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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
高校生になりまして
3/55

ちょっとした昔話 その2

「はあ~、思い出すだけでも疲れる」


(って言うか、校長の話が長過ぎる。入学式じゃなくて、校長の新入生への横暴な願望スピーチだな。お陰様で昔の自分を思い出しちまった。)


俺は学校側の案内に従って通された教室に持って来ていた荷物を取りに行く。

その教室の黒板には『新一年生の教室は四階にあるので上がってください』と書かれている。

四階、つまりはこの学校の最上階だ。この教室は一階にある。

そして、階段で上がらないといけないわけで......。


(この高校は歓迎してるのか、嫌がってるのか、どっちなんだよ。そこんとこ、はっきりさせたいね!)


不満を心の中で愚痴りながら俺と同じ知らない新入生達と教室を出て階段を上がる。

また、頭の中で過去がフラッシュバックされるのは勘弁して欲しかった。


「八束くん、来てくれたんですね」


その微笑みを前に俺は借りてきた猫の様にただ頷くだけだった。


「では、良い子にはこれをあげますね。後ろを向いてください」


俺はなすがまま、されるがまま、今の俺がしている黄色の珠が中心に埋め込まれた十字架の首飾りを掛けられる。


「ねえちゃん、これってなんだ?」


「もう少ししたら、分かりますよ」


微笑むシスターに無邪気だった俺は微笑み返すと、意識が飛んで倒れてしまった。


今、あの感覚を思い出すだけでも体が必ずと言って良い程、ビクッてしまう。

体自体がトラウマを覚えてしまっているようだ。

階段を上がる足も重さを増した。

俺達、新入生の教室につく頃には治ると良いのだが......。


倒れた俺は意識の中をたださまよっていたんだと思う。

真っ白な空間に俺一人がふわふわと漂っていた。

何もない、誰もいない空間。

それが心地よくていつまでも居られる空間でもあったのだが、誰かに自分の体を揺さぶってくる。

いや、感覚としては誰かが乱暴に俺を蹴っていると言う方が正しかった。

何回も何回も俺が目をさますまでやってくる。

俺がそれを払ってもどれだけ嫌がっても、お構い無しだ。そのやりとりをやっているにつれて、声が聞こえてきた。


『おい、起きやがれ。このくそガキ』


今まで聞いた事のない声で言葉はきたないが、今にしてみれば、久しぶりに親友と会った時の様な感じがしていた。

いつも俺を見ていたそいつを俺は見える事できないでいた。

もしかしたら、今は見えるのかもしれないと思い、少しずつ目を開けていくと.....


『気持ち悪ィー事考えるガキだな。頭、大丈夫か?』


そいつは腕組みをして哀れなものを見る様な目で見下げてくる。

一般成人の様に見えるが背中には立派な二つの白い翼がある。

そうこれが、俺と「天使・ヴァスク」の初めての出会いである。



「俺の所属クラスは~っと」


長い階段を上がり終えると目の前には大きな掲示板があり、新入生でごった返しになっていた。

俺はある程度、背が高くて目も良い方なので離れていても自分の名前を見つける事ができる。

ついでにあいつらの名前も見つける事ができた。


「全員、同じクラスって.....。もしかして、教会のシスターが手を回してんじゃないだろうな」


あながち間違いでないように感じるのはさっきまでの記憶が主張してくるからだ。


(忌々しい過去。でも、そのお陰で今の俺がいるのだろう.....、しんどいな。所属クラスに行って机の上でくだばる事にしよう)


俺は階段とトイレから程近い1ー5のプレートが掛かっているクラスに着き、自分の席を確認してから、机に突っ伏した。

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