爆誕!ドレッドノートクライシスV~始動4~
「オーバードライブクリスタル…」
俺は、その赤い光をしばし見つめていた。怪しく光るそのラインからは不思議と力強さを感じた。
「胸部のV字装甲にその光の源、クリスタルの本体が埋め込まれているの。そこからラインを通じて全体にエネルギーが供給される、それがドレッドノートのメイン動力なの。」
「なるほど、でもそれと俺に何の関係が…」
「さらにこのクリスタルは人の精神とリンクしてエネルギーの放出量を変えるの、だから操縦も自分のイメージ通り動かすことができる。だけど人によってその精神リンクの強度が極端に違うの。」
「そこで世界中でクリスタルとのリンク値を極秘で調査した結果、君が一番クリスタルとのリンク値が高かったのだよ、シラヌイ君。」
後ろからいつ昇ってきていたのだろうか、イズミがそう言った。
…にわかには信じがたかった。そんな都合の良い話があるのだろうか、そういった不信感が顔に出ていたのだろうかイズミは
「信じられないようならそのラインを触ってみてくれ。何か感じるはずだ。」
と言った。
俺は言われた通り怪しく光るその赤いラインに右手で触れた。その瞬間その赤い光は激しく光り、それと同時に俺の頭の中に何かが流れ込んだような衝撃が走る。なるほど確かに大きな力をぼんやりと感じた。そう思っていると、
「…想像以上だ、素晴らしい!是非ドレッドノートの操縦者になってくれ!」
と感動したイズミが俺の両手を握りブンブンと振ってきた。突然のことで驚きその手を振りほどいて
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!突然すぎだろ!なんでこんな急に!」
と言った。あまりにも急すぎる要請に頭が追いついていかない。俺をここへ連れてきた時と言い彼らはなぜこんなに焦っているのだろう?そう思っているとイズミは急に深刻な顔になって
「実はな…」
「ギガントが1週間後にトーキョーに襲来してくるということがわかったんです。」
イズミの言葉を繋ぐようにミナヅキが言った。俺は唖然とした。さらに自然と両親を失った時の悲しみとギガントに対する憎しみを思い出した。
「このままドレッドノートの操縦士が見つからなければ5年前のトーキョーの二の舞、いやそれ以上の被害が出てしまうかもしれない。だから早く操縦士を見つけ訓練をさせてドレッドノートを実戦に投入しなければならなかった。」
「私たちには一刻の猶予もないの!だからお願い!今回だけでもいいからドレッドノートに乗って!」
イズミとミナヅキは俺にそう訴えかけてきた。
「…」
沈黙。確かに俺はギガントを倒したいと思っていた、だけど1週間後!?そんな無茶苦茶な!?俺は決め兼ねていた。だけどドレッドノートがなければまたトーキョーは…またたくさんの人が…!
「それは…」
ゆっくりと口を開く。決心がまだ着かないのか、それはそうだ。ギガントは恐ろしい生命体だ、5年間あいつを倒す方法を考え諦め続けた俺はよく知っている。いくらドレッドノートが優れていても俺がへまをすればやられてしまうかもしれない。そうなれば何も変わらない。何も守れない。
「それは…」
もう1度ゆっくりと言葉を出す。それは覚悟を決めるため、少年の頃よりの夢であったギガントの討伐をする勇気を得るために俺は言葉を続けた。
「それは…俺にしかできないのか…?」
やっとのことで出した言葉にイズミは真剣な面持ちで答えた。
「ああ…シラヌイノボル、君にしかできない!」
俺しかギガントを倒せないのなら、俺しかこのトーキョーを救えないのなら、その逃げ道を塞ぐような思考は俺に勇気をくれた。平凡だったシラヌイノボルに人々を救う勇気をくれた。
「わかりました、俺…乗ります!」
~次回予告~
ついにギガント襲来の日を迎えたトーキョー!
5年前の悪夢を阻止すべく1週間の厳しい訓練を耐え抜いたシラヌイノボルが出陣する!
そしてついにドレッドノートクライシスがその大地に降り立つのだった!
次回!爆裂機装ドレッドノートクライシスV
爆誕!ドレッドノートクライシスV~初陣~
悪を切り裂け!ビクトリー!