ワケアリの仲間達。
そんな二人の顔が薄れていって、薄暗くになったのは俺の意識が現実に戻ったからだろう。
(ああ、懐かしい夢を見たもんだ。)
短い時間の睡眠だったからか、意識がぼんやりとしている。
体は机に突っ伏し、でこと接していた腕枕を離して鼻から上だけが外に出す。
教室がガヤガヤとしている。
耳を澄ますと、中学からの友達と話す奴、もしくは偶然にも隣同士になったよしみで自己紹介している奴もいるのが聞こえてきた。
(みんな、活発な事で。俺はそんな活力ねえから先生が来るまで寝ているか。)
俺はまた腕枕にでこをつけて眠りにつくのだが、突っ伏した途端に誰かの手が俺の頭の上に乗っかった。
(ま、だいたい予想はつくんだがな。)
「なんだよ、尋斗」と俺はこもった声で手の主に話しかける。
「驚いた、よくわかったな。後頭部に目でもあるのか?」
手の主は後頭部の髪をどけて、目があるかどうか探ってくる。
(どうやらアタリらしい。つぅか.....。)
「目がある訳ないだろ!」と俺が体を起してそいつに向かって言うと、「おっと」と言って身を引く。
「それにクラスが同じで俺に馴れ馴れしく頭を触ってくるのはお前ぐらいだ」
身を引いた時にずれたのか、眼鏡を掛け直す男は御手洗尋斗だ。
中性的な顔つきで眼鏡がよく似合う。
その口から出る言葉は柔らかく社交性のある奴で中学の頃は男子からも女子からもよく好かれていた。
こいつは俺と親友だと言うが、俺はなんか疑問に思ってしまう。
ずぼらな俺と社交的な尋斗とは変なコンビである。
「そうかな、夏実はしそうだけど」
「アイツの場合、叩いて確実に起しにかかってくると思うんだが」
なんとなく後ろのドアを見ると二人の女子がやってきた。
噂をすれば影、とはこの事だろう。
その二人の女子は俺と尋斗を見て、茶髪の長髪は口元を隠してクスクスと笑い。
もう一人の黒髪ショートは苦虫を噛んだような顔をする。
そして、二人して顔を改めながら近づいてくる。
「二人とも、おはよう」と尋斗。
「おは」と黒髪ショート。
「おはよー」と茶髪長髪。
「お前らも仲良いよな。二人で登校か?」
「アンタに言われたくないわよ。いっつも尋斗といるじゃない」
そう反論してきたのは黒髪ショートの藤谷夏実。
その勝気な口調と堂々とした態度から中学の時は女子の憧れの的だったらしい。
これはあくまで風の噂程度.....、いや、一部の女子からは手厚い好意を向けられていたのを目にした事があったが、その場で俺はコイツに顔面パンチを貰ってのびた記憶がある。
「は、暴力女と一緒にしてほしくないな」
「なんですって!!」
「まあまあ、夏実。落ち着いて」
俺と怒り心頭な夏実の間に割って入ってなだめる茶髪長髪は白崎友理乃。
ふわふわとした口調と態度は夏実とは違って、柔らかい雰囲気を常日頃、醸し出している。
でも、時々行動力のある事をするからギャップがあって中学の頃は一部の男子にモテていた。
「八束も女子にそんな事言ったらダメだろ」
「へいへい」と腕を杖にして、頭を支える。
この三人が子供の頃によく遊んだ面子だ。
そして、俺が厄介事に巻き込んでしまった三人でもある。
「で、『あれ』はあったの? 面倒事は勘弁よ。肉体労働ならアンタがやりなさい」
「私も肉体労働は嫌だな」
「ま、内容次第だね」
夏実の言った『あれ』というフレーズの意味は、週明けの月曜日に(あの夢の中に出てきた)教会から送られてくる『指令』の事である。
もし、その『指令』を一週間以内に遂行できなければ、俺は『この世から存在を消されてしまう』
むちゃくちゃな話だとシスターに訴えたが、規則ですから仕方がないと言われる始末でやるせなかったが、俺は消えたくなかったのでその『指令』をしていった。
これまでの『指令』で俺はこの三人を巻き込んでしまい、守護精霊の事もしっている。
ガキの俺にシスターが「この事は知られてはいけませんよ」と言われていたのに、類は友を呼ぶということわざが本当なんだと思わせるくらいガキの俺と同じで、気になったらいてもたってもいられないこの三人の友達にシスターとの約束を破ってベラベラと話してしまい、バラしてしまった。
シスター曰く「この事を知ってしまった以上、一緒に『指令』を遂行していただきます」とのことで俺達は今まで一緒に『指令』をこなしてきた仲間なのだ。
ちなみに、この三人にも『守護精霊』がいる。
御手洗尋斗は『グリフォン』
藤谷夏実は『ドラゴン』
白崎莉乃は『妖精』
『グリフォン』というのは体が四足歩行動物で上半身が鳥、下半身は獅子で背中に翼が生えている動物だ。
『ドラゴン』は翼のない和の『竜』ではなく、翼のある洋の『ドラゴン』だ。
『妖精』は.....有名な海外産のネズミアニメでの「子供だけの島」に出てくる妖精でも想像してくれ。
それと『天使』はその『守護精霊』達を束ねる事らしい。言わば、まとめ役。
ゆえに、俺がまとめなくてはいけないわけで。
「今回は『人探し』だ。でも、ここで話すのはやめとく」
「そうだね。巻き込んじゃったら面倒だしね」
「それじゃ、帰りにでも話しましょ」
「みんな、帰り道一緒だもんね」
とそんなワケアリの仲間たちは一時解散した。




