昼時の騒動 Ⅲ
「斎条さん!?」
ヴァスクは青い壁を解きながら、後ろに倒れている穂紀を見た。
倒れ込んで気を失っている彼女に、あの白い鼠のラファが心配そうに乗りかかった。
どうやら話せないようだ。
『大丈夫だ、気を失ってるがな。それよりも』
ヴァスクが鋭い目つきで、見た先にはあの雲から屋上に降りたった悪魔を見た。
尋人も目線を元に戻して、対峙する。
【あら、あんたは居たのね。相方はぁ? 後から来るのかしら?】
悪魔もといエバリエは、長髪の赤みがかった黒髪で、大きいとも小さいとも言えない動き回る分には胸絹からこぼれない胸の大きさで、両肘を包むように手を組んでいる。
足だけでなく、全身が小麦色で健康的にもとれる肌で、どことなく艶めかしい。
『残念だが、来ねぇよ。体調を崩してやがるからな』
「ちょっと、ヴァスク! 悪魔にそんなこと、言ったら!」
『大丈夫だ。あいつんとこには、とっておきの結界が張ってあるこの悪魔には突破できない。強力な奴をな』
【あら、本当に来ないのね。これは好都合ね。思っていたより早くその子を連れて帰れそうだわぁ】
スイッチが入れ替わったかの様に目つきを鋭くし、空間に手をかざし、あの赤黒い三叉の槍を生み出し、手で持たずに体の前にそれ動かし、両腕を絡めるように持つ。
「二人共、やるよ!」
「サポートするね!」
いつの間にか、尋斗は刃の部分がグリフォンの形をした槍を構え、友理乃は先端に妖精が飛んでいる形のものがついたタクトを持っていた。
「ナメられた分、ボコボコにしてやるわ! ついでに八束に対してのストレスも解消させてもらおうかしらね」
そう言いながら拳を包んでパキパキと鳴らし、夏実はというと、手を手袋状で前腕部まであるガントレットを身につけている。そのガントレットの装甲はドラゴンの鱗のような禍々しさと強さを感じる。
((悪魔も災難だな。))
心の中で二人は悪魔に同情するのであった。




