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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
件のあの子。
29/55

初対面につき!

そんなこんなで、昼休みだ。

約束通り、俺は二段弁当を携えて屋上に来た訳だが…


「誰もいないのかよ」

(つーか、ここって立ち入り禁止とじゃないのか?)


【あ~、眠いなァ。で、何で俺を起こしたんだよ】


「夏実にヴァスクにも改めて会ってほしいって言われたから、起こしたんだ」


【ふ~ん。まァ、あの小娘の事だろうな】


「その小娘って、指令の子か?」


俺は屋上の真ん中らへんに座って、二段弁当を広げる。

上段はおかず、下段はご飯だ。


【だと思うぜ? 小娘が居たのもこの屋上だしな】


「今の俺みたいに昼飯?」


冗談のつもりで言ったのだが、すんなり頷かれて、むせそうになった所に屋上のドアが開く音がした。

振り返ると尋斗だけが出てきた。


「あれ、もう食べてるんだね」


「お前だけか?」


「いや、居るんだけど、階段のとこでちょっとね」


尋斗が苦笑いを浮かべて開いたままのドアをみたので、俺もまた見ていると、話し声が聞こえてきた。

聞いたことの声も聞こえる。


「だから、そんなに怖い奴じゃないって! 言っちゃなんだけど、まだ、私の方が怖かったんでしょ!?」


「もう夏実には慣れたから、大丈夫! でも、やっぱり会うのはもう少ししてからでも!」


「そんなこと言ってたら、また八束くんが病気になっちゃうかもだから、がんばって!!」


「ふぇぇ~ん!」


(なんだか、そんなに嫌がられるとむしろ、こっちが会いたくなくなるので、やめてほしいもんだ。)


「って事だから、ね?」


「はいはい、こっちから行けばいいんだろ」


どこか、なげやりだが、八束はドアを通って…


「あんたが、今回の指令の子か?」


場が硬直して、その名知らずの子はこくりと頷いた。

第一印象的には、子犬みたいだなと思った。

なんか、二人にちやほやされてるようなそんな印象だ。


「みんなから聞いてるかも知れないけど、俺は…」


【コイツは、なんかの病気を理由に俺達をこき使った清水八束だ】


「なんで! お前が言うんだよ!! どう考えても、俺がいい感じに決める所だろ!!」


【うっさいあほ、一回会ってるが、俺はヴァスクだ、よろしくな】


「無視すんなよ!」


そんなやり取りを見て、三人はやれやれって感じだが、一人だけは違った。

くすくすと笑って、俺たちの視線を集めた。


「ふふ、あ、ご、ごめんなさい、笑っちゃって、面白くって」


もう少し大人しいのかと思っていたが、笑うのを見て、少し印象が変わった。

なんか、子犬より、リスっぽいな。


「まあ、いいんだけどな」


「そうよ、いっつもこんな感じだしさ」


「うんうん、気を使わなく大丈夫だよ。八束君、優しいし」


「穂紀さんなら、八束とすぐに仲良くなれるさ。僕たちとも仲良くなったしね」


尋斗が戻ってくると、知らない名前が出てきたな、ん~と…


「…ほのり?」


「えっと、私は斎条穂紀って言います。よろしく…清水クン」


(赤らめながら言われると、照れちまうんだが…)

顔をそらして、襟足を摩りながら、屋上に出る。


「あ~、よろしくな。ごはん食べようぜ、腹減ったし」


【照れてんな】


「うっさいな!」


穂紀は、夏実と友理乃に促されて、階段を上がっていく。

大げさにも、(ここが新しい、私の居場所なんだな…うれしい。)と考えていたのだ。

とりあえず、大きな枠として見ての第一章は、この話で終りになります。

次章から非現実な枠へと進みます。

お楽しみに!!

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