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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
仲間になるには
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THE 遊園地

 電車に乗っていた八束達はバスに乗り継いで、遊園地に着いた。

 休日ともあって、午前中でも入口にはたくさんの人がいる。


「さすがに日曜日は人が多いわね」

「はぐれないようにしないと」

「俺たちももう子供じゃないから大丈夫だろ」

「でも、もし、迷子になった時は電話でやり取りするようにしよう」

「ラファがいたら、私は迷子確定だろうなぁ。あの子、自由奔放だから」

「今日はティナさんが精霊たちを預かってもらってるんだし、私たちで楽しみましょ!」

「…はい!」


 長い行列で順番を待ってから、入口でチケットを渡すと、遊園地のマスコットキャラが描かれた缶バッチをもらった。どうやら、チケットの特典らしい。


「あ! 清水クンいいなぁ! クマッキーもらえたんだ!」


(説明しよう! クマッキーとはこの遊園地のマスコットキャラである。かわいらしい見た目に反して、何を言っているかわからないハスキーボイスは一度聞いた人でも、そのギャップからすぐにわかってしまうらしい。)


「斎条は…、ドナルドサーモンか! 俺はこっちのが良かったな」


(説明しよう! ドナルドサーモンとはクマッキーの良き親友であり、ライバルであったりする。サーモンは言葉を話せないが、何を言わんといているかがわかる挙動で人気になり、クマッキーと人気でもいい勝負をしている。)


「じゃあ、交換しよ! 私もクマッキーの方が好きなの!」

「お! なら、お言葉に甘えて」

「ほら~、立ち話してないでいくわよ~! アトラクションに乗れなかったら嫌でしょ!」


 今日は日曜という事もあり、人気なアトラクションにはどうしても行列ができてしまう、その事をわかっている二人は慌てて、缶バッチを適当にしまって、みんなのところに行くのだった。 

 五人の計画は、五人がそれぞれ違うアトラクションをあげていき、今日の待ち時間に照らし合わせて、待ち時間が短いものから乗っていくというものだった。

 幸い、携帯で待ち時間を確認できるサービスもしている遊園地だからできる計画とも言える。


 「じゃあ、あれから乗りましょ!」と夏実が指を差したのは、この遊園地で最大の目玉とも言えるジェットコースター。

 コース料理で言うところのメインディッシュがいきなり出てくるような突拍子もない提案だった。


「おいおい、着いていきなりあれに乗るとかハードすぎるだろ!」


「仕方ないじゃない、あれが一番待ち時間短いんだから」


 夏実が水戸黄門の助さんみたく、携帯を八束の目の前に突きつけた。

 どうやら、夏実の言う事は本当のようで他のアトラクションに比べ、格段に待ち時間が短かった。


「他の人も着いて、早々あれに乗りたいとは思わないよね」


「結構怖いらしいし、体力持っていかれるらしいよ」


「ほんとに、あれに乗るのか?」


「もちろん! あれに乗ったら他の待ち時間が短くなってるはず!」


「それはないと思うんだが…」


 夕方ならまだしも、まだ午前中。

 お昼頃になれば、さらに人が増えるのは目に見えているが、このジェットコースターを目当てに来ていた夏実には聞く耳も止める術もなく、結局は短い行列に並ぶこととなった。


「私、実はジェットコースター初めてなんです。」


「え! なら、止めといたほうがいいぞ?」


「そうだよ、別に尋斗君みたいに待っててくれても良かったのに…」


 そう、行列に並ぶ前、ジェットコースターが大の苦手な尋斗は並ばずにこのアトラクションの近くの店屋でお土産の目星をつけるといって別れたのだ。

 尋斗いわく、悪魔と戦う時は自分で調節して飛べるからいいが、機械に身を委ねるのは心底嫌いだそうだ。 


「ううん、せっかくみんなと来たんだし、トライしていかないと!」


「ふふ、そうこなっくちゃね。ジェットコースターの楽しみ方を教えてあげるわ」


 二列並びの行列で、友理乃と穂紀が場所を変わって、夏実によるジェットコースター・マンツーマン指導が始まった。

 まずは、乗り方から話しているようだが、それは係りの人が教えてくれるはずである。


「そう言えば、前は友理乃も待ってなかったっけ?」


「うん、前に来たときは怖かったから乗らなかったんだけど、もう高校生だし、大丈夫かなって思って」


 前に来たときは、まだ精霊を宿す前の頃で、片親と一緒に四人、全員で八人で来ていた。

 そのときは、八束と夏実に片親の四人で乗っていたのだ。

 

