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7話 桃子と武装した男達

「なんだ・・・応答しないぞ?」

身長180cmほどで、体重も80kgくらいありそうな体格の良い男がトランシーバーに声をかけていた。


「あー?どうしたんだ?」

そのトランシーバーで話している男の隣には、小柄であるが柄が悪く、チンピラのようなオラついた態度をしていた。


「いや・・・俺らの後にビルに突入した後続部隊の応答がない」


「ああん⁈何してるんだあいつら・・・さっきは応答があったんだろ?」


「エレベーターに乗った奴らからはあったが、他6名の仲間とは連絡が取れない。こっちはエレベーターを使わずにわざわざ非常階段から侵入している。だから普通はあっちが先にBarについてるはずなんだ」


「・・・」

桃子は床に座ったまま体を震わせながら黙っていた。体を縛られていたわけではなかったが、武装した2名の男に危害を加えられるかもしれない恐怖で動けないでいた。


「んで?交渉役のねーちゃんだけ取り残されてるけど、上からはこのねーちゃんも消すようにって言われてんだろ?」


「ああ、そうだ」


「じゃあ殺す前に一回犯っちまおうぜ。もったいねーよこんな可愛い女、犯る前に殺すなんてよお」


「・・・っ!!!」

小柄で柄の悪い男の野蛮で残虐な発言に青ざめていた。まさか自分自身も命が狙われていたなんて。この発言を聞いたことで改めて、部屋を出る前にした老人との会話が本当だったことを理解した。


「(あ、あの時一緒に逃げてたら・・・!)」

老人の指示に従わずに付いて行かなかったことを心の底から後悔していた。


「おいねーちゃん聞いてたろ・・・そう言うことだから服脱げ」

そう言うと、男がジリジリと近づいてきた。


「ひぃ・・・!」

性的暴力よりも、その後、男達に殺されるという恐怖に声が出てしまった。


「おい・・・まだターゲットを殺ってないんだぞ」


「んだようるせーな・・・非常階段で爺さんと鉢合わせしなかったんだ。どうせエレベーター組が殺ったんだよ。爺さんを殺ったやつはボーナスを多くもらえるんだろ?女の1人くらい犯らないと気が済まないぜ」


「・・・せめてターゲットの死亡確認してからにしろ」

体格の良い男が小柄な男に呆れながら注意をしていた。


「(ど、どうしたらいいの・・・⁈)」

心の中でこの最悪な状況を打破するための作戦を、今まで生きた人生の中で一番頭をフル回転させていた。


「・・・っ!」

その時、老人が去り際に自分に向けて言っていた「時間を稼げ」という言葉を、今更ながら思い出したのだった。


「ゴクン・・・あ、あの」

結局、この窮地から抜け出す方法を自力で一つも思いつかなかったため、恐怖に怯えながらも、なんとか頑張って声を捻り出し、声をかけた。

とにかく今の自分にできることは老人の指示に従うことだけだった。


「あぁ?なんだそんなに早く俺に犯られたいのか?」


「・・・あ、あのバーテンダーが・・・」

相変わらず野蛮に小柄な男がそう言うも、それを無視するかのようにバーカウンターの方向に指を差しながら言った。この男たちは、このBarに到着したばかりだったため、バーテンダーが殺されたことは隠しカメラなどで確認していない限り知らないはずだと思い、その事実を知らせようとした。


