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極道の義兄ができました  作者: リラックス夢土


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第24話 ワケアリの病院



「着いたぞ、凛子」



 車が到着して降りてみるとそこには三階建ての病院がある。



 意外に大きな建物だな。

 医院って言ってたからもっと小さな診療所みたいなイメージしてたけど。



 天昇火風光会のお抱えの医者だというなら闇医者だろうと勝手に想像していたが建物は新しいしきちんとした病院の姿に私は驚く。



 でも中にいる医者は闇医者という可能性もあるか。

 吾郎丸さんをきちんと診察できる闇医者だったらいいんだけど。



「あの、天飛さん。吾郎丸さんはどこに?」


「吾郎丸たちはもう先に中に入って治療してるはずだ。俺たちより車を飛ばして来たはずだからな。途中でスピード違反でサツに捕まってなけりゃだが」



 天飛さんは冗談を言ったつもりなのか僅かに笑う。



 いやいやいや、冗談でもそんなこと言わないでください、天飛さん。

 もしスピード違反で捕まってたら本当に吾郎丸さんの命に関わるからさ。



 そこへ病院の中からヤクザさんが出て来て天飛さんに報告する。



「若頭。吾郎丸は今先生に検査と診察をしてもらっています」


「そうか。分かった。それと凛子にもケガがないか診察するように言ってこい」


「承知しました」



 とりあえず吾郎丸さんが無事に病院で治療を受けていると聞いて私は安心する。

 その瞬間、私は力が抜けて倒れそうになった。


 そばにいた天飛さんがすかさず私の身体を抱きとめ支えてくれた。



「大丈夫か! 凛子。どこか痛むか!?」


「いえ、だ、大丈夫です。安心したらちょっと足の力が抜けてしまって……」


「それなら俺が運んでやる」


「え? きゃああっ!」



 天飛さんは軽々と私をお姫様抱っこした。

 たくましい天飛さんの身体を間近に感じて私の鼓動が跳ね上がる。



 ケガはしてないけど天飛さんに抱かれてると心臓がドキドキして痛い気がするな。

 このまま心臓破裂で死んだりしないよね、私。



「あの、自分で歩けますから……」


「力が抜けて倒れそうになったのに何を言ってやがる。凛子は羽毛のように軽いから平気だ」



 どこかのファンタジー小説で王子様が言いそうなセリフを聞いて私は唖然とする。



 そんなセリフ、よく恥ずかしくもなく言えるな。

 でも天飛さんはイケメンだからそんなセリフも似合うよね。



 そんなことを考えている間に天飛さんは私を抱っこしたまま病院内に入る。

 中は普通の病院と変わらない。外来もあるようだしいくつかの診療科がある。



「どうぞこちらへ、若頭、お嬢」



 ヤクザさんの案内で私と天飛さんは診察室に入った。

 そこにある診察台に天飛さんは私を降ろす。



「今、先生が来るはずだから少し待っていろ、凛子」


「あ、はい」



 とりあえず診察台に腰をかけた私はお姫様抱っこから解放されてホッとした。

 そして気になっていることを天飛さんに訊いてみる。



「ここって天昇火風光会のお抱えの病院なんですよね? 天飛さんが医院って言ってたのでもっと小さな診療所を想像してました」


「ああ、この病院を建てる前は小さな医院だったんだ。そこの医院をやってた先生がここの院長をやってるんだが天昇火風光会は院長が医院をやってた時から世話になってるからな。昔を知ってる俺はつい医院って呼んじまうんだ」


「へえ、そうなんですか。医院をやってた人が病院を大きくしたんですね」


「いや、この病院を建てたのは天昇火風光会だ。もちろん表立って天昇火風光会の名前は出していないがな。医院の時は入院設備がなくて不便だったから先生を説得して入院設備もある病院を建てたのさ。その時の先生からの条件が昼間は普通に一般人の患者を診察できる病院にしたいということだったからこの病院は昼間は普通の病院だ」


「え? それじゃあこの病院で働いているのは闇医者じゃないんですか?」


「闇医者じゃねえよ。ただここで働く医者や看護師はちょっとしたワケアリの奴らだけどな」


「ワケアリ?」


「医者や看護師の免許を持っていても軽犯罪を犯してしまう奴らはいる。そいつらは罪を償ったあとでも再就職は難しい。そういう奴らを集めてここで働いてもらっているのさ。給与はきちんと払う代わりに二度と犯罪を犯さないという誓約をさせている。誓約を破ったら山に埋めると言ってあるから真面目にみんな働いてるぞ」



 う~ん、犯罪を犯して罪を償った人たちの再就職斡旋は良いことだと思うけどやっぱり最後はヤクザさんらしく脅しが入ってるんですね。

 でもそれでここの人たちが再犯しないというのならそれもありなのだろうか。



 天飛さんたちは私のイメージするヤクザさんとは違う部分があるので私は戸惑ってしまう。

 そこへひとりの年配のお医者さんがやって来た。



「遅くなって悪かったね。天飛くんのところの若衆の治療は終わったよ」



 この人が院長先生かな。

 吾郎丸さんがどうなったか訊いてみよう!


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