変わりゆく現実
「やっぱり、この子が狙いだったかっ」
尋斗はそう言うと、握り拳を作りどす黒い雲と対峙する。
穂紀は「ほえ?」と間抜けな声をあげつつ、尋斗をみるが、穂紀以外はその雲を対峙していた。
【あらやだ、あんた達も居たのね。・・・あぁあ、面倒なのよねこのオマケ共は・・・、はぁ憂鬱だわぁ】
穂紀はその声を聞くなり、びっくりして「にょわっ!」と声をあげて、やっとどす黒い雲を認識し、そこから聞こえてきたのもわかった。穂紀の頭の上にいたラファはびっくりした反動でそこから落ちそうになるが、なんとか肩の上に乗り移って、ほっとする。
その雲の下方から黒いヒールが見え、次に日焼けをしたような小麦色で細いわりに程よく肉のついた生足が、右と左でクロスした状態で覗いてきた。
【いいことを思い付いたわぁ】
素肌の太ももの次にセパレートの水着を身につけ、芸能界のモデルのようなきゅっとしまった腰周りに紅くマニキュアをしている爪、木の枝のような細く長い指をもつ手が見えてきた位で楽しそうな感情の入った声が聞こえてきて、どす黒い雲がゆっくり流動し始める。
【ご挨拶に一発食らいなさい】
「斎条さん、逃げて!」
「ほぇ? 」
その流動は急激加速し、中から黒い何かを高速で吐き出した。
雲から吐き出されたそれは、赤黒い三叉の槍のようで直線に穂紀へと向かう。
穂紀は身動きが取れずにそれをただ見ていた。
まるで、見えていないように。
『させるかよ!』
ヴァスクは穂紀の前に飛んでいくと、両手を前に出して、青い流動する壁を生み出し、その槍を防ぐ。
「きゃっ!」
防いだ瞬間、衝撃に耐えきれず穂紀は後ろに倒れ込み、また正面に向き変えるが、
〔一体、何が起きてる…の?〕
そして、目の前の現実に対応しきれず、穂紀は気を失うのであった。




