初対面につき!
そんなこんなで、昼休みだ。
約束通り、俺は二段弁当を携えて屋上に来た訳だが…
「誰もいないのかよ」
(つーか、ここって立ち入り禁止とじゃないのか?)
【あ~、眠いなァ。で、何で俺を起こしたんだよ】
「夏実にヴァスクにも改めて会ってほしいって言われたから、起こしたんだ」
【ふ~ん。まァ、あの小娘の事だろうな】
「その小娘って、指令の子か?」
俺は屋上の真ん中らへんに座って、二段弁当を広げる。
上段はおかず、下段はご飯だ。
【だと思うぜ? 小娘が居たのもこの屋上だしな】
「今の俺みたいに昼飯?」
冗談のつもりで言ったのだが、すんなり頷かれて、むせそうになった所に屋上のドアが開く音がした。
振り返ると尋斗だけが出てきた。
「あれ、もう食べてるんだね」
「お前だけか?」
「いや、居るんだけど、階段のとこでちょっとね」
尋斗が苦笑いを浮かべて開いたままのドアをみたので、俺もまた見ていると、話し声が聞こえてきた。
聞いたことの声も聞こえる。
「だから、そんなに怖い奴じゃないって! 言っちゃなんだけど、まだ、私の方が怖かったんでしょ!?」
「もう夏実には慣れたから、大丈夫! でも、やっぱり会うのはもう少ししてからでも!」
「そんなこと言ってたら、また八束くんが病気になっちゃうかもだから、がんばって!!」
「ふぇぇ~ん!」
(なんだか、そんなに嫌がられるとむしろ、こっちが会いたくなくなるので、やめてほしいもんだ。)
「って事だから、ね?」
「はいはい、こっちから行けばいいんだろ」
どこか、なげやりだが、八束はドアを通って…
「あんたが、今回の指令の子か?」
場が硬直して、その名知らずの子はこくりと頷いた。
第一印象的には、子犬みたいだなと思った。
なんか、二人にちやほやされてるようなそんな印象だ。
「みんなから聞いてるかも知れないけど、俺は…」
【コイツは、なんかの病気を理由に俺達をこき使った清水八束だ】
「なんで! お前が言うんだよ!! どう考えても、俺がいい感じに決める所だろ!!」
【うっさいあほ、一回会ってるが、俺はヴァスクだ、よろしくな】
「無視すんなよ!」
そんなやり取りを見て、三人はやれやれって感じだが、一人だけは違った。
くすくすと笑って、俺たちの視線を集めた。
「ふふ、あ、ご、ごめんなさい、笑っちゃって、面白くって」
もう少し大人しいのかと思っていたが、笑うのを見て、少し印象が変わった。
なんか、子犬より、リスっぽいな。
「まあ、いいんだけどな」
「そうよ、いっつもこんな感じだしさ」
「うんうん、気を使わなく大丈夫だよ。八束君、優しいし」
「穂紀さんなら、八束とすぐに仲良くなれるさ。僕たちとも仲良くなったしね」
尋斗が戻ってくると、知らない名前が出てきたな、ん~と…
「…ほのり?」
「えっと、私は斎条穂紀って言います。よろしく…清水クン」
(赤らめながら言われると、照れちまうんだが…)
顔をそらして、襟足を摩りながら、屋上に出る。
「あ~、よろしくな。ごはん食べようぜ、腹減ったし」
【照れてんな】
「うっさいな!」
穂紀は、夏実と友理乃に促されて、階段を上がっていく。
大げさにも、(ここが新しい、私の居場所なんだな…うれしい。)と考えていたのだ。
とりあえず、大きな枠として見ての第一章は、この話で終りになります。
次章から非現実な枠へと進みます。
お楽しみに!!




