死闘!パシフィックオーシャンに潜むもの!~休息~
~前回までのあらすじ~
トーキョーに襲来したギガントを1度は倒したシラヌイノボル!
しかし息を吹き返したギガントに圧倒されドレッドノートクライシスは機能停止してしまう!
諦めかけたその時謎の声がシラヌイに話しかけもう一度戦う勇気を取り戻す!
オーバードライブクリスタルの赤い光に包まれたドレッドノートクライシスは規格外のパワーを発揮!
ギガントを撃退したのであった!
「はっ…!」
俺はアパートの自室で目を覚ました。よく眠っていたようで、なかなか意識が安定しない。少し経ってからぼんやりと記憶が戻ってきた。
「ギガント…ドレッドノートは…?」
俺がギガントを倒したところまでは覚えていた、だがそのあとの記憶がない。なぜ俺は自室にいるのだろう。そう思っていると、部屋のテーブルに手紙が置いてあった。それを開いて中身を見てみると
「 おはようございます よく眠れたでしょうか。
ドレッドノートのコックピットで寝ていたのを起こすのはまずいと思い
支部で寝させようと思ったのですがイズミ長官が家へ帰してやれと言ったので あなたの部屋の布団に寝させました。
勝手に上がり込んでしまい申し訳ありませんでした。
なお支部にもう一度来ていただく必要があるので その時は迎えに行くのでよろしくお願いします。
追伸 ドレッドノートのことについてはくれぐれも口外しないように…」
とあった。
「なんで支部に置いとかないんだよ…また行くほうが面倒だろ…」
と少し愚痴をこぼしたが早く日常生活に戻らせてやろうという長官の粋な計らいであると理解し、時計に目をやった。作戦決行日から丸一日が立っており時刻は午前6時、平日であった。
「まぁ、さすがに行かないとな、学校。」
そう思い、朝の食事をとろうと冷蔵庫を開けた。中身はもぬけの殻であった。
「そうだったな…」
…コンビニに行こう、そう思い俺は着替え始めた。
1週間ちょっとぶりの通学路だったがさすがに忘れることもなくいつもと同じように学校に着いた。下駄箱で上履きに履き替えるとき後ろから肩を強く叩かれた。
「よう、ノボル!久しぶりだな!」
そう話しかけてきたのは幼稚園の頃からの親友、カワハラ カケルだった。
「ん、あぁそうだなカケル。」
「なんだ元気がないな、まぁそうかこんな時期にインフルエンザにかかる病弱野郎だからな。小学校の時に一緒に行った遠足でも一人だけ倒れてたし、はははは。」
と昔の話で馬鹿にされたが俺のいなかった1週間ちょっとがどのように扱われていたのか分かった。インフルエンザって…なんかしょぼいなぁ。そう思いながら階段を上りクラスの教室へ向かった。
久しぶりの授業は一度普通の生活から離れてしまったからなのかひどく退屈に感じた。いまだにドレッドノートクライシスに乗ってギガントを倒した感触が忘れられないこともあってか授業に集中できず気づけば昼休みとなっていた。さて、購買にパンを買いに行くか、そう思って立ち上がるとカケルに呼び止められた。
「おい、そういえばよお前が休んでる間に転校生が来たんだぜ。」
「ふーん、そうなのか。」
「なんだその反応は!女の子だぞ、しかもかわいい!ほらあそこ!」
とカケルは視線を教室の前のほうに移す。俺もそちらへ目を移すと談笑している女子グループの中に見たことのないショートカットの女子がいた。なるほど確かにカケルが好きそうな感じの女子だな、と思っているとその子がこちらの視線に気づいたのだろうか俺たちのほうにやってきてこう言った。
「初めまして、私転校してきましたハセガワ イスズです、よろしく。」
「あー、シラヌイですよろしく。」
そうあいさつを交わすとハセガワさんは帰っていった。カケルは興奮したように言った。
「な!かわいいだろ!」
「そうだな。とりあえずパン買いに行こうぜ。」
カケルにそうあしらいながら教室をあとにした。ハセガワさんか…
俺はハセガワさんのどこで聞き覚えのある声と先程の挨拶のときにこっそり俺の筆箱に入れられたメモを見て深くため息をついた。
「ホウカゴオクジョウコイ」
俺の筆箱に入れられたメモにはそう書かれていた。カケルは野球部で俺は帰宅部だから基本的に放課後は一人だ。誰にも怪しまれることなく指定された場所へと着いた。鍵の壊れた重い鉄扉を開けると彼女はいた。
「遅かったね。」
ハセガワさんはフェンスにもたれかかって腕を組みながらそう言った。
「一応授業終わってから早めに来たんだけどなぁ。で何の用ですか?ドレッドノートのメインオペレーターさん。」
そう、昨日ドレッドノートに乗ったときメインオペレータをしていたのがこのハセガワさんであった。俺がそう言うとハセガワさんは遮るように
「ちょっと!?ドレッドノートのことを簡単に口外しないでってあなたの家にメモ残したでしょ!?」
と怒り気味に言った。あれあんたが書いたのか。
「なんでオペレーターさんが学校にいるんですか?」
「あなたがそういうふうに秘密を口外しないかの監視役。あ、言っとくけど第三者に知られたら始末するよう言われてるから。」
と物騒なことを笑みを浮かべながらいうハセガワさん。
「それと支部とあなたとの連絡係ね、緊急の時困るから。」
付け加えるようにそう言った。操縦士として凄い期待されてるなぁ。
「それでハセガワさん…」
「イスズでいいわよ、シラヌイ君」
「じゃあイスズさん…」
「だから、そういうかしこまった言い方すると怪しいでしょ。イスズ、呼び捨て、いい?」
女子を下の名前で呼び捨てにするのは馴れ馴れしくていやだがあまりの勢いに圧倒されて従った。
「…イスズ、今日呼び出したのはなんでだ?」
イスズは満足げな表情で
「よろしい、今日の連絡は土曜日に支部から10時に迎えが来るってこと、それだけ」
と答えた。
「了解…それって行って何するんだ?ギガントが来るのか?」
「いや、この前の作戦の反省会っていうか、今後の装備の相談っていうか。まぁ、そんな感じだから別に楽にしてくれればいいわよ。」
イスズが俺の問いに適当に答える。あぁこいつ適当なやつだわ、そう思っているとイスズがこちらに手を差し出してきた。
「ま、改めてこれからよろしく。」
…まぁ悪い人じゃなさそうだ、俺は握手に応じた。
「よろしく。」
そう言うとイスズはニコッと笑った。その時ふとある疑問が頭に浮かんだ。
「ところで高校普通に入ってるけどお前何歳なんだ?」
そう俺が言葉を発した瞬間、イスズは握手していた俺の手をさっきまでとは比べ物にならないほど強く握り笑顔のまま冷たく言い放った。
「死にたいらしいな…」
俺は小さく「すみませんでした。」と呟く。怖えよ。