「あの時より、大きくなったし、行けるだろう」


「だね、頑張ろうかな」


 そうこう話しているうちに、俺達の順番が来て、四人一列で並んで、ジェットコースターに乗り込んだ。


「ま、まだ…だ、だめだったみたい……うっ」


「大丈夫、友理ちゃん? なにか飲み物いる?」


 一回頷いて、次に横に振る。

 見てわかるくらいに顔を真っ青にしているが、本人いわく大丈夫らしく、飲み物はいらないようだ。

 ジェットコースターから降りるや否や、友理乃はあまりのジェットコースターの迫力に気分を悪くしてしまい、危なく転倒しそうになったが、夏実が肩を貸して、ケガする事はなかった。


「とりあえず、安静にしてれば、大丈夫じゃないかな。やっぱり、乗らなくてよかった。僕もこうなる自信あったからね」


「そんな自信はいらん」


「尋斗が居てくれてよかった。これでもう一回乗れるわね」


「お前はもう少し心配してやれよ」


「心配は、尋斗が友理乃を見ててくれるから払拭されたわよ」


 「は?」と八束が言った後、尋斗を見ると手を振っている。

 あたかも、いってらしゃいと言わんばかりだった。


「私ももう一回乗りたいです!」


「さっきの平気でしかも楽しんでるとは、なかなかやるわね!」


 輝いた目を見て、さらに嬉しくなる夏実は乗りたいという気持ちが倍増したようである。

 それのやり取りを見た八束は、心なしか嫌な予感がしていたのだが、案の定で。


「でも、女子が二人で行列に並ぶのは、いささか物騒だし……八束もくるわよね?」


 一度、日陰にいる二人を見たあたり、「こっちは大丈夫そうだし」と言ったように感じただけ良いかもしれないが、こういう時に男であることを後悔したくなった八束である。


「わかった。付き合えばいいんだろ」


 そう言うと、夏実は嬉しそうに笑いながら、先頭きって、ジェットコースターに向かっていく。


「前もこんな流れがあったな」


「前って、皆さんで来た時?」


「あぁ。夏実があれにはまって、何回も付き合わされた。さすがに二桁には行かなかったけど、軽く五年分くらいのジェットコースターを一日で味わったもんだ」


「え、さすがに私そんなに味わいたくないです」


 (ごく一般人なら、当然だ。あの時の俺もそうだった。最終的には、あれに乗りすぎたせいで、歩くことに違和感を覚えかけ、三日間くらいジェットコースターに乗っている悪夢を見た覚えもある。あれ? あの頃、トラウマになってたんじゃね?)


「まぁ、トラウマにならない程度で付き合ってやってくれ」


「トラウマ!!?」


 穂紀が急に大声になったから、夏実も振り返ったが、順番はすぐに回ってきて、ジェットコースターに乗った。

 この後、友理乃の体調が回復したこともあって、二回に留まった。

 とはいえ、友理乃の程ではなかったものの、穂紀に精神的ダメージを残す回数であったのは確かだった。

 

 人の込み合いを避けるために、早めの昼食をはさんだ。

 午後からは、行列に身を任せたものの比較的穏やかなアトラクションが続いて、八束がリクエストした3D

体感アトラクションに尋斗は難色を出していたが、軽く首を痛めていたものの、本人は楽しんでいた。

 そして、穂紀のリクエストした観覧車がトリになった。


「時間が経つのって早いわね~。そんなに乗ってもないのにもう夕暮れ」


「待ってる時間も長かったから、仕方ないよ」


「でも、楽しかったよ」


「確かにね」


「にしても、何で観覧車だ? 他に乗りたいものなかったのか?」


「私、昔から観覧車が好きで。ゆっくり上がっていく感じとか、一番高い場所に行った時の景色が好きなんだ。それにみんなとゆっくりできるし、少しでも長く居たいしね」


 その最後の言葉に、四人は心惹かれるものがあったが、こんな恥ずかしい事を平然とやってのける穂紀を見て、四人ともこうも思った。

 

 ((((この子、天然なんだ))))と。


「あ、あの人、物を盗って…る?」

 

 そう言いながら、穂紀が指を差したのは、通りに面した設置されている屋台。

 そこはチュロスやホットドックといった軽食が置かれているものだったが、おもむろに犯行に及んでいる子供の影がそこにはあった。


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