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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
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35/55

時には。(挿絵あり)

――― 夏実の家 ―――


 今日はティナにもらったチケットで遊園地に行く日。

 

(いつも通りでいいかな。なにかあった時に動きやすい服の方がいいし。)


 服装のことを考えたが結局はいつも通りの格好をチョイスして、クローゼットからジーパンを出そうとすると、


「夏実~。友理乃ちゃんが来たんだけど、あげていいわよね?」

「大丈夫~」

(こんな時間に? 昨日、家に来るなんて言ってなかったと思うんだけど…)


 下の階から夏実の母が大きな声でそう言われ、断る理由もなく、そのまま友理乃は二階の夏実の部屋へ上がって来た。

 みんなと駅で会う時間の一時間半前。

 もちろん、迎えに来ただけな訳もなく…


「おはよう、なっちゃん。今日は…」

「おはよ。というか、ノックくらいしてよね…? どうしたの、固まって」


 夏実のいつも通りの服装、長袖のTシャツにジーパン、暖かくなってきた最近は出かける時にパーカーを着る。

 まさに、今、そのスタイルで遊園地に行こうと考えていた訳だが、今回ばかりは考えが甘かった。


「まさかとは思うけど、今日もいつも通り?」

「え、そのつもりだったんだけ」

「そんなんじゃダメー!!」


 持っていた紙袋は手から離され、オシャレな鞄をすばやく肩から外して床に置いてから、


「そんな大声あげないでよ、ってなんで無言で脱がしにかかってるの!」

 

 着替えの終えた夏実のTシャツに手をかけて、再び固まった友理乃は俯いたまま、呟きながら。


「なんだか今日は起きてから胸騒ぎがして、心配で来てみれば案の定。もしかしたら、八束くんもジャージなのかもと思ったけど、どうせ『棗の目があって仕方なく』というだろうし、それに友達とは言え、異性に私が言う義理もないし、アウトオブ眼中だからいいやって思えたの。日頃ジャージだし、それも仕方ないかとも思った」


 友理乃の予想は的中し、今頃は寝ていたとしても、未来を予想された八束は自身のくしゃみで跳ね起きたかもしれない。


「でもね!」


 友理乃は顔をすばやく上げて、夏実の顔をじっと見る。

 それはもう瞳孔が開くくらいに目を見開いて、見ているのだ。

 それにはさすがの夏実も後ずさりしてしまうくらいにホラー的な顔でさらに続けて、


「それでも納まらなかったの…。なんで? どうして?と思った矢先にお父さんがジーパンを履いているのをみて、思ったの。『あ、なっちゃんはいつもジーパンだったな』って! そしたら、胸騒ぎが確信になって、急いで仕度して来てみたら、この格好……」


 次は、崩れるようにその場に座り込んで、手で顔を覆い隠す。

 涙は流してないだろうけど、その雰囲気に夏実は体は動かさずに顔だけを崩れた友理乃に向けるのが精一杯だった。


「女の子なんだから、こんな日くらいオシャレして!」


 例えるなら、不良になった息子の事を刑事さんに泣きついて、最終的には、その場で泣き崩れた母親の様なそんな状態である。

 これにはさすがの夏実も申し訳なくなり、着替える事を決意するが…。


「わかったわよ。この格好はやめる事にするけど、アタシの家にオシャレな服なんてない…」


 夏実の言葉を半ば、聞いた位で友理乃は持ってきていた紙袋をすばやく持ってきて、これ見よがしに自分の顔の横に持った。


「あ、じゃあ。それを借りようかなぁ?」

「ふんふん」


 空を切りそうな勢いで頷く友理乃に圧倒されながら、服を脱ぎ、座らさせられ、髪を解かれる。

 なんなんら、インナーさえも変えられて、溜息も出そうなくらいの夏実に、



挿絵(By みてみん)

※しちみ様からの挿絵提供


「やっぱり女の子ならこういう時くらいは、ね?」

「あ~、そうですね~」


 満足そうに自分と同じ髪型にする友理乃は支度を手伝って、一緒に駅に向かうのであった。

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