Midnight Suspended
ついに一日が終わり、アイデン・セラスは学校を出て、肩にかけたバッグを揺らしながら歩いていた。ミニュイテの街は静かで、街灯の光に包まれていた。すべては普通に見えた…しかし、彼は長い間感じているあの馴染み深い予感、空気に漂う張りつめた緊張を感じていた。
最近、この街は決して完全に安定していなかった。細かい変化が消えたり、微妙に変わったりしていた。人々の記憶も消えかけていた。誰もそれに気づいていない。アイデンは知っていた――**真夜中の一分間**がやってくることを。それは正確に 0時から0時1分まで に起こる現象で、世界の本質を明らかにするものだった。
心を引き締めながら歩き続ける。時計の針は23時59分に迫っていた。秒ごとに重さが増すように感じられた。通行人たちは家路を急ぎ、時間がもうすぐ止まるとは知らなかった。
23時59分。
空気の中に微かな振動が走った。誰にも聞こえない、それでも確かに感じられるもの。アイデンは立ち止まり、深く息を吸った。何が起こるか、彼はわかっていた。
0時。
時間が止まった。
雨粒は空中で止まり、車は動かず、通行人たちは自然な姿勢のまま静止していた。動けるのは彼だけだった。沈黙が絶対的に支配し、世界は息を潜めているかのようだった。
彼がある記憶に集中し、ほんの小さな修正を試みようとした瞬間、街灯に凭れかかる人物の姿が見えた。冷静に、動かずに立っている――ナエルだった。彼の目は冷静に、この光景を見据えていた。
すると、黒い液体のような影が彼の前に現れた。オブスクル――揺らぎ、流動するその姿に、白く空洞の目が二つ光っていた。危険が迫る。アイデンは後ずさり、恐怖と責任感に凍りついた。ミニュイテの間に行動すれば、すべてが崩壊するかもしれない。
オブスクルは一直線に襲いかかってきた。アイデンの血が逆流するように緊張が走った。彼には何も武器はなかった。防御手段もない。すべては彼…そして隣に立つ覚醒者にかかっていた。
ナエルは街灯に凭れたまま、動かず、オブスクルの動きも、上空で揺れる亀裂のひとつひとつも観察していた。冷静さが、アイデンの心臓の高鳴りと対照的だった。
ナエルは心の中で数を数えた。5…4…3…2…1…
カウントがゼロに達した瞬間、ミニュイテは終わった。
世界は再び動き出す。雨粒は落ち、通行人は歩き、車は走り出した。オブスクルは消え、空に輝いていた亀裂も最後の光を残して消えた。
ナエルはアイデンに近づいた。その目は真剣で、でも静かに穏やかさを帯びていた。
――違う、君は普通じゃない。




