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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
指令 『悪魔姉妹の回収』
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囚われの身?

 どうも隣の部屋が騒がしい。

 あまりの騒がしさに目が覚めてしまった。

 身体は何ともないのだが、重く両腕なんて動かせたものじゃない。


(なんで動かせないのかはわかってるんだけどね……)


 右腕にはエバリエの豊満な胸と両腕が組まれて、動かすと胸がよく揺れる。

 左腕にはカリジナが寝ているとは思えない強い力で動かすまいと絡めていた。

 水鏡の両腕は壊死していてもおかしくないはずなのだが、大丈夫なのは自分自身に二人の加護がついているからなんだとエバリエから聞いていた。


「もう二人とも! 寝ながら拘束するとか器用すぎるでしょ!」


と怒鳴っても、魔力を使い切り、熟睡する二人には全く聞こえていない。


(息をするただの人形のようだ。)


そんなことを思いながら、起きないことを良いことに右腕から引き抜く。

胸が揺れて少しぐずりはしたが、やはり起きることはなかった。

何とか右腕は自由になったが、問題は左腕である。

カリジナの怪力は、並大抵のことでは外せない。

だが、水鏡にとってはいつものことである。

力を抜いて、カリジナを揺らし、揺れに勝とうと力を入れ直そうとするところで、軽くするっと引き抜く。

抜けたからといって、油断してはならない。

再度、何かを抱こうとしてくるのだ。

いつも通り、体を起こし、すぐにベッドから退避する。

すると、二人は手を伸ばし合い、お互いに抱き合う形になる。

エバリエの豊満な胸にカリジナの顔がうまい具合にはまる。

息ができないのではないかと思うが、これまたうまいこと息ができているようだ。


(本当に仲のいいこと。)


そんな悪魔の姉妹を見て微笑む水鏡だったが、扉にすぐ意識を向けた。

どうも騒いでいるのは、穂紀達のようだ。

自分が顔を出すのは場違いだろうか……と考えたが、話は気になる内容に変わっていった。


「ひとしきり、騒いだところで私から皆さんに話さなくてはいけないことがあります」


「最後の指令。悪魔姉妹の身柄確保を達成したということは……」


「そうです。私たちの今後とあの悪魔姉妹と穂紀さんの友達の今後について」


「それは、代表して話に参加して構わないわよね?」


「さえちゃん!?」


「ティナ! なんでこいつがここに!?」


「隣の部屋で介抱していたんです……あ!! いけないわ! その部屋から出てわ!」


「話に入るなら同じ部屋で……、え?」


水鏡が穂紀達の部屋に入った途端に踏み出した足が床を踏んだ瞬間、自身の体重を支えられず、崩れる。


ドタン!!


そう音が立った。

間違いなく水鏡が倒れた音である。

だが、一人ではない。


「さえちゃん、大丈夫? ラファも大丈夫?」


「むにゅ~、おもい~。いたい~。早くどいて~」


ラファがヘッドスライディングをした様に水鏡と床の間に挟まる。

翼を出していたおかげで、水鏡の体に怪我はなく、むしろ、ふんわりと受け止められた感覚だった。


「ご、ごめんなさい。退いてあげたいのだけれど体が動かないの」


「む~、やつか~、ヴァスクさん。助けて~」


「「いや、怪我人に助けを求めるなよ」」


「仕方ないわね、尋斗。手を貸しなさい」


「わかったよ」


二人かかりで水鏡をラファの上から退けて、水鏡を隣の部屋へと移し、そこからの会話を参加をすることになった。

扉を開け、部屋の仕切りをはみ出さず、椅子に座っている。


「ごめんなさい、変なお世話をさせてしまって」


「いいわよ、別に。でも、ティナ? コイツに話していい内容なの? 聞いてから逃げ出されたりしない?」


「全然、構いませんよ。むしろ、手間が省けてありがたいです。それに逃げれる訳がないですよ」


「な、なんでか聞いても?」


ニコニコとするティナに恐る恐る友理乃が聞いてみる。


「この教会は所有者の許しがない限り玄関、皆さんが入ってくる扉以外から出ることはできないんです。その扉以外から出ようものなら痛い目に会いますし、所有者の許しなく扉からでようものなら……ね。言うまでもないですよね? ふふ、だから、大丈夫なんです」


「大丈夫じゃねぇよ!! むしろ、ここに居るのが怖くなったわ!!」


(ここは教会ではなく、牢獄じゃないかしら。いや、それ以上の何かね……。)


「あ、水鏡さん。その部屋には魔力回復・身体治療の結界がかけられているのであって、閉じ込めている者を動けなくする結界ではないので、怖がらずにゆっくりしてくださいね」


「あ、ありがとうございます」


水鏡は清水たちの裏にいたティナの恐ろしさを覚え、大人しくしようと心に決めたのだった。


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