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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
指令 『悪魔姉妹の回収』
45/55

決着

お互いに仕掛けることなく、相手が仕掛けてくるのを待つ。

どんな力を使うのか、それを見てから動きたいのだ。


「なんだ? 力を使うって言いながら全然使ってこないどころか、動きすらしないじゃねぇか。まさかとは思うが、口から出まかせか?」


「まさか、そっちが使ってくるのを待ってるだけよ」


「えらく余裕じゃないか。だいたいエバリエから俺がどういう戦い方をしているかくらいは聞いてないのか? アイツとは、よくやりあってたと思うだがな」


「多少ね。その剣と銃を合わせて、銃剣……だったかしら? 何せ、初めて見る武器だったから驚いたと言っていたわね。 今回はしないのかしら?」


「そっちが動いてから、するつもりだったが……いいか。そっちにばれてるなら最初から一本にしとくか」


刃と銃の側面をぶつけると光だし、すっと二つの武器が光の玉になり、一つになったかと思うと、剣と銃が一つになった。


挿絵(By みてみん)

※しちみ様からの挿絵提供


「やっぱこの方が扱いやすいな」


「それが本来の形なのね」


「まぁな。片手の方が戦いやすいしな」


「そう、なら私もこの子の力をしっかり出せるようにするかな」


 刀を鞘にしまい、鞘刀を腰元から取り、それを地面に突き立て、眼をつむる。

 すると、異様に風が吹き始め、照らされていた地面が徐々に暗くなっていく。

 どす黒い雲が水鏡の上に立ち込めていき、それは学校を覆いつくし始めた。


「おいおい、本気出しすぎじゃないか!?」


「アイツ、お前を殺す気だぞ。悪魔の力を引き出しやすい結界を作り始めてる」


「俺自身、そこまでのことができないのに初の戦闘でこれだけできるとか、天才か?」


「感心してる場合か! どう考えても悪魔が力を貸してるに決まってんだろ! アイツ、人間やめる気か!?」


 薄いまでも学校を黒い(もや)が包み、それが細い線になり少しずつ水鏡の体に入っていっている。


「どういうことだ?」


「……自分の体に悪魔の力を馴染ませて、最大に引き出そうとしてるんだ。あれをやりすぎると」


「悪魔になるのか」


「何、こそこそ話しているの? これが終わったら、すぐ戦わせてもらうけど、大丈夫?」


「お前、悪魔になるつもりか?」


「なるギリギリまで、力を蓄えさせてもらうわ。カリジナの力も限りがあるしね」


 水鏡の手を見ると、人の手とは思えないほどに爪が鋭く、光が反射していたように見えた。


「もうそろそろ……っ!!!」


 瞬きと同時に水鏡の姿が消え。

 刹那、感覚的に八束は横跳びして、頭上からの剣先を避け、地面に突き刺った。

 その砂煙の中からは一つの紅い閃光が八束を捉えていた。


「こっちがしゃべり終わる前から始めんなよ」


「言ったはずよ、『すぐ戦わせてもらうけど、大丈夫?』って」


 砂煙がそよ風によって、徐々に消えていく。

 片側の靴下は無く、足はほぼ褐色の肌になり、スカートの裾も朽ち始め。

 制服も半分は垂れ布を醸し出し。

 眼は人間のものとも、猫目にしては禍々しく紅く光り。

 立派な片角を生やした姿の水鏡が構えていた。


挿絵(By みてみん)

※しちみ様からの挿絵提供


「もう半分、なってじゃないか」


「そうみたいね。体の奥から力が湧いてくるの。すごくいい気分だわ」


 そういうとまた姿を一瞬で消え、感覚的にでんぐり返しみたく避ける。

 次は、胴を狙った横切り、しかも、また背後からの斬撃。


「お前、ホントに殺しにかかってるな」


「この姿で茶番をするつもりはないわ」


 また姿が消えたかと思うと、背後から八束の耳元で

「殺してあげる」と囁かれ、八束は思わず、背後に向かって剣を振るうが、空を切る。

 水鏡の動きが速すぎて、目で捉えることはできなくとも感覚的に殺意を感じ、避けることができるが、避けた後は無防備になってしまい、そこを狙われたら、やられることは間違いなかった。

