屋上にて戦闘 Ⅲ
「はあぁーー!!!」
先手を打ったのは、またしても夏実だった。
違った所と言えば、本人ではなく先ほどガントレットに宿っていた炎をエバリエに向けて、放ったのだ。
その炎は、拳のような形になりながら飛んでいくが……
「また、馬鹿の一つ覚えみたいに真正面からなんて、芸がないわね」
当然、通用する訳もなく、あっさりと炎は掻き消された。
いや、エバリエの手の中へ吸収されたと言うべきだろう。
その手には紫の光があったが、それに赤みが加わって、赤紫になった。
「そういえば、アンタも炎使いだったかしら?」
「そうよ~。でも、小娘の炎は嫌いだわ~。私の炎とは相性が悪いみたいだ、しね!!」
そう言いながら、エバリエは吸収した炎を夏実に放った。
その炎の色は違えど、拳の形で飛んできた。
それを夏実は両腕ガントレットで盾にして、防ぐ。
「くっ、なかなかね」
「夏実!」
防いだ後に、五本の三叉の槍が襲う。
容赦なく、夏実に向かって突き刺さるが。
「うっ……、ありがと」
「どういたしまして」
屋上のコンクリート床に似合わない岩壁が夏実を五本の槍から守った。
「ちっ、ホントにオマケは鬱陶しいわね。先に倒しておこうかしら」
エバリエは、空中に漂う紫色の無数の火の玉を整えるが、
「させると思ったかい!」
その後ろから尋人が飛びかかりながら、槍を振り下ろす。
だが、いつの間にか、発生していた槍で尋人の攻撃は防がれる。
「見えてないと思ったの?」
「でも、少し力を使い過ぎたんじゃないかな? 次の攻撃を防ぐ力は残ってるかい?」
「はっ。何を言っているのかしら」
岩壁を駆け上がり、エバリエの頭上に夏実は飛び上がる。
「この火の玉でそっちのタクトちゃんを倒して、少年を倒して…そして、小娘を倒してあげるわ♪」
「あら? アタシを先じゃなくて大丈夫なの!?」
夏実は重力で加速して、エバリエの元に落ちていく。
「いいわ! 小娘から倒してあげるわ!」
「「させるとおもってるの?」かい?」
友理乃はタクトから、火の玉に水弾を撃ちあてる。
尋斗は何度も叩き、三叉の槍を破壊する。
「それだけで、このエバリエを倒せると思っているのか?」
と紫の炎を体に纏おうとしたが……。
「? うまくはたらかない……?」
〔ふっ、俺の存在を忘れてもらっちゃ困るぜ〕
「この、ハエがぁ!!」
ヴァスクは穂紀を守る結界を貼りつつ、悪魔の力を無力化する何かしらの力を使っていたらしく、エバリエの姿が健康的な小麦色の肌を持つ大人の女性になった。
エバリエは、ニヤリと笑うヴァスクを憎たらしく睨む。
「よそ見なんかして、良いのかしらぁ!?」
夏実は空中で回転しながら、踵を振り下ろす。
いつの間にか、足には装甲が施されている。
そして、炎を纏わせて、エバリエの脳天に突き刺さった。




