予想外? いいえ、予想通り。
「シスター! 連れて来たわよー!」
教会の両開きドアを両方とも夏実が勢いよく開けて、大声を出す。
少しでも驚くかと思って、やったのだが……
「あら、尋斗くん、夏実さん、友理乃さん、こんにちは。」
膝まづいて、神に祈りを捧げていたシスターは、なんともないように立ち上がり振り向いてから、そういう。
それに悪態をつく夏実に他の二人が苦笑いする。
三人にしてみれば、よくある風景で、一人は少し置いてきぼりになる。
「そして、今日は八束くんじゃない子が一人ですね。どなたでしょうか?」
どこか知っているような物の言いように引っかかりながらも、
「私は、斎条穂紀と言います。」
「そうですか、よろしくお願いしますね、穂紀さん。して、どうしてこの子だけを連れて来たのですか? 八束くんは?」
「えっと、今回の指令にあった『天使』の守護精霊を身につけてる女子高生である、穂紀さんと接触したのを報告に。あと、八束はインフルエンザで体調を崩しています」
尋斗が少し戸惑いながらも、如才なく報告する。
「そうですか、なら、指令達成とはなりませんね。八束くんが体調を崩しているなら…」
「はあぁ!!? なんで、指令達成じゃないのよ!! 連れて来たじゃない!! 『天使』の守護精霊を身につけてる女子高生!!」
シスターの言葉を聞き終える前に、夏実がまくし立て、穂紀を指差す。
「どこにいるのでしょうか? 私の前に居るのは、『ネズミ』の守護精霊を身につけてる女子高生なのですが?」
「だから!! この子の守護精霊のネズミから、天使と同じ波長を感じたって、ヴァスクが言ったんだってば!!」
「なら、八束くんとヴァスクを連れて来てください。あ、ヴァスクだけではダメですよ? 清水くんも一緒に―――」
「だから!! 八束は!!」
「はい! 夏実、落ち着こっか、ね?」
落ち着きをなくした夏実の正面にいって、友理乃がなだめる。
ヴァスクの懸念は、外れる事無く、予想通りになっていた。
もちろん、夏実の事も含めて。
「八束くんが体調を崩したのは仕方がないので、達成期限を一週間延ばすことにします。なので、来週の日曜までには、連れて来てくださいね?」
「あの、私の、ラファが持っていたこの手紙は?」
「それも達成期間、延長ですので、ご心配なく。それでは、ご機嫌よう」
そんなシスターの言い草に最後まで夏実の癇に障っていたが、とりあえず、達成期間が長くなり、どこか納得が言っていない一人と一息つく三人はそれぞれ帰路に着くのだった。




