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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
仲間になるには
36/55

集った?

―――  教会  ―――


「ひま~。ねむい~。ほのり~」


「さっきから同じこと言ってんじゃねぇよ。居ないもんは仕方ねぇだろ」


 長椅子に寝そべっているヴァスクにそう言われ、ぶぅ~っとふくれっ面になるラファは天井の高い教会の中を仰向けに飛んでいた。

 

「でも、いいなぁ。フェリアも遊園地に行きたかった」


「そう思うでしょうが、日頃、私達に気を使ってくださるご主人様達にも羽を休ませる時がなくては疲れてしまわれますから、私達はここで待っていましょう」


「それもそうだけど……、リョウはどう?」


「グライフに同意」


「そっかぁ、なら、我慢するかな」


 教卓の上で、フェリアとグライフとリョウが飛んでいるラファが見えるように扇状に座っていた。


 なぜ、八束達の精霊が教会にいるのかというと、ティナが気を遣っての事である。

 もともと、八束達の四人は幼いころから仲が良かった。

 だが、穂紀が加わったことで関係は多少なりとも変わってくるのではないかと考え、遊園地のチケットを渡して、ついでに精霊たちを引き受けて、5人で仲良くなってもらうという作戦である。

 

「皆さん、くつろいでくれてますか?」


 そんな作戦をたて、実行したティナが奥の部屋から出てきた。


「あァ~、元の姿になってくつろがせてもらってるわ」


 ヴァスクの元の姿。

 ラファよりも頭一個半くらいの身長差があるくらい高く、翼もラファよりも一回り大きいくらいでその姿を八束が見たときは、絶句して日頃は小さい姿で過ごす決まりができてしまったくらいにヴァスクの元の姿は八束の部屋では、場所をとってしまうのだ。

 今は、翼を出さずに、足を椅子にあげて組み、ティナに対して、声と手で応答した。


「ラファみたいに日頃から飛んどいた方がいいですよ? 元の姿で戦うかもしれないですし~」


「いいっての。どーせ、戦闘はあいつが動くし、なにかとこの世界じゃあ、小さい方が小回りが利くしな」


「それもそうかもですね~、ヴァスクさんいろいろと大きいですしお寿司~」


 なんで語尾にお寿司って言ってんだよって言うヴァスクを余所にティナは教卓に近づいて、


「お二方は元の姿にならないのですか?」


「はい。私は精霊界でも、天使達よりも魔力が少ないので、こうして小さい姿でいるのです」


「フェリアが怖がってしまうから。それに楽でいい」


「さすが、リョウ! 私の事わかってる~」


 そう言いながらフェリアはあまり感情を表に出さないリョウに抱きついた。

 でも、抱きつかれたリョウは、表情は変わらないが、尻尾はゆっくりだが動いていた。

 

「そうですか、気を使っての事じゃなくて良かったです」


「ここに居るのは、楽でいいんだが、ちゃんとあいつらにもしもの事があった時の保険はかけてんだろうな?」


 中腰で三人に目を合わせて、話していたティナに後ろからヴァスクが面倒臭そうに聞く。


「大丈夫ですよ。これでもあの方の使いでこの世界に来ているのだから、ぬかりはありません」


 そんな声にも明るく返すティナは、姿を隠していた時よりもしっかりした口調で部屋へ戻っていく。


「どうだかなァ。それにしては、段取りが悪いと思うが?」


「ヴァスクさんは、せっかちでいけません。あの子たちの年頃ならこれくらいがちょうどいいはずです」


「そんなもんかねェ」


「ええ、そんなもんです」とドアノブに手をかけてから、

「それに八束君なら、うまく使ってくれるはずですから」と教会に言い残して、奥の部屋に戻っていった。

 それを聞いて、教卓の上の三人は何の事だといった様子でティナの消えた扉を見てから、お互いの顔を見合ったが、やはりわからない。


「ヴァスクさん。ティナは何か、やつかに渡したんですか?」


「さァな。だが、あいつが護身用で渡すもんだ。生半可なもんじゃぁねぇのは確かだ」


「ふ~ん、まぁ、ほのりが無事に帰ってくるなら、ラファはそれでいいかなぁ」


 ほのり~、ほのり~~♪

 と口ずさみながら飛ぶラファは目をつぶりながら、瞼の裏に残る穂紀を堪能していると、


「おい! 前見て飛べよ!!」


 へ? と間抜けな声をあげたもの束の間、

 ぶびゃ!!? と教会の壁に勢いよく顔をぶつけるラファは器用にも落ちず、空中で顔を覆って痛がっていた。


「痛い~!! ヴァスクさん、痛いよ~」


「やれやれ、言わんこっちゃない」


「ヴァスクはなんだかんだで、優しいよね」


 八束達の事を心配して、ティナに聞き、痛がっているラファの許に出していなかった翼を出して飛んで行くヴァスクを見て、フェリアが言うと、二人も頷くのであった。

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