なんだかんだと土曜の休日。
数日後、今日は土曜の休日。
数日間、何をしていたかというと、俺達(特に俺)と茶髪カチューシャの斎条穂紀との懇親を兼ねて、デパートに買い物に行ったり、ファミレスへ食いに行ったり、アミューズセンターへ行ったり、カラオケに行ったり……。
ざっくり言うと、高校生らしく放課後にエンジョイ!
すると、知らんうちに仲良くなってました、という感じだ……。
そして、今日はどうするのかっていうと、昼からシスターへの指令の報告、だ。
「それじゃあ、行ってくる」
「兄貴、今日はどこに行くの?」
棗が、パジャマの格好で駆け寄ってくる。
髪も下して、休日スタイルだ。
「ん? ちと友達の用事に付き合うんだ」
「みんなには、会わないの?」
「会うけど、今日は高校で仲良くなった新しい友達と会うんだ。」
「そうなんだ! なら、その新しい友達にも会ってみたいな!」
目を輝かせて、俺に詰め寄ってくる。
遊びたいんだろうなぁって思うが流される訳にはいけない、甘やかしてはいけない…くっ!
「あ~、あいつは人見知りだから、用事が手に付かなくなるかもしれないなぁ」
「そっかぁ、なら、行けないね」
あ~、そんな残念そうな顔しないでくれ!
俺も辛くなる。
どこかでため息が聞こえたが、聞こえなかった事にする。
どうせ、ヴァスクだろうし。
「まあ、あいつには俺に妹いるからって言った時、会ってみたいって言ってたし、そのうち会うと思うから楽しみにしといてくれ」
「うん!」
愛おしい妹と話してから、集合場所の教会に向かう。
斎条は前にみんなと行ったことがあるのと、用事があるのもあって、集合するにはうってつけだった。
(なんか着くの俺が最後な気がする。)
〔かもしれねェな、別に構わないだろ。 お前がシスコンなのはどうしようもないのは知ってるしな。〕
(理解があって助かるよ、まったく! 兄が妹を愛でて何が悪い!)
〔これは治らねェな。〕
(うっせぇ!)
肩の上に乗って、ゆっくりできてんのに言いたい放題言いやがって……。
(今日は帰るのが遅くなるかな?)
〔さァな、あの小娘次第だな。〕
(それもそうだな。)
他愛のない会話をしていると教会に着いた。
なんとなく、中から声がするからみんなも集まっているんだろう。
「おーす、遅れてすまんな」
案の定、俺が最後で、みんなはもう揃っている。
「やっと来たね。みんな集まってるよ」
尋斗はジーパン、カッターに水色のベストを着ている。
「どうせ、棗と話してて遅くなったんでしょ?」
夏実はいつも通りのジーパンに真っ黒のTシャツ。
「あー、一緒に来たがってな」
俺も上下ジャージのいつも通りだ。
「本当に清水クンは妹チャンと仲がいいんだね」
斎条はレースのある長めのスカートに涼しげな長そでを着ている。
「シスコンの域だもんね、八束君は」
友理乃は白のワンピースを着て、上着にピンクのパーカーを着ている。
「うるさいな! 普通だよ、普通!!」
一通り、挨拶混じりの会話をしていると、奥のドアからシスターも出たきた。
あの女神のステンドガラスの前に来ると、早々に
「みんな揃ったみたいですね。では、報告していただけますか?」
と催促されたので、俺は指令書を取り出して、事務的に端的に話す。
「今回の指令の『人探し』に該当するだろう女子、斎条穂紀を見つけた。だが、その守護精霊は天使ではなく、鼠の姿をしているにも関わらず、ヴァスクは斎条が該当者だと判定している。おまけに、斎条は俺と似た指令書を持ち、内容は簡単に言えば『俺との接触』が達成条件であることから俺たちは、斎条が該当者だと判断した。報告は以上だ、シスター」
なぜだか、シスターはこういう報告の仕方を強要してきたから、クセづいてしまった。
「ヴァスク、本当にこの子で間違いありませんか?」
〔あァ、間違いない。あそこで感じたのはこの小娘以外に居なかった。それに、コイツを狙って悪魔も動いていた。守護精霊の姿が違うが、間違いないだろうよ。〕
「悪魔も動いていましたか……、なら、より確実ですね。わかりました。みなさん、お疲れ様でした。今回の指令はこの報告をもって完了です」
その言葉を聞いて、俺たちは安堵する。
前に俺とヴァスクなしで来たときは、軽く門前払いのような扱いを受けたと聞いていたから俺は余計安堵していた。
女子三人は、お互いに笑いあって、喜んでいる。
尋斗も安堵のため息をついていた。
そんな五人に構わずにシスターは「穂紀さん、近くに来てもらえますか?」と呼んだ。
「穂紀さん、改めまして、私はシスターです。これからあなたはここの教会の加護のもとで八束くん達と指令をこなしていく事になりますが、よろしいですか?」
「はい、みんなとなら仲良くやっていけます! でも、私は戦闘でみんなの足手まといにならないか不安で……」
俺は居なかったから知らないが、斎条はみんなと初対面でいきなりの悪魔の戦闘でなかなか辛かったようだ。
一番、活躍していた夏実に対して恐怖心があったとか、恐れられるべき悪魔も形無しだな。
「不安に感じずとも、このペンダントをすれば問題ありませんよ」
「それって、みんながしてるのと同じ」
「はい、詳しい話はまた明日にでも話すとしますが、これがあればみんなの足手まといにならずに済みますので、つけてもらいますか?」
あの忌々しいペンダント、俺のときは問答無用だったのに、なんでこうもみんなの時は優しいのか、小一時間程、問いただしたい所だが、とりあえず、言う事はいつも同じだ。
「斎条、気をつけて、な」
「う、うん」
尋斗も、夏実も、友理乃も、そこまで緊張して見てはいないだろう。
だが、俺はあの体験をして、しかも、斎条に話しているから俺たちは緊張しているのだが……!
「い、いきます!」
斎条があのペンダントをつけると、少しづつ斎条自身が輝きだして、教会の中が光で真っ白になった。
シスター以外の一同は驚いて、思わず声をあげた。
光がおさまって、一番に声を上げたのは意外な奴だった。
〔ほのり…? ラファ、なんだか、おおきくなった?〕
「その声はラファ……!! ラ、ラファ! 何で、裸なの!?」
斎条がそう言うのなら、そいつは斎条の守護精霊なのだろうが!
俺と尋斗は、問答無用でそいつに背を向けた。
なにせ、健全な高校生には少しばかりクルものが見えてしまっているからだ。
「二人は絶対に見たら駄目だからね!」
「わかってるって!」
この先は会話だけでお楽しみください。
〔わぁ、つばさがある~。とべるかな?〕
「わ! わ!! 飛んじゃダメぇええぇぇ!!」
〔へへ、ほのり、あったかいね。これで、らふぁもほのりをだきしめられる…ね……へ、へくちょん〕
「あらあら、とりあえず、奥に行きましょうか」
そんなこんなで土曜ひとまず、俺と尋斗は先に帰る事にした。
まさか、あんな感じで天使になるとは思わなかったな。




