屋上にて戦闘 Ⅰ
最初に動いたのは、もちろん夏実だった。
エバリエに正面から走り込んでいくが、狙われている本人は動かず、ただ夏実の動きを目で追いかける。
「ずいぶんと余裕そう、ね!」
そのままの勢いでエバリエに殴り掛るが、左足を軸にして回転し、あっさりと避けられた。
「そりゃね~、そんなにまっすぐ来られれば、避けるのに苦労しないわ」
「それもそうね。でも、アタシばかり見ててもいいのかしら?」
回転したことで、尋斗と友理乃を背にしてしまっている。
これでは、狙ってくださいと言わんばかりだ。
そこを逃さないのは二人である。
「問題はないのよ? 小娘」
エバリエは、後ろに振り返りながら槍を両手で縦に持つ。
尋人が後ろに迫っていたのは予測済みでの、先の動きだ。
グリフォンの槍は確実に三叉の槍に軌道をそらされたが、
「こっちだって、その動きは読めてたよ!」
夏実と違って、尋斗はそのまま走りぬけることなく踏みとどまり、そらされた槍を手前に戻して三度連続で突きを繰り出すが、すべて軌道をそらされた。
「ごめんなさいね。私もわかってたのよね。ちなみに次もその次もね」
―――次は、後ろの小娘が殴りかかってくるのは、わかっている。今、両手は少年の槍を抑えるのに使っているから、防げない。その次は、空に逃げたときのためにタクトちゃんが攻撃してくるのは明らか。なら……
予想通り、夏実は後ろから殴り掛ってきた。
エバリエは空いている左側にステップを踏む、空に逃げるよりかこっちの方が楽だからってもあり、そして、敵の相打ちも期待できるのもある。
しかし、尋人と夏実は相打ちなのでしなかった。
当然ともいえる。
それこそが狙いだったからだ。
――タクトちゃんは少年の後ろの方に突っ立ってるのね。読み通り……
「やっぱり、ね」
〔何がやっぱりなんだ?〕
避けた左側には、ヴァスクが待ち構えていたのだ。
それもかざされた手は光を帯びている。
エバリエがしまったと思った瞬間、光は強く弾けた。




