起きたら…
光に包まれた真っ白な空間で穂紀は、母親のお腹の中にいる赤子のように腕と脚を曲げて丸まった体勢で宙に浮いていた。
穂紀以外には、何もない空間、世界は静かで穏やかだ。
あるのは、穂紀の存在と、鼓動と呼吸の音だけ。
しかし、他にも音が聞えていた。
単調に響く音、金属と金属がぶつかったような音、何かが破裂して、何かが何かにぶつかる音……、誰かの声も時折、聞えていた。
(なんだか、いつもより騒がしいな~)
そんな風に穂紀はぼんやりと思いながら、回りを見るために目を細く開く。
でも、いつもと変わらない空間でまた目を閉じようとすると、
〔ほのり〕
と誰かに呼ばれた気がして、また目を開くと、白い体と白い翼が見えた。
(あ~、天使さんだ~)
と思い、触ろうと曲げていた腕を伸ばすと、その者も穂紀の手に触れようと手を伸ばす。
手と手が触れ合った瞬間、その空間、世界は見えなくなって……。
「うぅ、う~ん」
目を開くと世界は横向きになっていた。
地面は私から見て右に、空は左にあって、変な感じで。
〔ほのり〕
おまけに、目の前にいるネズミのラファ横向きに立っていて、重力を無視している始末で何がだか……。
〔おい、大丈夫か?〕
声のする方に顔を向けて見ると、宙に浮いた小さな天使がいた。
(え? また重力を無視して、しかも宙に浮いてる~。誰ですか……。あ~、そうでした…。私、倒れたんでしったっけ)
やっと、自分の体勢がわかって、体を起こした。
頭が寝ぼけているようにしっかりしない。
〔起きあがれんなら、大丈夫だな。お前が伸びてる間に悪魔を倒したぜ〕
「悪魔……?」
その小さな天使に訊くと、顎で差されて、その方向を見ると、距離があるからか、その悪魔……えっと、エバリエ…さんだったかわからないけど、なんだがものすごく小さく見えた。




