爆誕!ドレッドノートクライシスV~始動2~
「んんっ…」
気が付くと目の前には無機質なコンクリートの壁があり、俺は椅子に座っていた。俺は立ち上がろうとしたが手足を電子手錠で椅子と繋がれて拘束されており身動きが取れない。混乱しているとすぐ横から女性の声がした。
「気が付いたようね。」
そちらを振り向いてみるとサングラスをしたスーツ姿の背の高い女性が立っていた。女性はこちらを見て、
「ごめんなさいね、一方的に連れてきちゃって。でも一刻を争う事態だから。」
と続けて言った。なるほど、なんとなく自分が置かれている状況が掴めた。
「あんたが俺を誘拐したのか、悪いが家に身代金を払う余裕はないぞ。早く俺を開放しろ!」
俺は身動きの取れない体でもがいてそう言った。当たり前だ、まだ晩飯を食べていない。
「そういう目的でさらったんじゃないわ、あなたに危害は加えないし、拘束も今から解くわ。だから少し話を聞いてほしいの。」
「話?」
またよくわからなくなったが、あちらの要求を飲まないと簡単に返してくれなさそうな空気を察した俺はブンブンと首を振り承認の意を表現した。すると女性は手元のリモコンのボタンを押し、それに反応して俺の手足を拘束していた電子手錠のロックが解除された。
「じゃあ、付いてきて頂戴。」
女性が部屋の電子ロックを解除し廊下へ出た。俺は指示された通りに女性の後を追った。
廊下を少し行ったところにあるエレベーターに乗り下へと向かう。最下層に着いたエレベーターから降り廊下を歩いていく。先ほどから周囲を見渡してみるにこの場所は普通ではないということがわかった。いくつものドアに厳重な電子ロック、指紋認証、網膜認証など尋常ではないセキュリティだ。一体何の施設なのだろうか?そのような疑問を抱えながら歩いていると、
「着いたわ」
と先を行く女性から声が掛かった。目的地に着いたのだろう。女性はロックを解除し中に入っていった。
続けて俺も入った。
するとそこには巨大な、本当に巨大な建造物がそびえたっていた。上を見上げると目が眩んでしまうほど高く高くそれは建っていた。この施設に大穴が空いたような構造になっており、その穴の真ん中にそれは建っていた、ここからではてっぺんを望むことはできないほど高く…
「長官、連れてきました。」
「うむ、ご苦労…シラヌイ君、だったかな。」
その声を聞いてハッと我に返った。声の主は長いひげを蓄えた50歳前後と見える男性であった。
「どうも、無理やり連れてきてしまって申し訳ない。私はイズミ ケンゾー、地球防衛部隊 ニホン支部の長官だ。」
「あぁ……どうも。」
困惑しながら返事をしたがまったく意味が分からない。地球防衛部隊?なんだそれ、聞いたこともないぞ?その男、イズミは続けて、
「そして、君をここまで連れてきたのが同じく地球防衛部隊の…」
「ミナヅキ カオリです」
サングラスを取りながらミナヅキはぺこりとお辞儀をした。さらにイズミは
「いやー、済まないねー手荒な真似をしてしまって。別に君に危害を加えようっていうことじゃないんだ。多分地球防衛部隊なんて聞いたこともないだろうが怪しい団体じゃないからね。ちゃんと国連から許可ももらってる由緒正しい…」
「あの、別にいいんでなんで呼ばれたか教えてくれませんか?」
話が長くなりそうだったので遮った。確かに聞いたこともない名前だったがこれだけの施設を造るには相当の金が要るだろう。それはイズミが言ったように国連なんかのバックアップあってということだろうと勝手に納得した。
「あー済まない、私の悪い癖だ。要らない話を長々と…客人にする態度ではなかったね。」
イズミは大きく咳払いをし部屋の巨大な建造物を指差してこう言った。
「君に、このロボット、「ドレッドノート」に乗ってほしいんだ。」