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極道の義兄ができました  作者: リラックス夢土


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第25話 院長先生



「あ、あの! 院長先生ですよね? 吾郎丸さんの容態はどうだったんですか!?」



 私が叫ぶように尋ねるとその年配のお医者さんが私を見た。



「確かに私はここの院長だが。お嬢さんはどなたでしたかな? 最近、歳のせいか忘れっぽくての」


「え、え~と……わ、私は……」



 ここでハッキリと天昇火風光会の会長の養女になったことを言っていいのか私は言い淀む。



 院長先生は天昇火風光会と昔から関係あるから私の存在を話しても大丈夫だよね。

 その方がきっと話が早く済むし。



「わ、私は、天昇火風光会の……」


「若頭の俺の女だ。名前は凛子。今回運び込んだ奴は凛子の護衛をしていてぶっ倒れたのさ」



 私の言葉を遮りながら天飛さんは私のことを「俺の女」と院長先生に紹介してしまう。



 えっ! ちょっと待って!

 いつの間に私は天飛さんの女になっているんですか?

 天飛さんの女じゃなくて義妹でしょうが!



 慌てて私が天飛さんの顔を見ると天飛さんの目つきが鋭くなる。

 まるで「余計なことは言うなよ」と脅されているみたいだ。



 どうして天飛さんの義妹だって言っちゃいけないんだろう。

 何か理由があるのかな。



 疑問符が浮かぶ私の耳に院長先生の声が聞こえる。



「ほぉ、天飛くんの奥さんか。女嫌いな天飛くんに結婚する相手がいたとはのぉ。それはめでたい」



 いや、本当に、ちょっと待ってよ。

 天飛さんの女どころか奥さんになっちゃってるじゃん!


 それにしても天飛さんが女嫌いなんてちょっと驚きだな。

 ヤクザさんの肩書きがあってもこれだけのイケメンは女性が放っておかないと思うんだけど。



「いや、凛子とはまだ籍を入れていない。いろいろとあってな」


「そうかい、そうかい。それなら早く籍を入れないと逃げられてしまうよ、天飛くん。お気に入りのモノを取られるのが君は嫌いだっただろう?」


「それは俺と凛子の問題だから先生は口を出さないでくれ。それより凛子も転んだからケガを診てくれねぇか?」


「そうかい、そうかい。それじゃあ、診てあげよう」



 そこで私は再び吾郎丸さんのことを思い出す。

 今は私が天飛さんの女でも奥さんでもどうでもいい。

 吾郎丸さんがどうなったのかが訊きたい。



「あの、私は擦り傷ぐらいですから大丈夫です。それより吾郎丸さんはどうなったんですか!?」


「ん? ああ、あの若衆かい? なんてことはないよ。倒れた時に頭を軽く打ってたんこぶ作っただけじゃ。もうすでに意識も回復しとる」


「た、たんこぶだけ……? よ、良かったあぁ~」



 私は安心してヘナヘナと全身の力が抜ける。

 すると天飛さんの低い声が唸りを上げた。



「たんこぶしかできてないのに意識なんか飛ばしやがって、吾郎丸の野郎。凛子に心配かけたケジメをとらせてやる!」


「…っ!? だ、ダメです! そんなことで吾郎丸さんにケジメをとらせないでください! 私が勝手に心配しただけなんで吾郎丸さんは何も悪くありませんから!」



 せっかく軽傷で済んだ吾郎丸さんがケジメをとらされて重傷になるのはなにがなんでも避けなければならない。

 横暴な飼い主からペットの犬の命を護れるのは私だけだ。


 そんな私の必死な想いが通じたのか天飛さんは「ハァ」と大きく溜め息を吐く。



「まったく相変わらず凛子は甘いなぁ。ま、そこが凛子のいいところでもあるが……仕方ねぇ、吾郎丸のケジメは無しにしてやる」



 どうやら飼い主に暴力を振るわれるペットの犬という場面は回避できたようだ。



「ハハハ、天飛くんは彼女に頭が上がらないようだね。天下の天昇火風光会の若頭を手玉にとる女性か。やっぱり早く籍を入れないと逃げられてしまうんじゃないかい、天飛くん」



 院長先生は再び私と天飛さんに籍を入れろと勧めてくる。



 いやいや、籍も何もまだ天飛さんとは恋人じゃないんだってば。

 義妹って説明しちゃダメなのかな。



「あの、私は天飛さんの……」


「先生。早く凛子のケガの処置をしてくれ。凛子も家に帰る前に吾郎丸の顔を見ておきてぇだろ?」



 私の言葉は再び天飛さんに遮られる。



 う~ん、やっぱり義妹って言ってはいけないのだろうか。

 まあ、いいや。天飛さんの言う通りにして吾郎丸さんの無事な顔を見て帰ろう。

 そうしないと完全には安心できないし。



「よかろう。ああ、この傷は消毒しておけばすぐに治る。ついでに私が痛み止めの魔法をかけてあげよう。ちちんぷいぷい、痛いの痛いの飛んでけ~!」



 この院長先生は大丈夫なのだろうか。

 こんな子供騙しのことを大人の私相手にやるなんて。



 私が呆気に取られている間に私の擦り傷の消毒は済んだ。



「それじゃあ、凛子。吾郎丸の病室に行くか」


「はい」



 天飛さんが診察室の外に向かうので私もそれを追う。

 院長先生はニコニコと笑って私たちに手を振っていたが私の心は不安に襲われる。



 院長先生には悪いけど、この院長先生に診てもらった吾郎丸さんが心配だ。

 本当にたんこぶだけの軽傷だったらいいんだけど……



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