 態勢を立て直して、銃剣を片手で持ち、いつでも動けるように身構える。


「くそ、アイツ。殺すとか言いながら、半分楽しんでるな」


「八束、もったいぶる必要はないぞ。オレの力も使ったらどうだ」


「そうだな。病み上がりで無理はしたくなかったが……ここはやむ負えないな」


 銃剣を両手に持ち直し、地面に突き刺し、固く目をつむる。

 少しずつ、八束の周りだけそよ風が起こり、強くなるにつれて上昇気流を生み出し、水鏡が生み出した空にかかった黒いもやを押しのけた。

 その間から、太陽とは違う光が八束に降り注ぐ。


「させるとでもっ!!」 


 再び、背後に回り、無防備で微動だにしない八束の背中を上段から振り下ろした。


 キィーーーン。


 だが、甲高い金属音とともに八束を刃で傷つけることはできず、身体で刃が止まった。


「っ!!! どうなっているの!?」


「おいおい、俺はお前の準備を待ったんだからそっちも待ってくれよ。っても、もう終わったんだがな」


 驚いた水鏡にしてやったりの八束。

 突き刺したままの銃剣で引き金を引いて、砂煙を上げ、水鏡に銃剣を振るう。

 今度は、刀に当たった。

 素早く水鏡は間合いを取り、八束の姿を見直す。

 八束の服装に何の変化はない。

 甲高い音がしたことから、鎧でも身にまとったのかと思ったがそうではないようだ。

 ただ、八束の身体からはうっすらと金色のオーラが出ていた。


「アンタ、なんか光ってない?」


「はは、そりゃ、どうも。さっきの芸当をまのあたりにすりゃァ、察しはついてんだろっ!」


 水鏡ほどではないが、一気に間合いをつめ、水鏡に切りかかる。

 片手での軽い連撃だが、受けとめる水鏡は顔をしかめ、反撃の余裕もないようだ。

 最後に両手で、強い斬撃を入れようとしたが、動きが大きかったからか、避けられたが。

 それが狙いだった。

 後方へと避けた水鏡に八束はまた引き金を引く。

 

 ガヒィーーン!!


 銃弾と刀がぶつかり合う音がした。

 どうにか刀で防いだようだ。

 そこで、長期戦にもつれ込むと分が悪いと思った水鏡は……。


「ねえ、アンタのそれは本気と捉えていいのかしら」


「はは、例え、本気だったとしても言うかよ」


「それもそうね」


 左手で刀を持ち、黒いオーラをまとわせた右手を刃に這わせ、刀に黒いオーラがまとわせた。

 また構えなおして、八束に刃を向ける。


「おい、あれは結構やばいぞ、気をつけろ」


「さすがにわかるぜ、見るからにやばそうだ」


 八束も体だけでなく、銃剣にも金色のオーラをまとわせる。

 両者とも本気なのか、はたまた、まだ半ばなのか。

 対峙して、同時に踏み出し、ぶつかり合う。

 剣と刀が激しくぶつかり合い、火花を散らし、つばぜり合い。

 八束は銃弾、水鏡は素早い斬撃から繰り出す真空刃で間合いがあいてもお互いに攻撃を休めることがなかった。

 だが、時折、水鏡は低音のうめき声を出し、自分を抑えようとしていた仕草があった。

 そして、その時は急に訪れた。


「ウァアアーー!!!! ヴぅ、やめて、暴れない…でっ! グゥウウー!!」


「なんだ、急に!」


「やばいな、アイツの中で悪魔が暴れだしたんだ」


「コロス、八束、トモダチダケド、二人ヲ苦しめるならコロス」


「本当にカリジナなのか……?」


「違う……チガワナイ。紗恵莉、ごめんね。もう終わらせる」


 八束の方に右手を向け、開いていた手を力強く握る。

 すると、炎の輪が八束の体を縛り、身動きを取れないようにした。

 足は自由だから、水鏡の体を乗っ取ったカリジナが無慈悲に、黒い真空刃を放ち、炎の輪に集中ししまった金色のオーラは足元が薄くっていて。


 ぐしゃっ。


 簡単に八束の足を傷つけ、うめき声とともに血が流れ、立って居られなくなった。

 ヴァスクも八束を守ることに精一杯で、銃剣も具現化できなくなった。

 そんな八束を見下ろすようにカリジナは涙しながら。


「じゃあね、八束。遊園地、楽しかったよ」


 口をわななかせる八束を尻目に、心臓目掛けて、刀が肉を裂き、突き刺さった。


「くぅっ! …………え」


 ぶちゃり。


 そう生肉に思い切り、何かが突き刺さる音がしたのにも関わらず、八束は無事で、目と鼻の先に黒い刀の刃先があり、そこから血が滴っていた。

 目の前には天使の白い羽、白い服が徐々に赤く染まっていくのを見た。



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