと靴ひもを締る。覚束ない足取りでオアシスを目指すその姿はまるで街を徘徊するゾンビの様だった。

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