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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
仲間になるには
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見えない犯行(挿絵あり)

「ほんとね。あの子出店のもの盗ろうとしてる」


「ちょっと待って、背におっきな斧背負ってない?」


 ホットドックが入っている保温ショーケースを開けようとしている姿は往来する人で、途切れ途切れ見えなくなるが、子どもの背丈と同じくらいに大きな斧を背負っていた。

 ただ、開けたショーケースのホットドックに手が届かないようでジャンプしてとろうとするが届かず、あきらめて、表に出ていたチュロスで手を打ったようで、振り返ったその顔は素直に喜んでいるのだが、微笑ましくないのは間違いない。


挿絵(By みてみん)

※しちみ様からの挿絵提供


「あれだけのことして、周りに気付かれてないってことは…」


「精霊…、もしかしたら、悪魔なのかもしれないね」


「…あの悪魔さん、エバリエさんも初めて見たときは角とか翼もなかったですもんね」


「あんなやつにさん付けしなくていいわよ」


「でも、ここで出会うのは、こっちが危険だよ」


 今の5人には守護精霊がいない。

 悪魔がもし攻撃を仕掛けてきたとき、身を守る手段がないのだ。


「いま、観覧車に乗っている場合じゃないな。ここから離れないと。幸いあっちは…こっちに…気づいて、ないし…」


 八束の呼びかけに4人が反応しなかったので、チュロスを食べていた子どもを見るとこっちを見ていた。


(((((気付かれてる~)))))


 周りは見えていないからこそ何の気なしに遊園地を楽しんでいるからこそ、5人のあからさまな反応は子どもに5人を完全に認知させるには十分だったようで、頬張っていたチュロスを後ろ手に隠した。


〔あんたたち、見てたの?〕


 けっこう距離があるにもかかわらず、その呟いたような声を5人は聞き取る事ができた。

 

「み、見てないぞ。チュロスを盗ったところなんて」


「ば、馬鹿!! その発言は見たっていってるようなもんでしょ!」


〔見たんだね…、見られたものは仕方ない〕


 八束が口を滑らせたせいで、その子どもの気に障ったようで、背にあった斧を片手で持ち、こっちへ近づいてきた。

 一歩づつ近づくにつれて、角が生え、翼が羽ばたき、肌が赤黒く燃え、三歩で姿が変わった。

 エバリエとは少し違うところもあるが、間違いなく悪魔だ。


「もう逃げるしかないみたいね」


〔遅い!〕


 夏実がそう言うと三人も夏実につられて逃げようとするが、悪魔は大きくジャンプして5人に攻撃を仕掛けてこようとしていた。

 そんな状況に八束はジャージのポケットから青いスーパーボールのような球体を取り出した。


「仕方ない、みんな目をつぶれ!」


 そう言いながら、それをおもむろに地面に叩きつけた次の瞬間、閃光弾の如く強烈な光を発した。

 八束は投げた瞬間に、目をつむり、被害はなかったが、向かいにいた悪魔はもろにくらったようでチュロスと斧を手放して、地面の横たわり目を押さえていた。


〔目が焼ける~!!〕


 実際、焼けてはないはずなのだが、そう感じている様だ。


(よし、このまま逃げ回って、奴の魔力を無くせば勝ちだ。)

 

 そう思って振り向いて走り出そうとすると、うずくまっている穂紀がいた。


「え、なんで!?」

 

 なぜ八束がそう叫んだのか。

 八束が地面に打ち付けたスーパーボールみたいな球体は、もし、悪魔と遭遇した時のためにティナに渡されたものだった。

 対悪魔用魔力吸収結界ボール、説明不要とも言えるそのボールは衝撃を与える事で光とともに悪魔の魔力を吸収する結界を発生させることができる代物で、さらに付け加えると、現実の空間とは違う別空間を生み出し、悪魔とそのボールを使用した者だけをそこへ存在ごと移動させる。

 そういったことを事前にティナから教えられていた八束は、悪魔と自分しかいないはずの遊園地に穂紀までいる事に驚いたのだ。


「あれ? 清水クン、そこにいるの?」


 まだ目がくらんでいるようで、声を頼りにこっちにむいた。


「とりあえず逃げないと、行こう!」


 目をこする手を取って、走り出した。

 穂紀は、よろめいていたが、なんとか持ち直して、八束に引っ張られるまま、どこかへつれられる。 


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