つよがり(挿絵あり)
こんにちは、蒔野定白です。
前書きを書くのは初めてなので、違和感を感じますが、心機一転ということで今回から始めています♪
長らくお待たせしました。
と言っても、待っててくれた人はどれくらいいるのか僕自身知りませんが(笑)
しちみ先生の挿絵と僕の文章でこの子達の物語を伝えられたらなと♪
では、50話目
「つよがり」どうぞ、ご堪能くださいませ♪
「夜に異性と話すなんてこれが初めてよ」
「俺だってそうさ……って言いたいけど、妹と話したことあった」
「妹がいたの?」
「あぁ、最高に可愛い妹だ! 嫁には出さんぞ!!」
「もうご愁傷様ね」
「オレもそう思う」
八束のシスコンっぷりにヴァスクはいつもの事だが、初めての水鏡には深くため息をつかせるものだった。
まさか、こんな変な癖がある奴だと思わなかった。
「少しはまともだと思ったのにとんだ勘違いだったようね」
「俺は至ってまともだと思うぞ」
「それはあなたからしてでしょ」
「それもそうか」
「普通、殺されそうになった相手と扉を挟んでいるとはいえ、背を向け合わせれるなんてそうそう居ないわ」
「そりゃ、どうも」
「だから、天使が宿ったのかもしれないけど」
「別に自然と宿った訳じゃない。俺とヴァスク、尋斗とグライフ、夏実とリョウ、友理乃とフェリアはティナから貰ったペンダントのおかげで一緒に居られてる」
「そうだったの? てっきり、穂紀と同じなのかと思ってた」
「お前はどうなんだ? エバリエとカリジナとはどう出会ったんだ?」
「どうだったかしら、その時の事はあまり覚えてないの。でも、私にはあの子達が子猫に見えたわ」
「子猫? 出会った時は子猫だったのか?」
「いえ、ちょっとした比喩表現よ。確か今の姿よりはまだ、天使に近かった気がするわね。悪魔になりかけの姿と言ったら、わかりやすいかしら。私が一人暮らししているアパートの階段下で雨宿りして、二人肌を寄せあって、寒さをしのいでいたのは覚えているんだけれど、その先が曖昧で……」
「ある意味、化かされていたのかもしれないな」
「否定は出来ない。なにせ、悪魔だから。人を利用しようと考えていたかもね」
お互いの事を軽く話して、少しの静けさが生まれた。
曖昧で相手が本当の事を言っている確証はない。
今日、敵だった。
そして、殺そうとしてきた相手と殺されまいと捕まえようとした相手。
この状態は普通ではなく、常軌を逸しているかもしれない。
でも、それで良かった。
二人は戦いのさなかで不思議な関係になったとも言える。
「「あの……」」
ただ、それは恋愛感情ではなく、全力を出し合えたお互いの理解者と言える関係だろう。
「あ……」
「いいぜ、先に言ってくれ」
「それじゃあ……。あなたは穂紀とラファを守ることが出来そう?」
夕方にティナが言っていたこと、その事で水鏡は思うことがあった。
「守ってみせると言いたいが、わかんねぇな。どうなるかわからない以上、そう言うしかない」
「そう……」
「お前はどうなんだ?」
「私?」
「俺は正直に言うと、穂紀を守ってやれるほどお人好しじゃない。今まであのグループのリーダーをして、指令の振りまわされてきて、結構うんざりしてる。それの極めつけが女の子を守り続けろといわれると、もう無理だ。だから、俺としてはお前に穂紀を守ってほしい」
「でも、あのエルフがそれを許すわけ……」
「ティナはそんなに頭が硬いやつじゃない。たぶん、アイツの主様ってのも結構良い奴のはずだから大丈夫だろ」
「けど……」
「お前なら穂紀と一緒に居てやれるはずだ、家族なんだからさ。俺みたいな部外者はお前らの事をたまに助けるくらいの方がいいんだ」
八束は月を眺めようと窓から外を眺めたが、月はもう見えないほどに高く上がり、見ることが出来なかった。
「それにお前はエバリエとカリジナに教えて貰ったんだろ」
「何を?」
「家族と思える存在がどれだけ自分を強くするか、どれだけ大切か。負の感情が強かったかもしれないが、お前なら正の感情に置き換えて力を使うことが出来るはずだ。エバリエとカリジナだって元は天使だったなら、なおのこと」
俯く水鏡。
今日、厳密には昨日だが、そんな自信は持てない。
親友に刃を向けた。
大切なものを守るとはいえ、人を殺そうとした。
その罪悪感、自分への嫌悪感。
それが自分の中で渦巻いて、気持ちが悪い。
膝をグッと抱え込む。
八束みたいに、自分を殺そうとしてきた人物にその日のうちに扉越しとはいえ、背中を預けられない。
自分がさらにちっぽけに感じる。
いっそのこと、無理だと、できないと言ってほしかった。
少しは気持ちも楽だったのに……。
涙は流さない。いや流れない。
あの人形を刺したときに流れ切ってしまったようで。
力を緩めて、軽く顔を上げる。
ふと違和感を感じた。
月が明るいにしても、目に刺さるような光を感じるから。
その光の方へと視線を伸ばすと、自然と立ち上がった。
ベッドの上が光っている。
どうなっているの?と唖然とただ眺めていると、だんだん弱まっていった。
耳の端に八束の声が聞こえた気がしたが、そんなのどうでもいい。
目の前の光景に釘付けだった。
光が収まり、ベッドの上には悪魔の姿はなかった。
そこにいた二人は、褐色の肌が嘘のような透き通るような白くきれいな肌。
エバリエの妖艶な服装も少し布が増え、まだ見ていられるようになった。
水鏡は床に何かが落ちたことに気づく。
さっきは出なかった涙。
ベッドで静かに寝息をたてる二人。
そこに二人がいること。
本当の二人。あるべき姿の二人を見ることができた。
ゆっくりと力が抜けて、ぺたりと座り込む。
そこで流れる涙は、うれし涙。
あの時とは違う暖かい涙。
色々と抱え込んでいた事が一気に崩れ落ちた。
これでよかった。
こうなってよかった。
自分がどこかでこうなることを望んでいた。
そのことにやっと気づけた。
がんじがらめになっていた心が、体がやっとほっと一息つける。
この子達を。
救ってあげられる。
望まれないと思って、言えなかった自分の気持ち。
本当は悪魔で居続けるべきでないと思っていた。
この子達が望むなら、自分も悪魔になってみせるとあの力を使った。
でも、心に嘘をつけなかった。
「やっぱりこうじゃなきゃ。エバリエ、カリジナ、ありがとうね」
ベッドの裾に身を預けて、柔らかな表情と涙というアンマッチで、その画にふさわしい寝顔で、幸せをかみしめた。
読んで頂き、ありがとうございます♪
しちみさん、挿絵ありがとうございます!
また書き方が変わって、読まれた方も少し驚かれたでしょうか?
そんな実感があるのは僕だけかもですが、わかった人がいたら嬉しいです。
次の投稿するのもいつになるか、分かりませんがまた投稿したらTwitterでもお知らせしますので良かったら、フォローしてくださいね♪
ちゃっかり宣伝してみたり(笑)
蒔野 定白とユーザー検索したら出てきますので、良かったら((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
それでは、次のお話でお会い致しましょう♪
あ、次の話の催促はやめてくださいね(笑)




