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守護精霊につき!  作者: 松代 彩瓦
指令「人探し」
23/55

戦闘終了

「さあ、話してもらおうかしら!」

 

 夏実はガントレットを着けたまま、息まいてエバリエに迫る。


「何をだ?」


 エバリエは白を切る。

 戦いで力を失って、戦いの間の姿は見る影もなく、四人の守護精霊みたく小さな姿になっている。


「何をって、君があの子を狙った理由と、天使見習いの事だよ」


 尋斗がちゃんと質問して丁寧に回答を促す。


「あ~、それね~。でも、話すと思う? 敵に情報をあげる程、お人好しではな……」


 エバリエが話している途中でその顔面に夏実の拳が寸止めで止まる。

 そして、ニヤリと笑う夏実の顔は、この状況では怖さ倍増である。


「わ、わかったわ。は、話してあげる」


 でも、夏実の拳は動こうとしない、いや、さらに力が入ったと言うべきか。


「は、話させていただきますから、拳を退けてください! お願いします!」


 エバリエが懇願すると、仕方ないとばかりに拳を退ける夏実を見て二人は、


((ストレスが溜まった夏実さん、怖すぎ…)って言うより、まだストレス溜まってるの?)


 やはり、触れぬ神に祟りなし、だなと思うのであった。


「狙った理由は、単に脅威になる前に始末するか、こちら側に連れ込むつもりだったんです。天使見習いってのは、言葉通りで天使になりうる守護精霊を持つ者の事を言っただけです、はい!」


 夏実の脅しのせいで、エバリエが正座で敬語を話して、悪魔の立場も負けてしまえば、こうなってしまうのは世の常といえるだろう。


「なるほど。だから、あの子の守護精霊は天使じゃなくて、ネズミなんだ……。あっ、起きてる! 私、みてくるね」


 友理乃はタクトを持って、穂紀に駆け寄っていく。

 それを見ながら、尋斗と夏実は、


「まあ、敵の言う事だから。信頼には値しないからシスターに聞いてみる?」


「そうだね。指令も達成できたみたいだから、教会にも行かないとだしね」


「そうね。……で、こいつの始末だけど、あれ?」


 屋上のコンクリート床に正座していたエバリエの姿が見当たらない。


「バーカ! よそ見なんてしてるから、逃げられるんだよーだ!」

 

 逃げながら相手を小馬鹿にする子どもが言いそうな事を言いながら、見る見るうちにあの黒い雲に登っていく。

 力を失っていても素早くは飛べるようである。


「こらぁっ! 降りてこい! 思い込みババァ!!」


「あァ! 次、会ったら! 覚えとけよ! イノシシ小娘!!」


 そんなやり取りを見て、(似た者同士だなぁ)っと尋斗は思った。

 そうこうしていると、昼休み終了十分前を知らせるチャイムが鳴った。


「二人とも~、穂紀ちゃんは大丈夫みたい」


「とりあえず、学校の授業に出ようか」


「そうね、ストレスも発散できたし、いい事にしようかな」


 と四人は屋上から授業に出る事になった。

 ヴァスクは八束の家に帰っていき、指令の事やエバリエから得た情報は、放課後に教会までお預けとなった。


 非現実的な現象を昼休みに経験した穂紀はと言うと……、午後からの授業など聞こえておらず、上の空で、机の上でラファが動きまわろうと、制服をかじっていようと反応する事は無かった。 

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