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ルフトハンザの孤独

作者: 田中ビリー

 解放された夜を使って、闇とレールを抜き去る詐欺師、

 名前を夜ごと使い分け、本当の名前は誰も知らない、

 義であるべきと誓いをたてた、カネに綺麗も汚いも、

 所詮は甘えた寝言だろうと、

 〝使い途は手にしてから考えるだけ〟

 不要な者が力持つより、彼は甘い言葉を吐いた、


 逃げ脚の、速さは生まれつきみたい、

 ホラも史実も同じ列にて語られる、

 母親らしきが数人もいた、父を名乗るに血を流されて、

 薄汚なく見たレール、

 扉の向こうに灰色がかった自由があった、

 偽名が彼を解き放つ、夜の紛いに溶け込ます、


 詐欺師は今宵も甘い嘘、ありもしない未知の金塊、

 童話を写した宝の地図や、観測されない星でさえ、

 酔いどれたちが集う夜会に、甘美極まるウソを並べて、

 汚れた手から汚した手へと、

 ばら撒く夢で手にする現実、


 解放された、夜の詐欺師の猜疑心、

 彼はたったひとりでさえも信じず、

 塗り重ねた美談を抱え、青い午前に跋扈する、

 遠くへ続くチケットは、片道だけで東に向かう、

 振り向きざまに目に映る、飢えたネコが横たわる、


 片手にナッツ、喉の奥から薄ら笑いの優しい嘘を、

 閉じた眼には通過儀礼の街の鐘、

 失くしたものを数えるも、手にしたものが見つからない、

 せめて俺は自由だと、燃え尽く陽のオレンジ見てる、

 新たな地でも同じ嘘、積み重ねては歩くんだろう、

 すでにその名を持たぬ者、唯一あるのが自由に似た不自由で、

 彼は誰も愛さない、

 彼は誰も愛せない、


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