「・・・確認する」

そう言うと、長身の男が緊張しながらゆっくりと警戒しながら、カウンターの裏に回った。


「・・・っ!おい、バーテンがやられてるぞ」


「そりゃそうだろ・・・だからターゲットがここにいないんだろ?殺して逃げたんだよ」

当たり前かのように小柄な男が長身の男にそう言い返した。


「いや、そうじゃなくて・・・よりにもよって銃でも刃物でもなく、首の骨を折られてる」


「おいおいどんなゴリラだよ・・・こいつ、格闘が得意だからバーテン役をやらせたっつーのに。その爺さんはプロレスラーか?情報だと背も小さいって話だったろ」

男達がバーテンダーの死因を確認すると、奇妙な現象を見たかのような動揺をしていた。


「・・・」

その様子をただ黙って男達の様子を伺っていた。男達が動揺するのも無理はなかった。

180cmほどあるバーテンダーの首を折ることができるのは、さらに大柄な男しかできない。そう考えるのは自然だったからだ。


男達の会話を聞いていると、いまだにあの小柄な老人が首の骨を折るほどの力と、正面から背後に回り込む俊敏さを持っているのが、直接目撃した自分でも信じられなかった。


「あの・・・なんで私たちを狙ってるんですか・・・?」

老人の指示通りの時間稼ぎが目的ではあるが、純粋に知りたいことでもあったため、動揺している男達に向けて質問を投げかけた。


「・・・お前に教える義理はない」


「いやいいだろそれくらい。どうせ殺すんだ」

長身の男はきっぱりと質問を却下したが、小柄な男は余裕そうにそう答えた。


「チッ・・・」

そんな小柄な男の適当な対応に苛立っていた。


「お嬢ちゃんが働いている会社さんが、俺たちと例の老人に殺しの仕事を依頼したんだよ。ただ、予算の関係で同時に依頼は出来ないから、お互いを戦わせて生き残った方に仕事を依頼させるんだとよ。向こうのじいさんは知らんが、俺たちは割のいい仕事だからって、乗り気でじいさんの討伐に名乗り出たってことよ」

この男の説明を受けて、ようやく自分もこの状況になった理由を知ることができたのだが、まだ疑問点が1つあった。


「あの・・・なんで私がその・・・殺されるんですか⁈」


「なんでって・・・殺しの現場を目撃した人間を逃がしたってろくなことにならねーだろ」


「そ、そんな・・・!誰にも言いませんし、もちろん警察にも言いませんから!」


「その言葉を信じてリスクを増やすくらいなら殺した方がいいことくらい、お嬢ちゃんも分かるだろ?運がなかったってことで諦めろ」


「な、なんで・・・⁈」

それ以上言葉が出なかった。男達の言う理由はどう考えても納得のいく内容ではなかった。

自分の利益のためなら他人がどうなっても構わないという、まるで道徳心というものから真反対の位置にいる人間であり、こういった人間がまさに裏稼業のものであり、殺し屋という人種なのだと思った。


そして、先ほどまでここにいたあの老人も、この人たちと同じ殺し屋であるのなら、同じように自分の利益のことしか考えない人間なのだろうとも思っていた。


「・・・あ、あの男の情報、知りたくないですか?」

そう男達に言うと、2人の男がこちらの顔を同時に見た。


「わ、私見てましたから・・・男の技や装備を・・・」

男達の視線を強く感じたため、徐々に小声になっていた。しかし、こちらの提案に男達は考え込んでいた。そして、2人の男達が目を合わせると、長身の男がこちらに近づいた。


「おい、その老人の情報を包み隠さず全部話せ。ウソは言うなよ?」

そうドスの聞いた声でこちらに言いながら、ナイフを首元に近づけた。


「う、うそなんて絶対に言わないです!お願いします助けてください‼︎」

先ほどの会話を聞いてる限り、自分のことを助けてくれるわけがないのは心の底では分かってはいたが、ナイフを突きつけられた恐怖で反射的に大きな声で涙を流しながら命乞いをしていた。


「(そもそも私が何をしたって言うの?会社の指示通りにしただけなのに・・・なんで?どうして⁈)」

ただただ、今の状況の理不尽さを嘆いていた。


「おい聞こえてるのか?質問に答えろ!」

ボーッとしていたようで、ナイフを突きつけていた長身の男が耳元で怒鳴っていた。


「おい、もう犯っちまいながら情報聞き出そうぜ。その方が早いだろ」

そう小柄な男が言うと、ズボンを脱ごうと身を屈んでいた。


パァンッ!!


その瞬間、Barの入り口のドアが大きな音を立てて開いた。


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